発行年月:2023年3月
数千の男女が蠢き、夥しい金が動く。幻の花が咲く街・吉原。遊女たちの命を次々に奪う病の正体は!?おゑんは、複雑な事情を抱える女たちを診ることを生業とする闇医者だ。吉原の廓・美濃屋で花魁の安芸を診察した帰り、甲三郎と名乗る謎めいた男がおゑんに声をかけてくる。美濃屋の主・久五郎と吉原の惣名主である平左衛門のもとにいざなわれたおゑんは、三日前に倒れた遊女・春駒を診て欲しいと二人に頼まれる。しかし、これまでおゑんが見たこともない症状で病み窶れている春駒は、治療も虚しく命を落としてしまう。平左衛門によると、最近、同様に亡くなった遊女は春駒で三人目だという――。「婦人公論」人気連載、待望の書籍化。
(中央公論新社HPより)
闇医者・おゑん、シリーズ3作目。
今回は、吉原の花魁やそこで働く女たちを巻き込む、不可解な死の連鎖。
花魁の安芸(あけい)の診察で訪問する、おゑんは、次々と命を落とす女たちの
謎を探ることに。
美濃屋四代目・久五郎の元で働く甲三郎がその手伝いをする。
甲三郎という男は、何者?と最初から疑問だったけれど、元は武家の出。
それが吉原で生きることになった経緯が、なんとも酷い。
父親が濡れ衣で殺され、家は撮り潰し、母と妹と逃げてきたとか。
でも、父親の死の真相は、違っていた。
生き別れになった妹・由利は、おゑんの元にお腹の子を堕ろしてほしいと
連れられてきていた。
子どもを亡くし生きる力を失って弱った状態で、見かけた兄の姿。
甲三郎もそれに気づいたが逃げてしまい、その後、由利は自害。
なんとも哀しい・・・(ノД`)・゜・。
お互いが武士の家の出ということに縛られてしまっていた故のこと。
二人が会ってお互いの今の姿を打ち明けていれば明るい未来もあったのに・・・・
ただただ切なかった。
そして、謎の死の連鎖の真相もわかる。
こちらも真相は、お金儲けにを考える者と、以前の恨み、妬みから吉原を
滅茶苦茶にしたい者との思惑によるものだった。
なんともやり切れない、今回の話だった。
おゑんは相変わらず、恰好いい。
甲三郎とちょっといい関係になりそうな場面もあった。
お似合いだとは思うけれど、そういう関係にはならないか?
でも、なかなかいいキャラクターなので、次の話もあるのなら
また登場してほしいな。
★★★
発行年月:2023年4月
(集英社HPより)
続編が出ていることに最近、気づいた!
読みながら、段々と思い出す。
調香師の小川朔の元で働くことになった朝倉満。
厨房で働いた経験から食事担当兼手伝い。
食事は朔のオーダーに基づいて・・・・
満は、幼いとき、母親からちゃんと育てて貰えなかった。
いわゆるネグレクト。
そして施設で育つ。
調香師の朔とどこか境遇が似ているな・・・・と思ったら終盤に
二人は同じ施設にいたという。
前作「透明な夜の香り」で、朔の元で働いていた、若葉一香も再登場。
それから朔の親友・新城(本業は探偵)。
庭仕事担当の源さん。
今回の依頼客は・・・
・世界一の歌姫にふさわしい香り
・在学していた小学校の教室の香り、飼育小屋の香り
・臭覚を取り戻す香り
変わった依頼ばかりだけれど、依頼主のその香りを求める気持ちは理解できた。
この話は、続くのかな?
この独特の妖しく不穏なかんじは好きだけど、そんなに色々なことが
明らかにならなくてもいいかな?とも思う。
★★★
発行年月:2022年1月
人気絵本作家フィリップ・バンティングが、ちょっと風変りな生態の生き物たちをエスプリを効かせた文章と可愛いイラストで紹介。
(恒星社厚生閣HPより)
幼稚園児の孫より、大人の方が楽しめた^m^
図鑑って結構、グロテスクな写真が満載で、ちょっと苦手な頁も必ず
あるのだけど、これは、愛嬌のあるイラストなので、実際の写真だったら
ビビるだろうな・・・・というものも可愛らしい。
そして、結構、知らないことも学べて、なかなかいい!
高いんだろうなぁ~と思ったら2200円+税だとか!
図鑑は高いイメージだったけれど、イラストになると安いのか??
