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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年7月


 ここは夢が生まれる場所。

華やかなる"社交の殿堂"。
大正、昭和、平成という時代を情熱的に生きた人々を、鮮やかな筆致で描き出す。
直木賞作家が贈る、一つの建物の〈記憶〉をたどる長編小説。


大正11年、丸の内に落成した国際社交場・東京會舘。
海外ヴァイオリニストのコンサート、灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出すバーテンダー......。
変わりゆく時代の中、"會舘の人々"が織り成すドラマが読者の心に灯をともす。

                 (毎日新聞社HPより



上巻は5章からなる。
大正11年の創業から、東京オリンピック開催の昭和39年までの物語。
章ごとに東京會舘に関わって来た人たちが主人公になる。

先の話で出て来た人が、後の章で、ベテラン従業員になっている様子を
知れたりするのも楽しかった♪

<第1章 クライスラーの演奏会 大正12年(1923年)5月4日>
金沢から久しぶりに上京した寺井承平。
作家になる夢を持つ続けつづけている。
東京会館で開催されるクライスラーの演奏会チケットを東京在住の友が送って
くれた。
演奏会に感動し、折角なら東京会館に寄ってから帰ろうと向かい、偶然
演奏会終わりのクライスラーもそこに!


<第2章 最後のお客様   昭和15年(1940年)11月30日>
東京会館に創業時からボーイとして勤めて来たが、辞めることに。
これからは、政府のもとで管理されるという。
第1章でも登場のボーイ。


<第3章 灯火管制の下で  昭和19年(1944年)5月20日。>
今は政府の管理下に置かれる旧東京会館で結婚披露宴を行う
第1章で登場の青年は作家として成功している


<第4章 グッドモーニングフィズ  昭和24年(1949年)4月17日
バーテンダー見習いの枡野。
戦後、再び東京会館は政府から戻されたが、
アメリカ人高級将校のための宿舎とクラブにするということで
アメリカン・クラブ・オブ・トーキョーに
その後更に、ユニオン・クラブ・オブ・トーキョーとも呼ばれる。
そして、昭和27年にはGHQによる接収解放で再び日本人の元に。
名前はそのまま東京会館から東京会舘に。


<第5章 しあわせな味の記憶 昭和39年(1964年)12月20日>
東京会舘の初代製菓部部長を務めてきた勝目。
退職し、久しぶりに東京会舘を訪れ、チーフバーテンダーになった枡野に会う。
懐かしい話をし、帰るとき、お土産の製菓を購入しようとしている夫婦の
会話に思わず加わる。



時代背景を描きながら東京の歴史も感じながらの物語。
最後の話が好き。
東京會舘のクッキー、今度お土産で誰か買って来てくれないかな?

東京に縁がないものでも楽しめるのだから、東京會舘を知っている人なら
もっと楽しめる物語でしょう。

下巻も読むのが楽しみ!


                         ★★★★



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発行年月:2015年10月

色恋をめぐる狂気は、その女たちを少しずつ蝕み、少しずつ壊していった……。ある女は大阪に引っ越してまで愛人を追いかけ、またある女は親友の婚約者を欲しがる。職人の夫の浮気を疑った妻は夫の作る提灯に火を仕込み、OLは見る間に垢抜けた同僚への嫉妬に狂う……。サスペンス・ミステリーの名手による短編を、単行本未収録作品を加えて精選したベスト・オブ・ベスト第一弾!

                 (新潮文庫HPより)



乃南さんの短編傑作集が3冊出ているのを知り、先ずは1冊目を読んでみた。
恐ろしい、女の恨み、嫉妬のオンパレード。
どれも結末が最悪で、事件だ!

最初の<くらわんか」からビビった!
疎遠になったキャバクラの客を追いかけて来ての復讐劇。
そのやり方が恐ろしい。

次の<祝辞>も。
親友だと思って居た女友だちが披露宴の場でまさかの花嫁の暴露話。


ほかの話も全て女性の話。
表題作<最後の花束>は一番最後の話。
先ずは16歳~17歳の家で少年と少女が夜の世界で働いていて、知り合い
仲良くなった後、悪い先輩によって事件が起きる。
その後、話が変わって、お花屋さんを営む女性の結婚式が近いという話になり・・・

全く別の話かと思ったら、先の話のその後の話で、当時の少女が復讐に及ぶ話。

ああ、嫌な話ばっかりで恐ろしい。

唯一、<はなの便り>は、微笑ましかった。
この流れだったので、途中まで、どんな展開になるのやら?とドキドキして
いましたが、ああ良かった♪


短編なので1つの話がサクサク読めていい。
2冊目、3冊目も読んでみよう♪


                         ★★★
 

発行年月;2016年7月

薔薇の咲き誇る家で優しい夫と暮らす咲季子。
平穏な毎日が続くはずだった。あの日、年下の男と出会うまでは。
めくるめく恋は世界を一変させ、夫からの酷いモラハラに気づいた咲季子は
自由を求め踏み出すが……。      

