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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2017年11月


 

忘れなければ、生きていけなかった。

浅田文学の新たなる傑作、誕生――。
定年の日に倒れた男の〈幸福〉とは。
心揺さぶる、愛と真実の物語。

商社マンとして定年を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれた。
今や社長となった同期の嘆き、妻や娘婿の心配、幼なじみらの思いをよそに、竹脇の意識は戻らない。
一方で、竹脇本人はベッドに横たわる自分の体を横目に、奇妙な体験を重ねていた。
やがて、自らの過去を彷徨う竹脇の目に映ったものは――。

「同じ教室に、同じアルバイトの中に、同じ職場に、同じ地下鉄で通勤していた人の中に、彼はいたのだと思う」(浅田次郎)


                     (毎日新聞出版HPより)




集中治療室で意識が戻らないまま過ごす竹脇正一。

両親に棄てられ、施設で育つ。
懸命に勉強し、国立大学入学、有名企業就職。
結婚し、子どもも授かる。


正一の元に見舞いに訪れる家族、妻、娘の夫。
そして同じ施設で育った幼なじみの氷山。

会社の同期入社で今は社長の堀田憲雄。


意識はなくても、見舞いに来た者の声は聞こえていて、それに心のなかで
応える正一。
意識はなくても耳は聞こえるって、ある程度、事実かも。
病院勤務時代もそれは感じていた。
だから正一の家族たちが話しかける様子は、なんだか温かい場面だった。


体はベットの上でも、ほかの所に出かける正一。

正一の隣のベッドで同じく意識が戻らない榊原勝男とのお出かけは
正一の忘れていた感覚を呼び起こす元になる。


親に棄てられたと思って居た正一だけど、そうではなかった。

ちゃんと母親の愛情を受けていた。
それに気づけて良かった!

この後、きっと意識が戻って、家族に自分の体験した話を聞かせるんだろうな~
と想像すると、ほっこりする。


温かい物語だった!



                       ★★★★★

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発行年月:2018年2月


 
衝撃のラストが話題となり、映画もヒットした『縞模様のパジャマの少年』の原作者ジョン・ボインの作品です。

ドイツ人の父とフランス人の母との間に生まれた少年ピエロは、パリで暮らしていましたが、相次いで両親を亡くします。ピエロは、住み込みの家政婦をしている叔母のベアトリクスに引き取られることになりました。そして、なんとベアトリクスの勤め先はベルクホーフ、つまりヒトラーの山荘だったのです。
7歳の少年ピエロは、期せずして総統閣下と寝食を共にすることになります。
そして、ヒトラーにかわいがられたピエロは、その強いリーダーシップに憧れていたせいか、性格がみるみる変わっていきます。

『縞模様のパジャマの少年』の姉妹編ともいえる本書は、前作と同じように無垢な少年が主人公で、その純粋さゆえ、時代にはげしく翻弄されます。
ピエロがまわりの影響によって変わっていく姿には背筋が凍るものがあり、人間とはこんなに残忍になれる生きものなのかと読み進めるのがつらくなりますが、ラストに希望の光が感じられるのが、前作と大きく異なるところだと思います。
フィクションながら、歴史的事実に基づくことで、よりリアルに「人として、いかに生きるべきか」を考えさせてくれる稀有な物語です。

                 (あすなろ書房HPより)



表題から興味を持って読んでみた。
児童書の部類なのかな?
充分、大人でも楽しめる。

両親を亡くして孤児院に暮らすことに。
両親が居た時はアパートの下の階に暮らしていたユダヤ人のアンシェルと
兄弟のように毎日過ごし、離れても手紙でやり取りをする約束をした。

父親の妹・ベアトリクスが引き取りたいと連絡があり、少年は叔母の元へ。
叔母は、ヒトラー総統の屋敷で家政婦として働いているが、総統の許可を
貰ったと。

少年は総統とやがて会話するようになり、憧れを抱き、次第に考え方も感化されていく。
アンシェルからの手紙も捨てるようになり他の大人たちに対しても
高圧的な言い方を平気でするように。

そんな変化を憂いた叔母や、叔母と親しい関係にあった運転手のエルンストが総統を裏切ろうとしていることを告発。
2人は銃殺される。


世界情勢もわからず、少年にとっては、ヒトラーが信じるべき人となっていく恐ろしさ。

ラストは、それでも少しホッとするものになっていたので良かった。

色々な経験をして、自分を振り返り、自分が犯した罪を感じながら
親友・アンシェルと再び向き合うピエロ。


姉妹編とも言われる≪縞模様のパジャマの少年≫も近いうち、読んでみよう。


                       ★★★★★



発行年月:2018年2月


 小学校の帰りに毎日行っていた赤い樽のある喫茶店。わたしはそこでお客の老小説家から「タタン」と名付けられた。「それはほんとう? それとも嘘?」常連客の大人たちとの、おかしくてあたたかな会話によってタタンが学んだのは……。心にじんわりと染みる読み心地。甘酸っぱくほろ苦いお菓子のように幸せの詰まった物語。

