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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年7月


 『さよなら妖精』から十年のときを経て、高校生だった太刀洗万智は、異邦でふたたび大事件に遭遇する。絶賛を浴びた『満願』をも超える、現在最注目の著者の最新最高傑作!

                    (東京創元社HPより)



高校生だった太刀洗万智・・・ちょっと記憶が薄れていますが・・・^^;

新聞記者を辞め、雑誌のアジア旅行の取材のため訪れたネパールで
繰り広げられる物語。

ネパールの王室内で起きた悲劇は、記憶にないことだったので
興味深かった。
それを太刀洗の身近で起きた殺人事件と絡めてのお話。

登場人物たちが皆、フレンドリーに万智に接するけれど、何処か皆怪しい。

万智に物を売ろうと近づいた少年・サガルの狡猾さには驚きとともに
こういう国で生きていくってこういう風じゃなきゃダメなのかもなぁ~とも
感じて切ない気持ちにもなった。


万智が取材で接した人物が殺害されるという事件が起き、自分の行動に
よって誰かが命を落とすって、今後もずっと引きずりそう。

でもまた万智の物語を読みたいな。

ネパールの国の闇のような部分を上手く繋げてミステリーにしていて
なかなか面白かった。


                           ★★★★
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発行年月:2016年9月


 
昭和36年、学校教育に不信を抱く千明から学習塾の立ち上げに誘われ、吾郎の波瀾の教育者人生が幕を開ける。昭和〜平成の塾業界を舞台に、三世代にわたり奮闘する大島家を描いた、著者渾身の大長編!

                  (集英社HPより)



物語の初めは昭和36年。
自分が生まれるちょぃ前。
この当時は、まだ学習塾なんてあまりなかった。

大島吾郎は、用務員室で放課後、生徒に勉強を教えていた。
学校の授業では理解出来なかった子たちが放課後、吾郎の元に来て勉強を教えて貰う。
そこに訪れた一人の児童・赤坂蕗子。
今まで用務員室を訪れる児童とは少し違う。
学校の成績は優秀で、しっかりした子。
そして、その後その母親・千明と出会い塾を始めようと思うので、その手伝いを
してほしいと申し出る。

そこから始まる吾郎の塾で教育者としての暮らし。

その後、吾郎と千明の間に二人の娘が生まれ
それぞれ大人になり、また新たな家族を作り
それでも教育者を引き継ぎ塾を大きくしたり・・・・


学校教育の様子も変わっていき、大手塾の登場など、教育現場の歴史も描いている。

吾郎と千明の考え方(経営方針)の違いから一時は、離れ離れになるのだけど
再会したときには、過去の衝突のわだかまりなく、またお互いの理解者のような
関係になれた。

長女・蕗子の長男・一郎の教育への関わり方も良かった。
勉強が出来る人が良い教育が出来るとは限らないんだな。と。


長い物語だけど、ず~っと楽しんで読めた。

表題の意味も吾郎の言葉で納得!
素敵な物語でした!!



                        ★★★★★



発行年月:2016年5月

この幸せを守るためには、性欲のはけ口が別に必要だ

「たかがセックスで生活の全部を捨てる覚悟はあるのか」。
したい妻としたくない夫。
セックスと幸福の関係を描き切った連作短編集。

                   (文藝春秋HPより)



なかなか面白かった!
セックスレスに悩む初美は31歳。
ジュエリー制作が仕事で、時々展示会を開く。
夫の啓介は5つ年上で女性誌の編集長。

夫婦仲は良いのだけど、セックスレス。
二人でお風呂に入ったり、スキンシップはあるし、会話も多い。
それならいいじゃんとわたしなんかは思ってしまうのだけど・・・
初美はそれを悩んでいて、同じようにセックスレスを悩む大学の同級生
羽生くん(会計士)と月に一度程度、羽生くんの会計事務所近くのバーで飲み
ながらお互いの近況を話す。
羽生くんはついに浮気をしちゃうのだけど、初美は、危いところまで
行くものの、なんとかその寸前で留まる。

