発行年月:2017年6月
ちょっぴり怖い、だからおもしろい。
これぞエンタメ!!
前代未聞の「ミステリー短編バトンつなぎ」
「宮辻薬東宮」(みやつじやくとうぐう)
宮部みゆきさんお書き下ろし短編を辻村深月さんが読み、短編を書き下ろす。その辻村さんの短編を薬丸岳さんが読み、書き下ろし……今をときめく超人気作家たちが2年の歳月をかけて“つないだ”ミステリーアンソロジー。
(講談社HPより)
豪華な作家陣!
ホラーテイストのアンソロジーだけど、夜、寝る前に読んでも平気だった^m^
<人・で・なし 宮部みゆき>
中学生の時に体験した不思議なこと。
新居に引っ越した先で不可解な現象が・・・。
新居の前で家族写真を撮る。家のなかの写真を撮る。
するとあるものが上手く写らない代わりにない物がそこに写る。
それから家族全員がノイズが聞こえるようになり体調を崩したりと不幸がつづく
<ママ・はは>
親友の母親の話を聞く。
自分の思い通りにさせる母親が疎ましく、決定的に我慢できなかったことは
成人式の着物を買ってくれるというので選んだ着物を購入後、クーリングオフした
こと。
しかし、友人が見せてくれた成人式の写真は、友人が気に入って買って貰った
という色の着物。その隣の母親とは、仲良さそうに写っている。
<わたし・わたし 薬丸 岳>
16歳で家出して東京に出た由香里。
お金もなく困っていたところを助けてくれた怜治。
だが、怜治は詐欺師だった。そして危く殺されそうになった。
怜治は逮捕され、由香里は保護され家出人と言う事で父親が身元引き取りに
来る。
が・・・・父親が警察に来て、娘の家出は12年前のことと。
<スマホが・ほ・し・い 東山彰良>
スマホがほしいと母親に頼むがムリそう。
でも壊れたスマホを手にいれた春陽。
そのスマホは、人が死ぬ時間と場所を教えてくれるスマホだった。
<夢・を・殺す 宮内悠介>
子どものころからコンピューターのプログラミングが趣味。
従兄弟と趣味でゲームソフトを作っていた。
成人して入った会社も最初はゲーム開発の会社だったが、今はパチンコ台の
ソフト開発をしている。開発中のプログラムに幽霊パグが頻繁に発生し
その処理に追われる日々。
やはり、読みやすく面白かったのは前3人。
残り2つは、悪くないけど、ちょっと読みにくかったかな?
特に宮部さんと辻村さんの作品は、リンクしている感じで面白かった!
写真が共通の題材。
写真ってホラー話には、よくあるし、ぞわぞわした。
因みに皆さんの記念撮影が講談社HPにありました。
こういうアンソロジー楽しいな。
★★★
発行年月:2017年11月
手段は選ばない。神も悪魔もない。彼女がここにいないのだから。
またしても同僚の殉職を経験し、心身に疲弊の残る姫川玲子が入ったのは、葛飾署管内で起こった若い女性の殺人事件捜査本部。心機一転、捜査に集中する玲子だったが、すぐに行き詰まってしまう。有力な被疑者がすでに別の所轄に逮捕されており、情報が流れてこないのだ。玲子は、あらゆる伝手をたどり、事件の全体像を探りはじめるが……。
「ここは、地獄か?」「ああ。……地獄だ」
幾重にも隠蔽された事件の背後には、絶望的な捜索を続けている、孤独な背中があった。
(光文社HPより)
姫川シリーズ。
やはり面白い。
読んでいると、ドラマで見ていた俳優さんの顔が浮かぶけど・・・^m^
事件の背景にあるものは重たい。
今回は、北朝鮮の工作員による日本人拉致事件が絡んでくる。
20年前、突然、行方不明になった高校の同級生・庄野初美を探す
江川利嗣(38歳)の行動が、ずっと気になって読んでいた。
初美を取り戻すため自衛隊に入隊。
こんな風にひとりのために自身の生涯全てを賭ける生きた方って凄い。
それと並行して捜査する女性の殺人事件。
お馴染みのガンテツも登場。
なぜ、危ない世界と通じているのかがわかる話が出てきて、納得。
日下が今は姫川の理解者になっているのも嬉しい。
相変わらず、出て来ると和む湯田。
結婚したけど、姫川を支え続ける菊田。
姫川を理解し、見守る男たちの姿もいいな。
そして・・・・もう一人、新しい人物が登場!
検事の武見。
最初は、胡散臭くて、姫川の敵?と思ったけれど、どうやら違う様子。
これからの話にも登場して欲しい。
姫川との関わり方が今後も気になる存在。
★★★★
発行年月:2010年11月(単行本は1981年10月)
2011年、没後30年を迎える名人の傑作
人妻の恋の道行を描いた表題作をはじめ、
おひとり様の恋心を衝いた「胡桃の部屋」、
絶筆「春が来た」他、全5篇を収録した珠玉の短篇集
(文春文庫HPより)
5篇どれも面白かった。
女性たちの心理描写が凄く巧い!
