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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2016年10月


愛されたいのに、消えてほしい。
お母さん、いい娘(こ)になれなくてごめんね。
私はもう、あなたの“人形”にはなれない。
絆(きずな)か、呪縛(じゅばく)か――
赦(ゆる)し合えない母と娘の葛藤を描く作品集

娘を侍女扱いする“永遠のお姫様”の母。
器量の悪い瓜(うり)二つの娘を忌(い)み嫌う母。
理想から外れた娘に心を閉ざす母。
母を亡くした娘から父を奪った新しい母。
従順ないい娘であることを強要する母。
「あなたのためだから」――それは、本当に私のためなの?

                (祥伝社HPより)




ああ、母と娘の関係って難しいね~。
5つの話、どれも読んでいると、なんだか胸の奥がザワザワしてくるような。

出てくる娘たちは36歳前後。
それぞれに交流があったりして。
特に美咲とその夫・
正平、美咲の友人、志穂との関係はちょっと

この後、どうなるのか気になる。
母と娘の関係の話より、こちらが一番気がかり^^;


しかし、母親って娘にとって共通の思いが大なり小なりあるんだなぁ~。
自分が母親に抱いていた思いもこの中にあったし・・・
二人の娘たちも、わたしのこと同じように思ったりするのかな?
なんて考えるとちょっと凹むけど。



                       ★★★
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発行年月:2016年5月

時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みる中、大奥に留まった五人の「残り者」がいた。なにゆえ残らねばならなかったのか。それぞれ胸の内を明かした彼女らが起こした思いがけない行動とは――直木賞受賞作『恋歌』と対をなす、激動の時代を生きぬいた女たちの熱い物語。

                    (双葉社HPより)




最初から最後まで面白かった!


大奥女中の5人が城の明け渡し前夜から明け渡しの日まで一緒に過ごす物語。


・りつ・・・・天璋院付女中、呉服ノ間
・お蛸・・・・天璋院付女中、御膳所
・ちか・・・・天璋院付女中、御三之間
・ふき・・・・天璋院付女中、御中臈
・もみぢ・・・和宮付女中、呉服ノ間

もみぢだけ和宮付ということで、最初は1対4の関係だった。
けれど、御針競べで、りつと競い、その腕の確かさに驚き、りつは素直に
負けを認めたことで、敵対関係が少し緩む。

5人が共通して城に残ったのには、それぞれの理由があるのだけど
最後は、城の受け渡しの様子を静かに見守り、退去しようと決める。

官軍が城に入ってきた場面は、ドキドキ。
無事に見つからずに居られるか?
そのあと、無事に城から出られるのか?


でも最後は、5人のその後の暮らしぶりがわかってホッとしました。
5人の絆は保たれたままだったのも嬉しかった。


読みごたえあって、面白い時代小説!


                      ★★★★★




発行年月:2016年9月


 高校の廊下にうずくまる、かつての少女だったものの影。疲れた女の部屋でせっせと料理を作る黒い鳥。母が亡くなってから毎夜現れる白い手……。何気ない暮らしの中に不意に現れる、この世の外から来たものたち。傷ついた人間を甘く優しくゆさぶり、心の闇を広げていく――新鋭が描く、幻想から再生へと続く連作短編集。

                   (新潮社HPより)


不思議な話。
ちょっとホラーっぽい描写もあるけれど、なんだか惹きこまれていく物語たち。
6つの短編それぞれの主人公たちは、死を感じさせる者たちと触れ合う。
それぞれの主人公たちの置かれた立場がとても痛々しい。
けれど、絶望のなかから少しだけ救いが覗くのが読んでいるこちらにも救い。

<君の心臓をいだくまで>
夫は出張中の日菜子。
妊娠中だけど、胎児の心音が確認されず様子をみましょうと医師から言われる。
その後、帰宅すると見慣れぬ女が食事を作って待っていてくれる。
女は大きな黒い鳥。


<ゆびのいと>
まだ新婚なのに突然、妻は突然、脳梗塞で亡くなった。
けれど、帰宅すると料理を作って待っていてくれる。
料理のなかには何かすごく生臭い肉の塊のようなものが必ず入っているのだが、
妻はそれが一番大事という。


<眼が開くとき>
カメラマンの瑠璃は、仕事で偶然、阪口暁と再会する。
小学5年生のときに転校してきた美少年は今はモデルとして瑠璃の前に。
子どもの頃、暁を頭からバリバリ食べてしまう夢をみた。


