発行年月:2018年5月
柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞の三冠に輝いた衝撃作『ダブル・ファンタジー』待望の続編!
脚本家・高遠奈津。創作の鬼に導かれるように夫・省吾との穏やかな暮らしを捨て、いくつかの恋を経て、今は恋人・大林一也と暮らしている。しかし彼もまた、奈津の心と躯を寂しくさせる男でしかなかった。元恋人の志澤一狼太や岩井良介との再びの逢瀬を皮切りに、性の深淵へ次々に分け入ってゆく彼女が、自由と孤独のその果てに見いだしたものは……。
男女の愛憎を描き尽くし、やがて生と死の岸へとたどり着く、作家・村山由佳の到達点!
(文藝春秋HPより)
『ダブル・ファンタジー』の続編ですね。
奈津(40歳)が省吾と別れて次に一緒になったのは大林一也(33歳)。
なんか、省吾に比べたらダメダメ男。
働かないで奈津に金銭面は頼りっぱなし。
そして、奈津には触れない。
奈津から誘えば、拒絶される。
なんで一緒になったんだ~、こんな男と・・・怒
奈津がそのまま大人しくいられるわけもなく、演出家の士澤に誘われたら
ホイホイ出て行くし、岩井とも相変わらず関係を続ける。
ライターの加納という男も登場して・・・・
なんだか本当に節操がない奈津に呆れる。
そして大林に、ついに全てばれる。
まあでもそれを機に別れることになったから、良かった!
もう独身のままでいいじゃんと思ったら・・・・
そうか、そういう風に落ち着くのかぁ~唖然(笑)。
このまま落ち着けばいいな・・・と思う反面、
落ち着いたら面白くないじゃん!
続編もちょっと期待しちゃうという気持ちもある^m^
結構、楽しめた。
★★★
発行年月:2017年1月
実家である天瀬ワイナリーを営み発展させてきた母が、突然倒れ、かえらぬ人となった。
優秀で美しい母を目指して生きてきた双子の姉・光実(みつみ)と、二十六歳になっても逃げることばかり考えている弟・歩(あゆむ)は、自分たちを支えてくれていた母を失い、家業を継ぐ決意をする。
デビュー作『ビオレタ』で高い評価を集めた期待の新鋭による、優しい涙がこみあげる感動作。
(ポプラ社HPより)
双子の姉・光実は出来る方の子。
弟・歩はそうじゃない方。
そんな風に考えていたのは、歩自身だけだったんじゃないかな?
ワイナリーの仕事から離れたくて家を出ていた歩だったけれど、
ワイナリーに戻って、少しずつ仕事を覚え、最後は姉のよき理解者であり
共同経営者としてやっていくんじゃないかな?と思える成長ぶりだった。
歩の親友・広田もいい青年。
光実は、素敵な男性2人に側にいて貰えて幸せだな~。
ワインは飲めないし、興味はないけれど、ワイナリーの仕事の大変さは
理解出来た。
双子のおじいちゃんもお茶目で良かった。
醸造長の日野さんは、ちょっと怖かったけど、少しずつ、歩を認めてくれて
いるかんじで厳しい人というだけで良い人なんだなと安心。
涙がこみあげるほどじゃなかったけれど・・・^^;
なかなか面白かった!
★★★★
発行年月:2018年5月
考えるんだ。 たとえ1%でも、可能性があるなら。 晩秋の夜、突如ダムが決壊し、濁流が町を飲み込んだ。 死者97名、行方不明者50名を超える大惨事。 新聞記者の九条麻衣子は、被害を取材するうちに、決壊が事故ではなく大規模な犯罪である可能性に気づき、その夜に町を抜け出した土木作業員の男を探し始める。 一方その事件の陰で、AN通信の鷹野一彦とその部下・田岡は、ダム爆破計画を阻止するべく奔走していた。水道事業の民営化に金の匂いを嗅ぎ取った代議士や国内外の企業によるテロ計画の一部だったが、いつのまにか計画の全てが盗まれ、首謀者が正体不明の人物に入れ替わっていた!? 情報が錯綜し、混乱を極めるなか、九条麻衣子と若宮真司の出会いが、世間を揺るがす大スクープを生み出すことに……。 敵か味方か、嘘か真実か、善か悪か——!? 金の匂いに敏感な男女が、裏切りあい、騙し合いながら、真っ暗闇の“今"を駆け抜ける!
