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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年8月

いつも通りの夏のはずだった。その事件のことを知るまでは……。

 海辺の小さな町で暮らす高校生・光介。夏休みに入ったある日、母の姉・芹とその娘の双葉がしばらく一緒に暮らすことになった。光介は芹から、心中と聞かされていた祖父母の死が、実は「どちらかがどちらかを殺した」無理心中事件であり、ここで生きていくために事実をはっきりさせたい、という決意を聞かされる。カメラマンであった祖父とそのモデルも務めていた祖母。二人の間にいったい何が起こったのか。

 残された写真が語るもの、関係者たちの歪んだ記憶、小さな嘘……。そして真相を追う光介が辿り着いた、衝撃的な事実とは……。

 『サクリファイス』『タルト・タタンの夢』などで話題の著者が、海辺の町を舞台に、青年のひと夏の冒険と成長を描く、切なくてさわやかな青春ミステリー。 

                   (PHP研究所HPより)




高校1年生の光介が主人公。
地元では偏差値の一番高い高校に入学し、中学でのいじめからも解放。
そんな光介の家に、母の姉・芹と娘・双葉(8歳)が同居することに。

伯母である芹から聞かされた亡き祖父母のこと。
そこから知る祖父母の生前のこと。
祖父は写真家で被写体は祖母だった。
その写真を見た光介は、その写真のなかの祖母の美しさとその写真から強烈な何かを
感じる。

母親にはナイショで祖父のこと。祖母のこと。
二人の死に至った理由を知りたくなり過去の祖父を知る人たちに会って話を聞く。


なるほど・・・・芸術を追い求める人の周りにいる家族って大変だと思う。
祖母の苦悩に気づいたときは辛かった。
光介にとっても辛いことを知ってしまったと思う。

でも光介は良い子だな。

ひと夏の出来事で、色んな思いをして成長した光介の物語、
なかなか面白かった!

彼の今後もちょっと知りたい。


                      ★★★★


                           
 
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発行年月:2015年10月


 ポール・オースターが絶賛した『インディアナ、インディアナ』(朝日新聞出版、2006)につづく、柴田元幸が翻訳を熱望するレアード・ハントの長編翻訳第二弾。南北戦争以前、ケンタッキーの山の中に住む、横暴な男。そこに騙されて連れてこられた一人の女性が二人の奴隷娘たちと暮らし始めると……。雲の女王になった話、黒い樹の皮の話、濡れたパイだねの話、タマネギの話など、密度の濃い語りですすむ、優しくて残酷で詩的で容赦のない小説。

                    (朝日新聞社出版HPより)




1960年頃、14歳で母のまたいとこである男・ライナス・ランカスターの元に嫁いだジニア。
そこには黒人の姉妹、ジニア(12歳)とクリオミー(10歳)が居て、奴隷とて
男の農場の豚の世話やら家事をしていた。
ジニアは最初、年が近い姉妹と本当の姉妹のように遊んでいたけれど・・・
あることを境に、姉妹に対して折檻する立場に。
そしてジニ-は夫に支配されるという日々。

過酷な状況で、精神的に参ってしまうジニアだったんでしょうけれど、姉妹に
とっても過酷さは同様。

姉妹のほかにも、ライナスに仕える奴隷がいて、アルフィブラスが時々
語る話は面白かった。
が・・・・彼もライナスに暴力を振るわれ、そのために命を落とす。


物語は、語り手が変わって行く。

奴隷として居た家から姉妹で逃げ出した姉妹のその後を語る姉のジニア。
時は50年後。
逃げ出してから姉が産んだ息子のプロスパーと共に、再び50年前に居た場所を
訪れる。
ジニーに会うため。

救いは、ジニーも家から出た後、優しい雇い主・ルーシャス・ウィルソンの元に身を寄せ、
穏やかな暮らしを迎えられていたこと。


物事の分別もつかない少女・ジニーが奴隷たちにした仕打ちは許されないけれど
彼女もまた被害者で弱い立場の者を力で押しつけて支配する男に腹が立った。

表題の意味は深い。

この時代、同じような優しい鬼が、たくさん居たんでしょう。


訳が巧いのか、読みやすかった!
同じ著者で同じ訳者の「インディアナ・インディアナ」もそのうち読んでみたい。


                          ★★★★★



発行年月:2016年3月


 
94歳になった「東北のマザー」、〈森のイスキア〉佐藤初女さんが、
生涯を通じて伝えたいことのすべて──。
四季の風景、お料理、真実の姿とともに綴られる最期のメッセージ。
至福の写真エッセイ。      

                 (集英社HPより)



2016年に逝去された著者の最後の本。
2016年を迎えたことをこの本にも書かれていたので、ご本人はもしかしたら
死期が近いことを何となく感じていらっしゃったかも。

森のイスキアのある青森県の春夏秋冬の自然美しい写真もあって
初女さんの優しい表情の写真も多数。

言葉のどれも心に沁みて、そばに置いておきたくなる1冊ですね。

おにぎり、やっぱり美味しそう(#^.^#)



                          ★★★★★



発行年月:2016年2月


 地震の前日、すみれは遠野くんに「最近忙しかったから、ちょっと息抜きに出かけてくるね」と伝えたらしい。そして、そのまま行方がわからなくなった――(本文より)

すみれが消息を絶ったあの日から三年。
真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。
親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。
【死者の不在を祈るように埋めていく、喪失と再生の物語】

                       (講談社HPより)




著者自身も3.11の時、被災地で大変な思いをされたと後で知りました。

物語の主人公・湖谷真奈は、友人のすみれを地震のあった日以来失った。
何処にいるのか、わからず3年の時が過ぎ・・・・・。

そして、すみれの恋人・遠野は、すみれの荷物を処分したいと言い、真奈に
残したいものを選んで欲しいと。

すみれを死者とすることにまだ抵抗がある真奈は、そんな遠野の言動に違和感を
覚えてしまう。

う~ん。
当事者ではないと自分が同じ立場だったら、どういう気持ちになるか
想像するのは難しい。
どちらの考え方もあり得る。

物語は、まだ彷徨う、すみれのことを描いた部分もあって、その部分が凄く
切なく、自分がどういう状況にいるのかわからないまま居るのは気の毒でならなかった。

3.11以降、こんな気持ちのまま亡くなった人を想う人や、彷徨い続けている
魂があるのかな?なんてことを考えちゃいました。


辛い物語ですが、心にず~んと残ります。


                         ★★★



発行年月:2015年9月

ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

                    (文藝春秋HPより)




高校生の外村青年が偶然、出会ったビアノの調律師・板鳥と出会い、

その仕事ぶりを見て、自身も同じ仕事をしたいと思うところから物語が
始まる。
ああ、こんな風に生き方を決めることもあるんだなぁ~と。
それがすごく自然な成り行きで、板鳥のアドバイスで調律師の専門学校に進み
卒業後、板鳥のいる楽器店に就職。
そこから色々な先輩たちに見守られて成長して行く物語でした。

調律師の仕事の様子がよくわかって楽しかった。
そして外村の誠実な性格とそれを見守る先輩たちの優しいアドバイスの
言葉なども読んでいて心地よかった。

表題の羊と鋼は、ピアノの内部にある構造でした。
なるほど、ピアノの中ってそうなっているんだ~。

表紙の絵も可愛く、物語と同様、温かい気持ちになれます♪

素敵な物語だったななぁ~。

2016年の本屋大賞1位も納得の1冊です !


                        ★★★★★
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