表題作<隣りの女>は、一番最初。
28歳のサチ子はアパートで夫と暮らしている。
昼間はミシンを踏んで内職をしている。
隣の部屋のスナックのママ・峰子を訪ねてくる男との会話や行為を
盗み聞き。
ある日、いつもの男の声とは違う声を聞き、興味津々のサチ子。
サチ子の行動、凄いな。
そして元の生活に平然と戻る・・・・う~ん。強か。アッパレ・・・^m^
5篇のうち<下駄>だけ、男性が主人公。
突然、腹違いの弟だと名乗る男が出現。
いつも勤め先へ出前を届けてくれる中華料理屋の男。
戸惑いつつも一緒に飲みにいったり父親の七回忌が近いことや墓の場所を
教える。
母親には言えず、段々と男の接し方が馴れ馴れしくなってくることにも
疎ましさを感じていく。
最後の絶筆となった作品<春が来た>もよかった。
ついつい見栄を張って付き合い始めた男。
家族や家のことも理想的な様子で語ったが、ひょんなことから
家に連れて来ることになってしまう。
ガサツな両親。無愛想な妹。狭い家。
語っていたのとは真逆な家庭。
これで振られると覚悟したら、意外にも男は全て受け入れ
週末ごとに家に来るようになる。
家族が男の出現によって変わっていく。
でも最後は、あれ?っという結末。
結果的に振られたわけだけど、あっけらかんとそれを受け入れる直子がいい。
これドラマ化されたんだぁ~
WOWOWで放送されたらしいけど、観てみたいな~。
向田さんの作品、面白いわ~
★★★★★
発行年月:2017年12月
本当の顔は、どれ?
新ブランドのデザイナーに美名をスカウトした理世。
だが、親友となった美名の言動が、
やがて理世を追いつめ始めた……。
アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世(さわりよ)は、自らが提案した企画が採用され、新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。そんなある日、カフェに展示されていたバッグのデザインに衝撃を受けた理世は、その作者・小鳥遊美名(たかなしみな)をメインデザイナーにスカウトする。色白で華奢(きゃしゃ)、独特の雰囲気を纏(まと)う美名の魅力とその才能に激しく惹(ひ)かれる理世。社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、やがてその親密さは過剰になっていく……。
その時は、穴が空いていることに気がつかなかったのです――
(祥伝社HPより)
表題からして、暗い話かな?と思ったけれど、途中までは
アパレルメーカーで新ブランド立ち上げに関わることになった
佐和理世と新ブランドのデザイナー・小鳥遊美名の仕事のうえでの
良きパートナーという関係が築かれる過程が微笑ましかった。
けれど・・・それが少しずつ変化していく。
ああ、こういう人って面倒だな・・・。
美名自身もこれじゃ幸せになれないんじゃないかなぁ~?
親しい関係を築いた人を傷つけて別れての繰り返しって。
理世は美名との関係をどうしていくんだ?と思っていたら・・・・
ああ、そういう風に逃げたんだな・・・・
ま、ある意味、良かったと思ったけど
イヤミス小説としたら、ちょっと中途半端かなぁ~。
★★★
発行年月:2017年11月
赤字ローカル線の終点・根古万知。駅前は、わずか八店舗ほどが細々と営業するシャッター商店街である。数年前、猫の町「ねこまち」としてブームになりかけたこともあったが、それも一時のこと、以来、ジリ貧状態だ。離婚を機に、そんな町に戻ったラーメン店の娘・愛美は、緑色の大きな目と灰色の毛が愛らしい拾い猫を飼うことになった。ノンちゃんと名付けたその猫が、ひょんなことから一日猫駅長を務めると駅は再ブレイク、商店街にも観光客が訪れる。愛美は久しぶりに賑わう光景を見て、今度こそ、元気いっぱいだった頃の根古万知を取り戻したいと動き出すが…。
(BOOKデータベースより/祥伝社)
シャーッター商店街と化した根古万知駅前商店街。
そこに現れた1匹の猫!
猫が町の活性化に大活躍~。
商店街で生まれ育ち、一時は都会に出たけれど、離婚して地元に戻った
愛美が、街おこしの発起人的役割になっていく姿は楽しかった。
今はSNSとかインスタとかで知らないうちに宣伝してくれるという
利点もあって、猫のいる駅ということだけで人が来るようになるんだなぁ~。
でもそれだけじゃダメと商店街の人たちが動き出す。
町おこしだけじゃなく、そこに暮らす人たちの暮らしぶりも興味深く
読んだ。
猫のノンちゃんの元の飼い主さん探しで愛美が出会った人物・河井氏。
愛美の父親の同級生。
子どもの頃のわだかまりが、これを機に溶けたかな?
ノンちゃんの元の飼い主の最期は気の毒なものだったけど
ノンちゃんのおかげで見つけられたのかも。
愛美も幸せそうで、良かった♪
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;