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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年10月


花実母娘のルーツとなる祖母の壮絶な人生譚
 花実は中学三年生となった。進路を考える年頃。そして、ほんのり初恋の気配も。そんなある日、花実の母・真千子がひったくりの被害に遭う。その事件から、花実は「金」に対しての意識がより強くなり、よりシビアな中3となる。事件の犯人が判明するが、それは予想外のほろ苦い結果に。
 そんなある日、見知らぬ女性から祖母タツヨの訃報が届く。以前「太陽はいつもひとりぼっちだ」と言い放ち去って行った祖母。そして、その女性からタツヨの日記を渡される。そこには、暗く辛い昭和を生き抜いてきたタツヨの長い長い凄惨な人生が刻まれていた。それを読んだ花実は・・・・・・。
 前半と後半ではまったく違う世界を味わえる作品。本当に二十歳の著者が書いたのだろうか、と驚く展開、描写。著者のまったく新しい一面を見ることが出来る渾身の長編小説です

                  (小学館HPより)





花実の亡くなった祖母のお話。

遺された日記を読む花実。
祖母・タツヨの壮絶な人生がそこには書かれていた。

幼い頃より、両親や兄弟にばかにされながら、両親には叩かれたり暴力・暴言の
数々が日常的に繰り返されたタツヨ。
両親が持ってきた縁談話を受け入れ、結婚した夫・田中正は
愚鈍な男で失敗ばかり。給料袋を落として来た時、我慢も限界で
お腹に子どももいるのにと
「死ねよ。生きていてもみんなに迷惑かけるだけだから死んでこいよ」と。
それに対して「わかった」と答える夫。

そして、本当に交通事故で亡くなってしまう。

ああ、こんなの一生後悔する・・・(ノД`)・゜・。

産まれた娘・真千子は可愛いく愛情も感じるのに、夫の死を責められているように
感じる幼い真千子の言葉に驚き、折檻するようになってしまう。

本当に読んでいて辛いタツヨの人生。

仕事場で知り合った吉澤さんが良い人でよかった。
タツヨの頼みをきいて死後事務委任契約を受けてくれて、タツヨの死後の
あれこれを引き受けて、全部捨てて欲しいと頼まれていたけれど
これは捨てられないと真千子と花実の元に届けてくれたことでタツヨの本心が
わかった。
日記をまだ読んでいない真千子もタツヨのことを赦せるといいな。


ああ、今回も凄い話でした。
まだ20歳の子がこんな話、よく書けるもんだと改めて感心。



シリーズはまだ続くのかな?
他の話も新しく書いて欲しいけれど・・・・。



                    ★★★★
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発行年月:2003年9月



あなたの恋は、どんな色?出会いの予感、別れの兆し―― 
七人の作家が描き出す、贅沢でドラマチックな七つの恋模様。
書き下ろし6作+オリジナル1作で贈る恋愛小説アンソロジー

               (角川春樹事務所HPより)



<ドラジェ  江國香織>

結婚式の新郎と新婦をそれぞれ知っている。
新婦は高校時代の仲良しグループ6人のうちのひとり。
新郎とは、恋愛のような友達のような付き合い。
それぞれとずっと付き合い続けるのかな?

<そしてふたたび、私たちのこと   角田光代>
高校からの親友・ワカコとユリエの恋愛についてあれこれ考える。
二人とも不倫しているが過去にも色々。
特にワカコの恋愛遍歴がすごい。
それでも今は女性課長に昇進し、下田にリゾートマンション購入。
こんな友達いるといいな。

<帰れない猫   井上荒野>
恋人の元から離れて別の人の元へ行こうと思っていたら、大雨で身動きが
出来ず、仕方なくその晩も留まることに。
このあと、やっぱりずっと留まるってことになる?

<これっきり   谷村志穂>
マユミは、チアキに約束を放置され恋人と過ごすことを選んだことを後でしり
激怒。絶好する。暫くして、そろそろ仲直りしようかとチアキの電話に出たが
会話中、再び意見が衝突。
こんなの親友じゃないんじゃないか?

