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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年11月

自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。
地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、元夫の恋人の葬儀を手伝うことになった花屋、世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦……。
死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤と決意を力強く描き出す、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこ、新たな代表作!

                    (ポプラ社HPより)


家族葬専門の葬儀会社「「芥子実庵」を舞台に、そこでの人間模様を
連作短編で。


「死」が絡むから結構、重たい話が多かったけれど、そんななかでも考えさせられたり
心に留めておきたくなるような言葉が幾つかあった。

最初の話は、葬儀会社に勤めている佐久間真奈の話。
31歳、独身で付き合っている彼・純也(すみなり)との結婚話のことで
悩んでいる。
純也に結婚を機に仕事を辞めるか、別の仕事に変えてほしいと。

そんななか、親友が、自死して遺体で運ばれてくる。
真奈に最期を託したいとの本人の希望で。

なんか、最初からショッキングでビックリ!
でも、真奈はしっかりしている。
動揺しながらも自分が出来る精一杯をしたと思う。
こんな風に自分の仕事に真摯に向き合っている姿を知ると、結婚を機に
辞めなければいけないなんて間違っていると感じた。

後からの話で、純也の本心も知れて、どちらの気持ちも理解できるだけに
この二人は、恋人として出会うべきじゃなかったのかもしれない・・・
と感じた。

真奈が下した決断は、正しいと思う。


純也の姉が、幼馴染の男友達の通夜に「芥子実庵」に来る話もあった。
純也の姉・良子は、結婚して幼い娘もいる。学生時代の仲良しグループ5人の一人が
事故死し通夜の席で真奈とあう。
良子自身もちょっと辛い状況。
夫とギクシャクした関係は、精神的にしんどい。
それでも、この日を境にちょっと気持ちが変わった様子。
なんとか、夫婦関係がよくなるといいな。


ほかには、芥子実庵の新人・須田の話もなかなか読んでいて辛かった。
中高と同級生だった伊藤の父親の葬儀で再会。
須田は、中学では伊藤に虐められ、高校では見下され続けていた。
須田の家庭環境も悲惨で父親がどうしようもない。
大学に入学するためのお金まで奪うなんて・・・・

イケメン社員の井原の抱えているものも、凄い(ノД`)・゜・。
妻が産後、鬱になり、産まれた子と共に心中。


最終章は、楓子が夫との離婚を。
真奈が彼との別れを選ぶ。
でも、それは、自分らしく生きるため。

結婚しても幸せになれるとは限らないし、一人で自分らしく生きる方が
幸せという場合もあると思う。


結構、重たい内容だったけれど、良い物語だった。



                       ★★★★★
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発行年月:2018年2月


現代を生きる若者の不安と憂鬱と活路を見事に描きだした青春放浪記!
モモコ、22歳。就活に失敗して、バイトもクビになって、そのまま大学卒業。もしかして私、誰からも必要とされてない――!?
そんなやり場のなさから、ひたすら、ちくちくと縫い物に没頭する日々。ここに籠もって、暗い現実を、なんとかやり過ごせたら。でもそうは問屋が卸さない。家を出る羽目になったモモコは知り合いの下宿を転々とし、3Kの肉体労働にも黙々と従事し、明日をも知れぬその日暮らしを続けるうちに、肌身離さず持ち歩いていたぬいぐるみのうさぎに導かれるように、いつしか自分のルーツともいうべき場所に漂着していて――。
外国人労働者、格差社会、限界集落、地方の共同体、超長寿社会……
のっぴきならない現実をつぶさに目の当たりにし、いかに自分が非力かを痛感するたび、自分が傷だらけになって崩壊していきそうで、とにかく怖くて。それでもその場その場で、野草のように地面に根を張ろうとするかそけき女子の意外にタフな生命力。
就職とはなんぞや。働くとは、生きるとは――。
寄るべない気持ちで、たゆたうように現代を生きるすべての若者の、云うに云われぬ不安と憂鬱と活路を余すところなく描き出した人生応援歌!

