発行年月:2016年9月
「ある事故」で突然障害を負った幼馴染への心の葛藤を描く「小さな木の葉に宿る一本の木」他、「生きづらさ」を抱えた主人公たちの人生が、いつしかある小さな公園で交差する全5篇を収録した胸に迫る連作短篇集。書き下ろし。
(原書房HPより)
本の表紙を開けると裏に書かれていた文
だれかの助けを借りなければいきていけない。
「自分はああならなくてよかった」
そんなふうに世の中から切り離されてきた人たち
---手足が不自由な人、目が見えない人、知的障害を負った人---
の日常に光を当てた、連作短編集。
「普通」とは何か。幸せな人生とは何かを、穏やかに問う。
5つの話、どれも障害のある人が出て来ますが、先天的だったり後天的だったり。
<小さな木の葉に宿る一本の木>
幼いとき自分に優しくしてくれた6歳年上の従兄弟の晴生のことを思う。
晴生は、両親の離婚後、祖父母の家で暮らしていた。
勉強が出来て優しくかったのに高校2年のとき、虐めから怪我をし
一時は意識不明になったが、なんとか意識を戻した。
けれど、言葉をなくし、表情も乏しくなってしまった。
イジメって本当に赦せない!
最後は綺麗に終わっていたけど、腹が立って仕方なかった。
<たんぽぽと梅の木>
60歳になって亡き母のことを思い出す。
自分が生後5か月のときに父親が交通事故死し、苦労して育ててくれたが
大人になったら、あれこれ厳しく指図され嫌気がさす。
大学進学後は母から離れられてホッとしていたがある日、目が見えなくなると
母から電話。
う~ん。この話もなんだか違和感。
あまりにも冷たい娘じゃないか?
<恐竜と銀杏>
25歳の時、婚約者だった同級生の龍彦の車に乗って居て事故にあい足が不自由になり
車イスの生活に。
それでも結婚しようという龍彦と別れた。
その後、龍彦とも同級生のケンと交際し幸せな日々。
龍彦にちゃんと会って別れを言うため会いにいく。
龍彦にも幸せになって欲しい。
<神樹のゆりかご>
夫が海外に単身赴任中、4歳の息子と二人暮らし。
子どものために一番いいことをと育児書を参考に何事も完璧を目指すが
息子がある日、ストレスの反動で異常行動を起こす。
ああ、この話は嫌な話。
この母親の行動は異常だけれど、それに気づくほかの母親たちには
どうしようも出来ないことだから、可哀想な子供は耐えるしかない状況。
このあと、どうなるんだろ???恐ろしい話。
<木を抱きしめて生きる>
左手がマヒしている高校生。
いつも学校を抜け出し公園のベンチに座って昼食を一人食べる。
そこで知り合った老人と心を通わせる。
この話が良かった。
老人との会話が心地いい。
朗読してほしいと差し出した本の詩もよかった。
最後の話だけが心が温かくなった。
他の話は、なんだか胸が痛くなったけど。。。。
★★★
発行年月:2016年9月
ドラマ化「ある日、アヒルバス」待望の続編!
このバスに乗ると幸せ(な気分?)になれる。
世界のお客様をオモテナシ!のはずが…!?
笑いと涙のお仕事小説
NHK-BSプレミアムでテレビドラマ化「ある日、アヒルバス」待望の続編!
アヒルバスのバスガイドになって12年、いつしかベテランになった高松秀子(デコ)。
恋も仕事も充実…のはずが、後輩に追い抜かれっぱなしの日々。
外国人向けオタクツアーのガイドを担当するが、
最悪の通訳ガイド・本多光太のおかげでトラブル続発。
デコは乗客に、そして自分にも幸せを運ぶことができるのか――!?
アラサーのデコにもとうとう春が来る!?
ようこそ、ニッポンへ。でもそれって日本文化(クールジャパン)?
(実業之日本社HPより)
ドラマ化されたのも面白かった!
その続編なので期待して読みました。
秀子(デコ)は30歳。
アヒルバスのなかではなくてはならない存在になってましたね~。
お見合いバスツアー、外国人相手のOTAKUツアー、お一人様堪能ツアー
親子でチャレンジバスガイドツアー、着付け教室&下町そぞろ歩きツアーなど
興味深い企画いっぱい!
外国人相手のOTAKUツアーが面白かったなぁ~。
訃音ランドのバンド、ハラキラズのメンバーとデコのやり取りが可笑しい。
バスガイドの独身寮は、江戸前ハウスに代わり、ハラキラズの面々が宿泊。
管理人は、モモさん。
寮母さんだったモモさんも80歳!
でもパワフルで良い!