<ビルの中   藤野千夜>
同じビル内の同じフロアで働いている男性の話題で密かに同僚と盛り上がる。
実はちょっと惹かれている。
会話から謎が溶けて、ちょっと親しくなれるかも?
こういう感じはいいな。

<くらげ  ミーヨン>
契約恋愛が気楽だという女性の話だけど
よくわからなかった。
この作家さんも知らない。

<手のひらの雪のように   唯川 恵>
恋人が親友と浮気したことを知ったナオ。
親友の恋人・俊太郎に会って、許すつもりかどうか聞く。
何度もナオに謝りやり直したいという恋人に1年間の猶予を与え
1年後も変わらない気持ちなのか聞くことに。
その間、1か月に1度、俊太郎に会い、気持ちの確認をすることに。
予想通りの結末だったけど、自然なかんじでいいかな?



アンソロジーは、気楽に読めるけれど、ちょっと物足りなさがあるかな~。




                   ★★★



発行年月:2018年12月


コピー機が憎い! どうしてこんなに使えない機械を入れたんだ!? 
OLの日常のいらだちは思いもがけない方向に発展し……。
書き下し「地下鉄の叙事詩」も収録。

                 (筑摩書房HPより)

中編2つ。
最初は、表題作の<アレグリアとは仕事はできない>

アレグリアって、人の名前じゃなかった(笑)。
コビー機の商品名でした。
でも、擬人化して、度々、仕事を中断させるアレグリアに文句たらたらの
ミノベ(女性)。
自分と同じような仕事をしているトチノ先輩は、そんなミノベにイマイチ
共感してくれず・・・・
共感して二人で文句いうほうが、楽なのに・・・。
結局、先輩もミノベと同じ気持ちだったんだとわかるんだけど・・・

アレグリアを納品した会社からメンテナンスで来るアダシノ(男性?)
いつも定時以降に来るっていうのも嫌だわ~(-_-;)
で、不具合で呼んだけれどアダシノが来ると正常に作動するアレグリア。
全く、性悪だよ・・・。
社長が来た時も不具合は起きず、アレグリアは優秀だという認識は覆らない。

でも、結局、最後は、誰の前でも不具合を起こすようになり撤去。

ああ、よかった。


もうひとつの話は<地下鉄の叙事詩>
朝の通勤・通学の時間の混雑した地下鉄車内で起きること。
そこにいる色々な視点で順番に同じその時を語る。
・大学に通学途中のイチカワ。
 隣に立つOL風の女性が何やら険しい顔で
 いるけど、自分が原因か?少し揺れたとき触れたことで痴漢と勘違い
 されたのか?
・通勤途中のニノミヤ。
 今日は座れて運が良かったと思う。
 いつも席に座れる女性が今日は立っているのも嬉しい。
 隣の席の携帯画面が目に入る。「どんな内容を打っているのか気になりつつも
 目を閉じてうとうとしていると、人身事故で電車が止まる。
 皆と一緒に電車を降り、ホームを歩いていると何やら叫び声。振り向くと
 男がホームから転落しそうになっているので、思わずジャンパーを掴んで
 ホームに引き倒す。
・通勤途中のミカミ(女性) 
 車内を見ていて女子高校生の様子が変だと気づく。
 電車が停車したら、あの男を逃がしてはいけない
・女子高校生のシノハラ
 男が触っているのがわかるが身動きできず、声もあげられない状況。
 周りに人は沢山いるのに、孤独。
 電車が止まり、降りる。
 あの男を捕まえてくれている人がいる。
 ちゃんと見ていてくれた人がいた。
 OL風の女性は駅員に説明し、男の耳元で何かを囁き、男は力なく肩を落とし
 ホームの灰色のタイルに両手をついた。


こんな電車通勤は、嫌だな。
でも、こんな風に毎日、電車に乗らないといけない人たちがいるんだよね。
都会暮らしは絶対、無理だな。

しかし、ミカミは格好いい!!
男の耳元でなんて囁いたんだろ?


ふたつの話、それぞれ面白かった。
津村さんの物語にする題材は、興味深いものがおおい。



                      ★★★



発行年月:2024年3月


うまい棒一本で、世界の秘密がわかる?
とある高校の喫茶部。それぞれ好みのおやつを持ち寄る四人は、不思議な噂を耳にする。
「うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい」
それはただの都市伝説か、それとも--⁉
ゆる部活のメンバーがたどりついた「答え」とは。
「おやつ部」のメンバーが、世界の謎にゆるく挑む。
スナックをつまむ指先が光るのは、油のせいだけじゃない、かも。
おいしく楽しく、ときどき切ない5つの物語。
うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい--学内で囁かれる噂の真相とは?(「うまいダッツ」)
おばあちゃんが失くしたブローチを探すことになったおやつ部の面々。探し物の過程で見えてきたものとは。(「チロル・ア・リトル」)
お菓子当てクイズに参加することになった四人。果たして、その勝敗はいかに。(「バカみたいにウケない」)
SNS上の友達と気まずくなってしまったメンバー。会いたくない彼女と会いたい彼女、それぞれの理由とは。(「それは王朝の」)
学年が上がり、初めてできた後輩。しかし彼らは全員、妙にまじめで--。(「百年の愛」)