                  (角川書店HPより)





家出したモモコの行く末を心配しながら読んだ。

住むところもなく、仕事もない状態だけれど、悲壮感はないのがいい。

家庭環境がやや複雑で、本当の父親は病死。
その後、母親は二回結婚している。
二度目のお父さんはお金持ちでモモコの7つ上のハルミが何処かの研究所で
作ったのうさぎをモモコもひとつ貰って、ずっと持っている。
家出のときも・・・・
そのうさぎはうさぎ同士で会話するらしい。
実際、家出まえのモモコの様子を観察しうさぎたちが会話している場面がある。

モモコは最初は、一人暮らしの同級生・西尾のところに暫く居候させてもらう。
でも何もしないで家にいるモモコに保険会社に就職し、慣れない環境で
疲れているのに・・・とモモコを見るたび不機嫌になる西尾に
「いつまでいるの?」と言われてしまう。
そりゃそうだよね・・・・笑

そしてリュックに私物を詰めて家を出てそのまま大学の卒業式に出席し
見かねた同級生・唄ちゃんが居候させてくれるという。
けれど、唄ちゃんの付き合っている彼に言い寄られ、それを唄ちゃんに
目撃されて、家を出る。

次は兄を頼る。
兄の住む会社(警備会社)の独身寮内のゲストルームに入らせて貰うが
外を、あちらこちら散策していたら、不審な行動と思われ兄が注意を受け
自分の評価が下がるから出て行けと言われ・・・・

しかし、その間、兄から、自分たちは父親が違う兄妹なのだと聞かされ
母親と兄の父のことを聞かされる。
そして、自分の亡くなった父親の故郷を訪ねてみようと向い、そこで
みね婆という父親とその父親(モモコの祖父)の話などを詳しく聞く。
暫くその村に留まり、仕事として、地元の無人になったお寺を掃除
したり修繕したりする。得意の裁縫で座布団を作ったりと村の人たちには
感謝される。
が・・・いつまでもここにいても未来がないと
村に必要なものを運んで来てくれたメリーの車で村を出る。

ウサギを見たメリーが同じものを持っている知り合いがいると連れて行ってくれて
そこがゲストハウスになっていたので、暫く滞在することに。
ゲストハウスの管理人・莉瑠は、うさぎは母親の再婚相手の連れ子・ハルミ
から貰ったという。

次々に住む場所は変わり、それでも、そこで新しい人間関係が生まれていく

最後は、得意の裁縫を活かした仕事を始めるのかな?という終わり。


うさぎの正体がイマイチ、よく分からなかったけれど、静かに今も見守って
いるんだろう。

まあまあ面白かった。



                      ★★★



発行年月:2023年11月 (文庫)


菅原孝標女の名作「更級日記」が江國香織の軽やかな訳で甦る! 
東国・上総で源氏物語に憧れて育った少女が上京し、
宮仕えと結婚を経て晩年は寂寥感の中、仏教に帰依してゆく。
読み継がれる傑作日記文学。


                  (河出書房新社HPより)




大河ドラマを見ていて、平安時代の貴族の暮らしに興味を持ちこちらを

読んでみた。

管原孝標の次女として生まれた人が書いた、日記というか回顧禄?
13歳のときに、上総(今の千葉県)から父親で京へ引っ越すことになり
源氏物語を読んでみたいと思っていたので、京にいけば物語が読めると
ウキウキしている様子が可愛い。

けれど、お供の者たちと京まで行くのは想像以上の過酷さ。

途中で眺める景色の描写がいい。
やはり山を越えて眺めた駿河でみる景色は美しかったとあり、なんだか嬉しい。
富士山の様子を・・・青く塗ったような色をしているところに雪が消えることなく
常に積もっているので色鮮やかな肌着の上に白い衵(あこめ)だけを
着ている幼い人のように見えるとあり、興味深い。
面白い解釈。

もう一か所素晴らしいと言っていたのは、近江の逢坂の関とある。
琵琶湖の風景をみたのかな?


京での生活。
やっと源氏物語を手に入れ、更におばさんから源氏物語50巻全部と
伊勢物語など多くの物語を貰い大喜び。

このおばさんってもしかして蜻蛉日記を書いた道綱の母?
大河では、兼家(ドラマでは段田安則さん)の第二の妻(ドラマでは財前ナオミさん)。

書き物をする家系なんだな。

結婚して子どもも何人か産んでいるようすだけど、それはサラリと話のなかに
出てくるのみ。
結婚して、夫に官職が与えられてホッとするとかあって

この時代官職に就けるか否かは重要なことなんだな・・・と。


最後の章は50歳代?