・・・以下覚え書き・・・
<クラゲ>
永遠に生きられるクラゲがいる。
不死身のクラゲが生息している環境が悪くなると赤ちゃんにもどることができる。
<キンギョ>
最近の研究では6か月記憶を持ち続けられる。
<フグ>
イルカはフグと遊んで、わざと毒を出させる。
その毒はイルカに幻覚効果をもたらせ、よっぱらった気分にさせてくれる
★★★★★
発行年月:2001年12月
大学生の透は恋の極みにいた。年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時、世界はみちたりていた。恋はするものじゃなく、おちるものだ。透はそれを、詩史に教わった。一方、透の親友・耕二は、女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子に夢中だった。彼女との肉体関係に……。夫もいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の対極的な恋人たちが繰り広げる長篇恋愛小説。
(発行/マガジンハウス)
ドラマが始まり見ていて・・・
江國さんの作品だから読んでいると思っていたけれど。。。「あれ?」と
思い、調べたら未読だった!
ドラマと原作は違うかもなぁ~と思いながら図書館で借りて読了。
20歳の透と母親の知り合いであった詩史(40歳)の出会い。
透の母親も詩史も自立した女性。
透の母親は詩史とのことを、薄々、気づきながら黙認している。
「ほどほどにしなさいよ」と忠告はするのだけど・・・。
そして、詩史の夫・浅野(広告会社)も妻と、透の関係を知っているよう
だけれど、夫婦の食事に誘ったり、二人で会っているところに迎えに
来たりしている。
内心はどう思っているのか?
透は、詩史のことだけに夢中で会えない日は悶々と過ごす。
少しの時間なら会えると言われれば、すぐに会いにいく。
翻弄されているかんじ。
それでも、途中、あれ?
あれ?詩史も冷静を装いながら、透のことを本気で好きなのかも。
と思わせる部分があり、最後は、まだまだ二人はこのまま続くのかな?と
思えるかんじで終わる。
透の親友・耕二の方が感情が激しい人妻・喜美子(35歳)と同年代の恋人・由利
との間で始終、あたふたしているかんじだったが、結果、二人ともに
振られるかたち。
登場人物、由利以外、誰とも共感できないんだけれど、
こういう恋愛もあっていいかもね~と他人事として楽しめる話。
ドラマはどうなるのかな?
その違いを楽しみにしよう。
★★★
発行年月:2024年1月
(集英社HPより)
事件の背景にあるものが、よくわかる小説で猟奇的事件には違いはないけれど
阿部定という人が、どんな人なのかが少し分かったような気がする。
物語は、事件の被害者・石田吉蔵の妾の子・波多野吉弥(42歳)が
30年前の事件の真相を知ろうと、関係者に取材した記録を元に進む。
吉弥は、事件の起きる数日前、偶然にも母親と一緒にいて、定と吉蔵が
一緒に居るのを目撃している。
吉弥と定は、目が合い左目が義眼だということを覚えていて再会したときに
すぐに吉弥のことを思い出す。
阿部定は、結構、裕福な家庭の子だったというのに驚いた。
身体を売るような芸奴をしていたと知っていたので貧しい家庭で育ち
売られたのか?と思っていた。
が・・・・結構、性悪で親が半分、捨てるような仕打ちをしていた?
それも酷い話だけど・・・・
殺した吉蔵とは、吉蔵が婿養子の形で働いていた料亭「吉田屋」に定が
女中として働き始め知り合い、それから事件が起きるまで約3か月というのも
驚き。
そんな短時間で、深い仲になって、あんなことになるとは・・・・。
吉弥の取材を受けるという形で、事件前から事件後のことを淡々と語る定。
その話は、凄い濃厚。
信じられないのは途中で宿賃などを工面するため、お互いがお金を借りに行っている
こと。
定は、嘘をつき自分のことを大事に思ってくれている人から金を借り
吉蔵は、吉田屋に戻り妻から・・・
吉蔵を殺すことになって経緯も詳細に語る定。
理解できないけれど、二人の間では、自然な流れだったのかなぁ~?
吉蔵も定を恨んではいないような気がする。
逮捕された写真で微笑んでいるのは、何故か、前から気になっていた。
周りの警察関係者らしき人たちのにこやかな表情で、こんな事件で逮捕した
容疑者を囲んでいるのに・・・・
恩赦があり5年で刑期を終え、出所後は、普通に生活(結婚もして)いたのは
またまた驚き。
事件のことが取り上げられ本になったりで夫に阿部定だとばれて離縁することに
なったらしいけれど。
阿部定の没年は不明らしい。
けれど、この物語のように、命日には吉蔵のことを偲び墓参りし
静かに生活していたのかな?
阿部定事件の深いところを知れて、なかなか面白かった。
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;