                   (文藝春秋HPより)



うまいダッツってなんだろう?と先ずは本を手に取って思った。
表紙の絵は、プルッチェル(?)だし・・・・


要するに、うまい棒とハーゲンダッツをかけたわけね・・・^m^
うまい棒を渡すと知りたい質問になんでも答えてくれる、おじさんがいるという
噂話を検証する、喫茶部内のおやつ部の4人。
おじさんの正体は・・・・・(ここ誰か読んでいてまだ未読ならごめん(^^ゞ)

なるほどね。万引きGメンでした。
それより、コウが「今度のバレンタインにチョコが貰えるか聞きたかった」と
言ったことに対してのタキタが可愛すぎる・・^m^



コウの祖母・ミツコさんがチャーミングだな。

週一で来るヘルパーさんに不満があっても、言えないって気の毒。
こういう人、意外といるのかも。


出てくるお菓子が殆ど、知っているものなので、久しぶりに食べたくなる。

マリービスケットは、確かに紅茶に合うと思っていた。
マリーアントワネットからついたというのは知らなかったし、
模様は家紋をイメージしているとか。

今度、買って来よう!!


坂木さんが、あとがきで書いていた通り、皆でお喋りしながらお菓子を食べるって
コロナ禍にはできなかったことだよなぁ~。
今は、また、そんなことが出来るようになってきて、本当に良かった。


ゆるいお話だったけれど、楽しかった♪



                     ★★★★



発行年月:2024年1月


「ゆりかご」か「養成所」か、はたまた「墓場」か。
累計100万部突破! 「理瀬」シリーズ初短編集
ゴシック・ミステリの金字塔。
湿原に浮かぶ檻、と密やかに呼ばれていた全寮制の学園。
ここでは特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。               
ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、
月夜に馳せる聖、そして水野理瀬の現在。                            
理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編。
・水晶の夜、 翡翠の朝
・麦の海に浮かぶ檻
・睡蓮
・丘をゆく船
・月触
・絵のない絵本


                   (講談社HPより)



理瀬シリーズは、ほぼ読んでいるはず。
でも忘れていることも多く、読みながら、思い出すこともあり
「え?そうだったんだ~!」と知ることも多かった。

学園の色々な人が語る短篇。

興味深かったのは、今の校長の話
<麦の海に浮かぶ織>
校長は双子だった。
校長は、要で鼎(かなえ)という妹?姉?がいた。
二人と同じファミリーになった転校生のタマラは、無口で人と接するのが
苦手だという。
校長のお茶会にほかの生徒と共に呼ばれた3人は、お茶会に。
タマラは渋々参加。
タマラの前にあるカップだけ皆と違う。
そして、そこに何やら薬を入れる校長を目撃してしまう要と鼎。

タマラの正体にはびっくり。そんなタマラを助けたいとした行動した鼎は
命を落とすことになってしまう。

驚いたのは、校長が双子を後継者にふさわしいかを試すために仕組んだこと
だということ。
命を落とした鼎とそうさせてしまったタマラが気の毒で仕方ない。

こんな辛い過去が校長にあったとは・・・・衝撃的な話だった。


<丘をゆく船><月食>も衝撃的な話。
妹を殺した母親を殺してしまった黎二。
男子として育てられた麗子。

二人の過去に似たものがあり、お互いを理解したふたり。
けれど、黎二に固執していく麗子。
黎二がほかの女子と一緒にいるのが我慢できず、その女子に襲い掛かるのを
阻止して二人は湿原に落ちていく


最後の<絵のない絵本>は理瀬のはなし。
日本を離れてイギリスで生活し、大学にも進学した理瀬はヴァカンスで
訪れている南国のホテルで、爆弾事件に巻き込まれる。

危ない!命を狙われている???なぜ?


謎が残ったまま終わってしまったけど、理瀬の話を長編でまた読みたい。


この短編集は、よかったけれど・・・・



                     ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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