<よるのふち>
10歳の宏之は母親を交通事故で亡くす。
8つ年下の弟を放課後に保育園に迎えにいく。
夜中、弟の頭を撫でる白い手。
母のハンドクリームのにおい。


<明滅>
大雨で避難勧告が山すその住民に出ているが、自分たちのところは大丈夫と
自宅で夜を迎えている夫婦。
夫が中学生のとき、川に落ちて流され怖い思いをしたことがあるという話をする。
妻はそのあと、怖い夢を見たと起きて、真っ暗ななんの救いもない場所に
連れていかれる恐怖について話し合う二人。


<かいぶつの名前>
学校の屋上から落ちて亡くなった少女。
昼間は学校の廊下にじっとしていて、夜になると歩き廻る。
女子トイレで感じる人の気配。
噂があったトイレで手首を切った女の子だろうけど、関わらないようにしている。
そして、新しく赴任してきた女教師が少女を見つけ自身の教員室に招き入れ
話をする。
かつての名前〇〇さんと呼ばれる。


独特の雰囲気。
表題の意味も全部読んだあとなら、なんとなく理解できる。
どうしようもない心の中の暗くて重たい思いを共有して
そばにいてくれる人の存在が、その人を救うってことかな?


                          ★★★★★



発行年月:2016年10月

吹奏楽部には入らないと、高校の入学式で美由は心に決めていた。だがクール女子の久樹、優しい菰池ら同級生との出会いが美由の気持ちを溶かし……。人と繋がり、好きなことを再び始めるまでの16歳の心情を丁寧に描く。すがすがしくキュートな青春小説。

                  (朝日新聞出版HPより)


表題の意味は何か音楽用語?と思ったら
表紙裏に説明ありました。

アレグロ (音)快速に (伊)陽気な、快活な
ラガッツア (伊)女の子、少女、娘


主人公の相野美由は、中学時代2年の夏の終わりまで吹奏楽部でフルートを
演奏していた。
同じ部活で仲良しの愛沙と一緒に過ごす時間が楽しかったけれど、
ある日、愛沙から言われた言葉にショックを受け、その後関係がギクシャクしたまま。

高校に入学して隣の席になった久樹友里香と言葉を交わし、不器用だけれど優しい
不思議な性格に何だか惹かれるものを感じる美由。
そして、二人の様子をいつも見ている菰池君。

3人のやり取りがなんだか可笑しくて微笑ましい。

共通しているのは楽器演奏経験者ということ。

菰池くんの「一緒に吹奏楽をやろう」の言葉で3人は吹奏学部に。

終盤、なんだかギクシャクしたまま別れた愛沙との偶然の再会にも
自然と話かけが出来た美由に成長の証をみた感じで嬉しかった。

自分のことを理解してくれる友の存在って大きいよなあ~。
3人の友情がこの後、どうなっていくのかも気になるけど
これはこのまま終わるのがいいかも。


                        ★★★




発行年月:2016年9月


 ゴッホにセザンヌ、ルノワール。綺羅星のようなコレクションを誇った美術館は、二〇一三年、市の財政難から存続の危機にさらされる。市民の暮らしと前時代の遺物、どちらを選ぶべきなのか? 全米を巻き込んだ論争は、ある老人の切なる思いによって変わっていく――。実話をもとに描かれる、ささやかで偉大な奇跡の物語。

                  (新潮社HPより)



デトロイト美術館展を初夏に観ました!
とても見応えのある素敵な展示会でしたが、このマダム・セザンヌはあったかな?
記憶にないのが残念です^^;

第1章~4章まで。
表紙のセザンヌの絵、<マダム・セザンヌ>が共通して出てくる。
セザンヌの妻・<オルタンス>を描いた絵。
独特の表情。ずっと見ていて飽きない絵。
その絵に魅了された者たちの物語。

第1章は妻と一緒に行ったデトロイト美術館の思い出を大切にしているフレッドの話。
亡くなる前に行ったとき、<マダム・セザンヌ>を一緒に観て会話したことを
思い出しながら<オルタンス>に会いに行くことは妻に会いに行くと等しいことと
なっている。

第2章は、巨万の富に恵まれ多くの美術品を収集していたロバートの話。
特にお気に入りだった<マダム・セザンヌ>は、ロバートの亡きあと
その遺志によりデトロイト美術館の一室の壁に掛けられる。

第3章はデトロイト美術館のコレクション担当チーフ・キュレーターの
ジェフィリーの話。
大学時代からポール・セザンヌの研究をしてきた。
デトロイト市が財政破綻の危機に瀕し、その救済措置としてデトロイト美術館の
コレクション売却の話が出ていた。
そこに第1章のフレッドが訪ねて来て、小切手を差し出す。

第4章は、第3章から引き続き、デトロイト美術館のコレクションを守る
奇跡の働きの話。


こんなに素敵な奇跡の物語がデトロイト美術館にあったんですね~。

短いお話でしたが、素敵な物語でした!


                          ★★★★


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