                    (集英社HPより)



裕福な家庭に育ち、両親から譲られた広い土地を洋風にして夫と二人で
暮らしている咲季子。
庭で薔薇を育てるのが趣味で、その薔薇を使ったフラワーアレンジメントの
教室を開く。
自身のブログが出版社から写真集として出版された。
夫の通彦もグラフィックデザイナーとして写真を撮るなど協力してくれた。

しかし、夫は事ある毎に咲季子を見下した発言をし、何かの拍子にそれが
増大し、咲季子は自分をダメな人間と思ってしまう。


そんなとき、写真集の2冊目の話が出版社から来て、そこで出会った堂本。
堂本の強引さに抗えず、どんどん深みにはまる咲季子。


そして最後は・・・・最悪な結末。

ああ、咲季子って女性はなんて男運がない!
夫も最低だけど、不倫相手も最悪な男で、こんな二人と関係ないところで
だったら、幸せに暮らせた人なのに・・・・

両親から貰った土地と不動産があれば経済的にも独りで十分なんだから
別れるという勇気を持てば良かったのに・・・・。
愚か過ぎる。
でも常々、夫の道彦からモラハラ受けていたら、自分は一人じゃなにも
出来ないダメな人間って思わされてしまっていたのかな?

自分が咲季子の立場だったら・・・・と考えるとちょっと恐ろしい。


話としては後味悪いけど、一気読みでした。


                          ★★★



発行年月:2011年7月


 自分を中学一年生だと思い込む祖母。父と別居中の母。
入学早々失敗した私。
三人の人生のつまずきに、祖母のある言葉が絡み合い、
切なく悲しい過去がよみがえる??。
感動長編ミステリー。

                  (幻冬舎HPより)


ほしおさん、前回読んだ「活版印刷三日月堂」が凄く好きなかんじだったので
こちらの過去作品も読んでみました。
やはり、いいですね。
文章がすらすら読めます。

主人公は中学受験を経て、祖母の母校でもあるミッション系の
望桜学園に進学した都築夏草。
入学後、なんとなく周りの雰囲気に馴染めず、あることを機に陰湿な
いじめに遭ってしまう。

入学前には、3.11があったり、両親が別居中とか、問題があれこれ絡んできます。
けれど・・・どれも自然の流れのなかのことで、唯一、自分を理解してくれる
友だち戸倉千波の存在もあって絶望感からは脱出する。

そして、大きな出来事・・・・祖母が倒れて入院。意識不明からは脱するけれど
記憶が混乱して自分を中学1年生と思いこむ。
そんな祖母を温かく見守る夏草と母の木の実。
3人の関係が素敵でした。

祖母がどうして中学1年生の記憶を強く残しているのか?
その疑問から夏草は祖母の過去を調べていき、初めて知った祖母の過去。

この辺りの謎解きには、切ないものがありました。
祖母・夕子さんの手紙は長かったけど、じ~んとしました。

そして、夕子さんは息を引き取りますが、その前に一時意識が戻り
学圓時代の相馬先生と面会出来て、本当に良かった。

別居中の夏草の両親もお互いの良きところを再び見つめ直す機会ができ、
明るい未来が見えそうな結末が物語を気持ちよく読み終えることに繋がった。


いいですね、ほしおさん!
他の未読作品もどんどん読みたいと思います。


                        ★★★★★




発行年月:2015年9月


 元「怪盗紳士」が隠居として暮らし、
非番の日にご近所の相談ごとで引っ張りだこの若手刑事も住む花咲小路商店街。
ここにはたくさんのユニークな人びとが暮らし、
日々大小さまざまな事件が起こる。
今回の主人公は、商店街で「花の店 にらやま」を営む花乃子さんのもとに
居候することになった十代の女の子。
人々の慶びごとにも悲しみにも寄り添う花屋の仕事を手伝うなかで、
ある日ちょっと気がかりなお客さんが来店して―――

                    (ポプラ社HPより



花咲小路1丁目と4丁目のお話は読んでいるので、これも楽しく読めた!
花咲商店街の面々も関わって良い雰囲気のご近所づきあいの場面は
ほっこり(^^)

今回はお花屋さん「花の店にらやま」が舞台。
お店を経営するのは、花乃子さんとその双子の弟・柾と柊。

そして、そこに高校生のめいが加わる。
高校で虐めに遭い、学校を退学し、花乃子たちのお花屋さんで働きながら
高校卒業資格試験を目指すという。

めいちゃん、良い子なのに・・・・虐めってホント嫌だね。
でもここでの暮らしが、めいちゃんを温かく見守る人たちに囲まれるもので
良かった!

お店を訪ねて来るお客さんから始まる、ちょっとしたミステリー話も面白く
色々な恋バナもあって楽しい。

過去にあったちょっと哀しいことも乗り越えて皆がそれぞれを思い遣って
日々暮らしている様子がいい。

このシリーズ続いてほしいな。

3丁目がまだ出てないから期待^m^


                        ★★★★
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