(幻冬舎HPより)
水道事業が民営化された日本の話。
海外の企業までは日本の水道事業を取り仕切ろうと狙い
産業スパイのAN通信 鷹野たちは、政治家の依頼を受け、外国企業からの
乗っ取りを阻止しようと奮闘。
民営化ってちょっと恐ろしいなというのが感想。
色々と登場する人物たちが、誰が敵なのか?混乱しながら最後は
敵がハッキリする。
そして、冒頭で出て来た若宮真司が、最後は大活躍したのは嬉しかった!
鷹野によって訓練されて、成長した真司の話がまた読みたい!
それから、最初は、敵かと思われた謎の美女・アヤコ。
恰好いい。
勝つ方にいつもつくから自分は負けないって、凄いな。
鷹野たちと組んだら怖いものなしになりそうだけど、いつ裏切るか怖い相手。
ああ、面白かった!
★★★★★
発行年月:2018年3月
絶対に残業しないと心に決めている会社員の結衣。時には批判されることもあるが、彼女にはどうしても残業したくない理由があった。仕事が最優先の元婚約者、風邪をひいても休まない同僚、すぐに辞めると言い出す新人。様々な社員に囲まれて働く結衣の前に、無茶な仕事を振って部下を潰すという噂のブラックな上司が現れて――。
(新潮社HPより)
結構真面目なお仕事改革のお話だった。
今、巷で問題の過労死に結びつく話。
職場で定時に帰ると決めて浮いた存在の東山結衣(32歳)。
ただし、帰る前に、きちんとやるべきことは片づける。
どこが間違っている?という感じですが、それが許されないような
雰囲気漂う職場って、恐ろしい。
結衣は、自分の意見をちゃんと表現できる人だから率先して自分が示し、
他の人も定時で帰らせたいとチーフにもなる。
自分だけ良ければいいという人でもないところが好感度大!
チーフになったら、無理しなければいけない立場になって、一時は結衣自身も過労で
ダウン。
やるときはやる女!
最悪な上司・福永には本当にムカツク(怒)。
でも最後は、スッキリ!
元婚約者・晃太郎と現婚約者・巧との関係もどうなる?と気にしつつ
最後は、こちらも上手く納まってホッ。
★★★★
発行年月:2018年5月
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
(文藝春秋HPより)
女子大生・聖山環菜が父親を刺殺。
父親は画家で、多くの美大生を指導。
デッサンのモデルに環菜は小学生のころからされていた。
母親も元は美大生で、父親のことを尊敬し、一切逆らうことない。
なぜ父親を刺殺したのか?
大きな謎だけど、読んでいくうちに環菜に同情する。
本当に憎んで刺したわけではないのか?本当に単なる事故だったのか?
真相はよくわからないままだけど、
こんな風に殺人者となってしまったことに一番戸惑っているのが本人というのが
なんとも哀しい。
環菜の国選弁護士・庵野迦葉(かしょう)と臨床心理士の真壁由紀が
環菜の事件背景を追っていく。
この二人の関係もちょっと訳ありな感じで気になったけど、
由紀の夫・我聞が良い人で救われた。
由紀もきっと我聞によって色々救われているんだと思う。
問題のなぜ、父親を刺殺の背景にあった家庭環境がわかってくると
両親から愛情を感じることなく成長したみたいで、孤独だったのかなと思う。
しかし、もう少し頑張れば、自立できる兆しがあったのに・・・・。
刑期を終えた環菜のその後の生き方が心配。
出来たら、社会復帰して、ちゃんと恋愛して幸せになってほしい。
読み応えはあったし、内容も濃かったけれど、直木賞貰える作品かな?と
個人的には思った。
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;