外人の通訳ガイドとしてデコと一緒にツアー同行の本多も最初は嫌な男だと
思ったけれど・・・・終盤はデコとも友好的な関係に。
そして・・・アヒルバスのグッズを制作しているビビット・コムの
城ケ崎くんとの関係も気になるところで今回はおしまい。
う~ん。まだこのシリーズは続きそうですね。
ドラマもやってほしいなぁ~。
でもデコ役の藤原紀香忙も梨園の人になっちゃったから忙しいかな?
ちょっと本のイメージと違うから、この際、違う人でやるというのも
在りかな?なんて個人的には思うのだけど・・・・^m^
★★★
発行年月:2016年1月
ママはいいわよべつに、刑務所に入ったって
小料理屋の女主人百々子七九歳と若い頃から女が切れない奇妙な魅力をもった七つ年下の夫。
半世紀連れ添った男を何故妻は殺したのか
(文藝春秋HPより)
いきなりの殺人シーンからの始まり。
殺したのは妻・百々子(79歳)。
殺されたのは妻より7つ年下の夫・拓人。
二人には娘が二人と息子が一人。
長女の時子は独身で母と飲み屋「ひらく」で働いている。
物語は、章ごとにこの家族の色々な出来事を描く。
拓人は、百々子と付き合った時から常に女絡みの問題があり・・・
百々子が女子校の国語教師だったときの教え子とも関係を結び
その子との関係を解消するために、百々子との結婚を決めたとか。
なんでこんな男が良かったのかね~と思うけど、どの女性にも優しい様子。
絵も上手、文章も書くという人で、作家として編集者との付き合いもあり
女性編集者のアリサとの関係は男女のというよりは、人としての
優しさでアリサに接していたような・・
それを百々子たち家族を混乱させた要因か?
最終章で、アリサが拉致されたときは、どうなる?とハラハラしたけど
無事でよかった。
でもこの後、百々子はどうするんだろ??
百々子は、きっと拓人のことが、ずっと好きだったんだろうな。
それじゃなきゃ、79歳もなって嫉妬したりしないでしょ?
そう考えると、なんだか切ない話。
★★★
発行年月:2016年9月
幸せな日々を過ごしていた少女は、父の急死で、悲しみのあまり学校に行けなくなり、夏休みの間、アメリカの伯母に預けられる。動物たちの救済をしながら、家族の絆に気づき、生きる希望を抱くようになる。魂の再生の物語。
(金の星社HPより)
図書館で、予約して借りたので、手元に来て・・・
「あら?児童書でしたか・・・」と^^;
でも内容的には大人が読んでも楽しめました。
小学6年生のさつきが同じ年だったころの母親・みずきの話を聞くという始まり。
いつもと同じ朝を過ごし、学校に行き。。。。
父親の急死の報せを聞き、その瞬間から悲しみのうずまきに苦しむ日々。
父親の急死後、父親の姉が暮らすアメリカで暮らすみずき。
そこでの暮らしが段々とみずきの悲しみを癒していくという話。
話としてはよくあるものですが、最後の手紙には、じ~んと来ました。
人の不思議な縁って実際あると思うし・・・。
でもさつきが最後にも出て来るかと思ったのに、出て来ず。
さつきに話す形にした意図がちょっとわからなかったなぁ~。
★★★
発行年月:2016年6月
あなたの記憶は、あなただけのものですか? 記念碑的エンタメ巨篇!
世界的ベストセラー作家の兄の不審死と遺された謎だらけの随筆。
記憶とは食い違う原稿の真実が明かされるとき、“世界”は大きく揺らぎはじめる――。
直木賞作家、全身全霊の900枚。
(角川書店HPより)
長い物語だったなぁ~。
3部作構成で、登場人物が多く、やや混乱するので読むのに時間がかかったけれど
飽きることなく最後まで読めた。
第一部は10年以上、絶縁状態だった兄が自殺したという連絡を受けた
弟の古賀純一の語り。
兄は著名な作家・手塚迅(本名は古賀壮一)。
だけど。。。純一もこの部で亡くなってしまう展開にはビックリ!
第二部は古賀兄弟が亡くなって8年が経過した話。
古賀壮一の義理の甥(壮一の離婚した妻の妹の子)・白崎東也(30歳)が語り手に
なって伯父の死、その弟・純一の死を追う。
第三部は引き続き東也が語り手だけど、自分のルーツと
伯父・その弟純一の繋がりを過去の真実から知る。
とある宗教の教祖の記憶を持っていた古賀壮一。
人の記憶の不思議さを感じる、なんだかミステリアスなお話でした。
表紙の大きな桜は物語の中でも重要なものでした。
やや複雑な話ではあったけれど、なかなか面白かった!
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;