                     (新潮社HPより)




喫茶店で放課後過ごす、タタンと店の常連客(老小説家、生物学者のバヤイ氏、

神主とその親友トミー)、マスターとの会話がほのぼのする。
大人たちの会話を聞きながら、あれこれ思うタタン。

短編連作でしたが、一番良かったのはタタンが祖母と暫く過ごした時間を
描いた<ぱっと消えてぴっと入る>だな。

就学前のタタンの子守り役として田舎から来た祖母。
祖母の語る言葉は胸に沁みる。
戦地から帰って来なかった息子(タタンの父の2番目の兄)の話を
タタンに聞かせているときに言った言葉。
死んだあと、一人寂しい思いをしてその地に残っているとしたら可哀想過ぎる。
というようなことを話し、

「ぱっと電気が消えるみていに死んでしまうんでなきゃ理屈に合わねえと
おれは思ってんだ」
「そのかわりによ、死んだらここんところへ ぴっと入ってくんだ」と
自分の胸を指さした。

それを見て 
死者の思い出が生者の生を豊かにすることを、わたしは祖母を亡くして
初めて知ったのだった。


ここは、もうじ~んと来た。

後は、最後の<さもなきゃ死ぬかどっちか>
タタンと仲良くなった転校生のトモコ。
同じ名前だとしりお互い驚き、タタンが放課後の喫茶店に連れていく。
2人は実は双子なんじゃないかと、店にいた常連客たちが、あれこれ
想像を膨らませて語るのが愉快だった。

仲良くなった数か月後、タタンは両親と共に引っ越して海外に行く事に
なってしまい、トモコとも喫茶店の人たちともそのまま大人になるまで
連絡せず。

大人になってその地を訪ねてみるという話。


小さい頃の思い出って永遠の宝物だよね~と共感!


楽しかった♪


                      ★★★★



発行年月:2018年2月


 こんなに叫んでも、
私たちの声は届かないの?

幸せな日常を断ち切られた女子高生たち。
ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。
かけがえのない魂を傷めながらも、
三人の少女はしなやかに酷薄な大人たちの世界を踏み越えていく。

最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を
物語に結実させた著者の新たな代表作

朝日新聞出版10周年記念作品

                  (朝日新聞出版HPより)




主人公・真由(17歳)。
高校入学目前に両親が夜逃げ。
弟とは別の親戚に預けられる。

叔父さんの家では、まともな生活が出来ないと家出。
一人東京の街を徘徊し、色々な人に出会う。
バイト先のラーメン店ではレイプされ逃げる。
その後、出会ったリオナ、ミト。

少女たちの境遇が似ていて、哀しい。
身勝手な大人ばかりがいた環境で生きて来た彼女たち。
生きるためにズル賢くなり、他人を傷つけることも仕方ないと割り切って
いる姿は、逞しいけれど、やはり哀しい。

彼女たち、どうなっていくんだろ?と気になって先を読んだけれど、
真由は、母親の姉の側で暮らせそうだから、少しホッとしたけれど
またすぐに飛び出すのかな?
リオナとミトも、その後、どうなるんだろ?


実際、こんな子たちが東京にはいるのかな?

なんとも衝撃的な内容だった。

桐野さん、街を歩きながら取材を実際したのかな?


                          ★★★★



発行年月:2018年2月


 取材で訪れたラトビアに、恋してしまいました。手作りの黒パンや採れたての苺が並ぶ素朴だけれど洗練された食卓、代々受け継がれる色鮮やかなミトン、森と湖に囲まれて暮らす人々の底抜けに明るい笑顔。キラキラ輝くラトビアという小さな国が教えてくれた、生きるために本当に大切なもの。新たな出会いと気づきの日々を綴った人気日記エッセイ。

                   (幻冬舎文庫HPより)



日記だから、書いてあることは日常のこと。

夫のことを、ぺんぎんと呼ぶのも可愛らしいから良し。

あちこち出かける外国の話も楽しい。

でもところどころで、「え?」と思ってしまう。
ま、人の考え方はそれぞれだけどね。




                        ★★★
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