一人暮らしをしている様子で、とても寂しそう。
今の女性なら一人になっても生き生きしている人、多いけれどね^m^

江國さんの訳、読みやすかった。
現代語訳は、ありがたい。
ほかの古典も現代語訳で読んでみたくなった。



                       ★★★★★



発行年月:2023年3月


中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、二百歳まで生きると堂々宣言。今日も全力で我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない! 話題沸騰、圧巻のデビュー作。
受賞
第39回 坪田譲治文学賞
受賞
第20回 R-18文学賞 大賞・読者賞・友近賞

                  (新潮社HPより)


成瀬あかり、なんて面白い子なんだろう。
ひょうひょうとして我が道をゆく。

幼馴染で同じマンションに住む同級生・島崎みゆきもいい。

地元の西武デパート大津店の閉店が1年足らずで閉店するというニュースを知り
その夏の間、デパートに毎日通い続け、地元テレビの中継に写る自分を
みゆきに確認してほしいという。
島崎は了解し、自分も時々、成瀬と共に中継のテレビに映る。
成瀬は、野球チームのユニフォームを自身の制服だと、着ていく。
それが表紙の絵なんだ~。

思いついたことを実行。
その行動力は凄いがある程度、究めると止めるという潔さ?
M-1に応募したり、百人一首をやったり、どれもまあまあいいところまでいく成瀬。

かるた大会で成瀬に魅せられた広島代表の西浦航一郎とのその後の展開も
読んでみたい。

大学受験目前で終わったけれど、この先、何処でどんな日常を過ごすのか?
とても気になる。
続編が出ているようなので、早く読みたい!!



                     ★★★★★



発行年月:2023年12月


「お前にしかできないことなんて、ない」――兄・実行
「あきらめたら、俺という存在はどうなるんだ」――弟・成功
順風満帆な御曹司の前に突如現れ、入れ替わろうとした異母兄。
お前は俺から、仕事も恋も奪おうというのかーー。
『犯人に告ぐ』『望み』『検察側の罪人』の著者が描く、スリリングなサバイバルレース!
入れ替わった「王子」の戦いの行方はーー。
【あらすじ】
準大手飲料メーカー・シガビオの御曹司、志賀成功(なりとし)が何者かによって別荘に監禁された。
彼は取締役就任と、意中の女性・山科早恵里との交際を目前にしていた。
半年後、絶望の中で解放された成功が会社に行くと、社内の状況は一変し、かつての彼のポストには突如現れた異母兄・実行(さねゆき)が入れ替わっていた。
そして実行は早恵里にも近付こうとしている。
「奪われたものは、奪い返さなければ」
成功は、事件の真相と自らの復権をかけて奔走するがーー。
異母兄弟がビジネスと恋で火花を散らす、一気読み必至のエンターテインメント!


                    (水鈴社HPより)



別荘に監禁された、弟の成功。
誰が首謀者?
そして、その間に成功に代わって会社に登場の兄・実行。

兄が怪しい?と最初は思ったけれど・・・・


監禁から解かれて会社に復帰した成功。
兄とバチバチの権力争いか?と予想したので、兄の実行が何か嫌な奴みたいに
感じたのだけど、案外、理性的だし、優しい人?と感じる。

成功は、復帰後は、販売二課に配置換え。
同じ課に気心がしれた同期と後輩がいたため、前向きに
そこで出来ることを精一杯やる姿が清々しい。
父親である社長もそんな姿をちゃんと見ているのもいい。

実行を自分のそばに置きながら、二人のうちどちらに自分の後を託すか?を
考えていたのかな?


そして、成功と実行、二人が同じ女性・山科早恵理に好意を持つ。
先に出会っていたのは成功だし、相手の気持ちもまんざらでもないというところで
監禁されてしまったのは気の毒。
実行のアプローチをどうする?というラストには、ドキドキ。

物語の冒頭は、ミステリーっぽかったけれど、これは恋バナを含めた
お仕事小説かな?
腹違いの兄弟という特殊な関係の二人の気持ちの変化もよかった。


最初から最後まで面白かったぁ~(^^)




                     ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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