発行年月:2018年5月
定年後の誤算。
一人の青年の出現で揺らぎはじめる夫婦の日常――。
「老いゆく者」の心境に迫る、著者の新境地!
趣味のクロスバイクを楽しみながら、 定年後の穏やかな日々を過ごす昌平とゆり子。ある日、昌平が交通事故で骨折し、 「家事手伝い」の青年・一樹が通うようになる。 息子のように頼もしく思っていたが、ゆり子は、家の中の異変に気づく......
(毎日新聞出版HPより)
表題から想像して、嫌な話かなぁ~?と予測。
まあ、ちょっと嫌な話だった。
ふとしたきっかけで知り合った青年・石川一樹(26歳)。
怪我で入院した昌平(72歳)のリハビリ通い&家事手伝いにと
一樹をアルバイトとして雇う。
そんなある日、ゆり子は、ふとした疑問を抱く。
大切にしていたブレスレットが無くなる。
置いたはずのところになく、何処を探しても見つからず、そのうち指輪も
紛失する。
そして昌平の時計も・・・・。
一樹は、真面目で良い青年という風ではない。
でも優しいところはあり、夫婦のことを嫌いなわけではない。
青年と老夫婦の関係も良い感じにみえる。
ただ悪い友達がいて、その言葉に一樹も従ってしまうのが、いかん!
でも、老夫婦は、正しい人たちだった。
結果、夫婦の絆は深まったみたいだし、この先の生活も二人で
それなりに楽しく送っていけそうで良かった。
もっと悪い展開になるかと、ドキドキしながら読んだけど
ホッとした気持ちで読み終えられて良かった。
★★★
発行年月:2017年11月
第158回 直木賞ノミネート!
「友よ、最上のものを」
戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて――
平成の老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、
赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。
「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。
そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった――
戦前、戦中、戦後という激動の時代に、
情熱を胸に生きる波津子とそのまわりの人々を、
あたたかく、生き生きとした筆致で描く、著者の圧倒的飛躍作。
実業之日本社創業120周年記念作品
本作は、竹久夢二や中原淳一が活躍した少女雑誌「少女の友」(実業之日本社刊)の存在に、
著者が心を動かされたことから生まれました。
(実業之日本社HPより)
昭和12年から始まる物語。
主人公の佐倉波津子は16歳。
歌の勉強をしていたけれど、経済的事情からそれを止めて、働くことに。
勤務先は当時、人気のあった雑誌「乙女の友」の編集部。
主筆の有賀憲一郎付の給仕・小間使いとして。
絵を担当していた長谷川純司や有賀のいとこ・史絵里などと共に
次第に雑誌づくりにも関わるようになっていく。
雑誌を作る様子が大変そうだけど、なんだか楽しそう。
人間関係もよく良いチームという感じ。
けれど、時代は次第に戦争へ。
なんだか、途中からNHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」を思い出した。
戦争さえなければ、仲間として雑誌づくりを続けていけた人たちが
バラバラになりその後の消息さえわからなくなる。
なんとも辛い時代。
物語は、波津子が年老いて、施設にいて昔を思い出す形式。
そこに度々、訪ねてくる人あり。
最後はその人と面会する波津子。
懐かしい人と繋がりのある、その青年の話を聞き、多少、当時の仲間の消息も
わかる。
新たな生きる意味を得た波津子。
良い物語でした♪
★★★★
発行年月:2017年11月
答えはいつもふたつある。
吉田篤弘が、京都の街を歩きながら
「本当にそうか?」と考えたこと。
ミシマ社創業十周年記念企画
この街で考えたことを、これまでに何冊かの本に書いてきた。ただ、それらのほとんどは小説だったので、物語のどの部分が京都で考えたことであるかは判らない。いまこうして書き始めたこの本は小説ではなく、京都で考えたことをありのままに書こうという本である。――本文より
(ミシマ社HPより)
吉田氏が考えたことを綴っただけの本。
それでも面白い。
東京に生まれて、東京に暮らす著者が、京都に行って、ブラブラ街を歩き
古書店や喫茶店に寄りながら、あれこれ考える様子が楽しい。
こんな風に京都の街を歩き廻りながら、多くの小説の元が生まれているのか?
掌編小説<スリンク>も良かった。
夕方になると動き出す機械。
50円を入れて覗き窓を見ると奥に見える、この世のどこかにあるような
懐かしいもの。
何処か懐かしい子ども時代を思い出すような話。
この後、マルヤマとイツキはどんな会話をしたんだろ?
すぐ読み終えてしまったけど、やはり独特の雰囲気で好きだ。
★★★★
発行年月:2017年5月
羽野千夏は、民俗学の「口頭伝承」を研究する大学生。“消えない記憶”に興味を持ち、認知症グループホーム「風の里」を訪れた。出迎えたのは、「色武者」や「電波塔」などとあだ名される、ひと癖もふた癖もある老人たち。なかでも「くノ一」と呼ばれる老女・ルリ子は、夕方になるとホームから脱走を図る強者。ほとんど会話が成り立たないはずの彼女が発した「おろんくち」という言葉に、千夏は妙な引っ掛かりを覚える。記憶の森に潜り込む千夏と相棒の大地。二人を待っていたものは……!
(講談社HPより)
千夏と老人たちの会話が愉快。
自然と老人たちを語らせるのが上手い!
民俗学っぽい話を語る青村ルリ子(92歳)。
「おろんちく」「がらんど」・・・何やら怪しい気配。
その単語の意味を知りたいとネットに投稿し、反応したのが高校生の立原大地。
母親との折り合いが悪く不登校になり未来を失いかけた大地だったけれど
千夏と交流し、一緒に謎を追ううちに、なんだか活き活きしていった。
老人たちも共通の話題で盛り上がって楽しそう。
認知症の人がこんな風に即、反応するのは、ちょっと出来すぎだとは
思うけれど、物語としては面白かった!
千夏と大地、いいコンビだな~。
本当の姉と弟みたい。
社会問題も絡んで、楽しいばかりじゃない話だけれど、読み始めたら
一気読みだった!
他の作品も俄然、興味が沸きます!
★★★★
発行年月:2017年11月
中学校教師と作家の二足のわらじを履く多忙な生活から一転。
主婦となり、のん気な夫とやんちゃな娘と暮らす毎日が始まって──。
ほのぼのとおかしく、心があたたかくなる、著者初の家族&育児エッセイ。
(集英社HPより)
良い物語を書く作家さんの日常を知れるエッセイは楽しい。
瀬尾さんは中学校教師を辞めたんですね。
主婦、作家、子育てだけでも大変なのに、教師まではムリですよね~。
エッセイは40歳前に結婚して、出産、娘さんの幼稚園卒園までを綴ったもの。
ご主人がユニーク。
よく寝る上に早起きして30分かけて食事して、出勤前5分、再び寝るって
ビックリ!
そんな風に二度寝する人、他にいないと思う・・・笑
そんなご主人とどうやって知り合ったんだろ??
ちょっと興味が沸いてしまった。
娘さんはご主人似の性格かなぁ~?
やんちゃで可愛い姿は、ほのぼの。
これから、小学校生活か~。
そんな話もまた読ませて欲しいな。
自分の過去の子育てを思い出しながら楽しく読んだ。
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