悶々とする気持ちをついに夫に爆発させて、その後一人で寝台列車に飛び乗る。
でもやはり冷静に考えて戻る。

初美って可愛いなぁ~と思う。
夫の啓介も初美気持ちをちゃんと理解して、二人でなんとか
今までと違う環境にしようと旅行を計画したり、ラブホテルに行ってみたり。

なんだか微笑ましい夫婦。


                         ★★★
 



発行年月:2016年7月


 休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつく。かりゆし58の名曲「アンマ―」に着想を得た、書き下ろし感動長編。

                  (講談社HPより)



中盤から、少しSFっぽい要素も加わってきましたが、良いお話でした。

東京で両親と暮らしていたリョウが、小学4年生のとき、母が癌で亡くなる。
母親の死をまだ受け入れられないリョウだったけれど、カメラマンの父親は
仕事で撮影のため旅行することが多く祖母の元で暮らす。
そして・・・・いきなり沖縄に同行させられ、新しくお母さんになる人・晴子さんを
紹介されて戸惑う。

本当に自由人なお父さん。
でも先の奥さんも、晴子さんも本当に好きになったんだからきっと素敵なんだろうね。
ちょっとわたしにはついて行けないものを感じたけれど・・・^^;


物語は、32歳のリョウが沖縄のおかあさんを3日間の期限つきで訪ねる流れ。
観光ガイドをしていた、おかあさんの案内で一緒に沖縄の思い出の地などを
廻り、子どもの頃は言えなかったことや家族の思い出のエピソードを回想しながら
二人で会話する。

沖縄の綺麗な景色が目に浮かぶ。
転校先で友達になった金ちゃんも素敵な子。
喧嘩してもすぐ仲直りして・・・。
担任の先生もリョウの気持ちをちゃんと読み取れる良い先生。

・・・ここからネタバレ・・・・


終盤、リョウが、やたら3日の期限を気にしているのが引っかかり
まさかリョウってこの世に居ない?と思ったら・・・・
死んじゃっていたのはおかあさんだったんだ~。

32歳のリョウのことも終盤にわかり、良い家庭を持ったんだな~と安心。



表紙の写真も素敵。

ちょっと綺麗すぎる出来すぎの話だけど、こういうのも好き(^^)


                          ★★★★



発行年月:2016年10月 

初の海外旅行を前に死んでしまった私。幽霊となって念願の地を目指すが、なぜかブラジルに到着し……。川端賞受賞作「給水塔と亀」を含む、会心の短篇集!

【収録作】
「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。〈2013年川端康成文学賞受賞作〉

「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。

「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。

「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。

「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?

「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…

「浮遊霊ブラジル」…海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが。

                       (文藝春秋HPより)



こんな色々なハチャメチャで可笑しい物語、どうやって思いつくんだろ?
ハチャメチャだけど、意味不明というわけじゃいので読みやすい。


最初の話と二番目の話の登場人物は同じかな?
最初の話で、定年退職後、妻も亡くし独りの身で、気楽に以前住んでいたことが
ある地に引っ越した男の話が出て、その次の話は通い始めたうどん屋で
見かけるコルネさんと勝手に名付けた女性を観察していて起きたことを語る話。
状況が目に浮かぶかんじで可笑しい。
美味しくてもこういううどん屋は嫌かも^^;


どれも面白かったけど、<地獄>と<浮遊霊ブラジル>が好き。
どちらも死んじゃってからの話。
<地獄>に落ちた主人公だけど、地獄の鬼もなんだか普通の人間と同じかんじだし
課せられたものは、それなりに大変そうだけど、なんだか可笑しい。
物語、消費しすぎ地獄とおしゃべり下衆野郎地獄・・・・^m^

<浮遊霊ブラジル>
何のこと?と思ったら死ぬ前に町内会でアイルランドのアラン諸島に行く事が決まって
いたので、それが心残りで成仏出来ずにいる72歳の男の話。
死後、人に偶然、憑りつく方法を見つけ、次々とアラン諸島に行く可能性のありそうな
人に次々と憑いて行く話。
ブラジルに行ったときの話が面白かったな~。


津村さんの次回作も楽しみに待ちます。


                          ★★★★★

 
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