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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年7月


 最後まで彼女に嘘の笑顔を作らせたことを、僕はずっと後悔して生きている。
恋人と与那国島へ旅行に来た須藤周二は、問題を抱えた未成年のための「島留学」中の美しい少女・久遠花と出会う。何かを探しているという花の姿が、周二には遠い昔不幸な事件で亡くした従姉妹・美羽に重なって見えた。数日後、花が姿を消してしまい行方を追うが――。

                   (光文社HPより)





同い年だった従妹・美羽の死をずっと引きずって生きてきた周二(27歳)。

5つ年上の恋人・夏美と共に与那国島へ旅行。

泊まった民宿で手伝いをする17歳の久遠 花(17歳)。
東京から訳あって、民宿を営む榮門武司の元へ。

花に出会ってから、周二は花のことが気になって仕方ない。
何故なら従妹の美羽を思い出す何かがあるから・・・・。


亡くなった美羽の死の真相がわかり、その様子がなんとも辛い。
周二が自分の責任を感じてしまうのも無理はない気がした。

花との出会いは、偶然ではなく何か見えない力で引き合わされたとしか思えない。
亡くなった美羽の思いがそうさせたのかも・・・。
あまりスピリチュアル的なことは信じないんだけど、これは自然に
こういうこと実際、あるのかも?なんて思えた。


ラストは、気になっていた夏美との関係が大きく良い方向に向かいそうで
ホッとした。


良いお話でした!


                        ★★★★
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発行年月:2018年6月

この街の夜は、誰もが主役です。夜空色のタクシー、よつかどの食堂、倉庫番の元バーテンダー、月夜のびわ泥棒――都会の夜に魔法をかける、幸福な長編小説!

                  (角川春樹事務所HPより)



東京の深夜1時過ぎから始まる人間模様。

夜だけ走るタクシーを運転する松井。
子どもの頃読んだ<車のいろは空のいろ>のタクシー運転手・松井さんと
同じだという。

わたしもすぐにそう思った!

その松井さんが人と人を結んでいく。

最初の話<びわ泥棒>で、映画会社の調達屋のミツキが監督から頼まれた
びわを求めて奮闘。
夜間タクシーの松井を呼んで、びわを売っていそうな場所を探し回るが・・・
少し前に旬を終えた果物はなかなか手に入らす、諦めかけたとき
びわの木の場所を知っているとメール。
その場所に行くと、木に登っている人物が。
毎年、そのびわでお酒を作るという・可奈子。

びわを1房手に入れたミツキ。
おまけに可奈子の手作り、びわ酒も貰う、ミツキと松井。

可奈子は『東京03相談室』の相談員。
ずっと前に家を出た弟を探している。

松井が知り合う人たちが別の場所で知り合って
最後は、その中にお互いの探している人がいたという奇跡が楽しい。

ミツキが探し物を求めて松井と夜中に走り廻る様子も楽しかったなぁ~、

松井の行きつけの食堂 よつかどのハムエッグ定食も何だか絵が頭に浮かぶ。

相変わらず、装丁はおしゃれで文句なしの1冊!


                       ★★★★★


 



発行年月:2018年6月


 

ぼくは屋根裏部屋に住み、鉛筆工場で働いている。大きなことが書かれた小さな本を読み、遠い街に出かけて、友人とコーヒーを飲む。鉛筆を削って、雲を描き、姉に手紙を書いて、人生を考える。

この本の目次

第1章 遠い街から帰ってきた夜
第2章 バリカンとジュットク
第3章 名前のない画廊

                    (ちくまプリマー新書HPより)



ちくまプリマー新書300冊目の記念刊行。
創刊当初から関わっていたんですね~。
なんだか表紙の絵をながめるだけでも楽しそう♪
今度、本屋さんで見てみようかな?

この本も新書なので薄くて短時間でスラスラ読みました。
いや~楽しかった♪

お話の設定が好き。

主人公の暮らしが羨ましい。
働いている鉛筆工場の描写も、なんだかワクワクする。

17種類の鉛筆。
全部揃っている文具店も珍しいかも。
実際17種類もあるんだろうか?


主人公の男性は、最後、北の地に旅立つという。
どんな旅をするのかな?
そんな話もまたどこかで書いて欲しいな~。



                      ★★★★★




発行年月:2018年2月


 

「もし、君が僕の葬式に来てくれるようなことになったら、そのときは祝福してくれ」
自分の死を暗示するような謎の言葉を遺し、37歳の若さで死んだ医師・土岐佑介。
代々信州を地盤とする医師家系に生まれた佑介は、生前に不思議なことを語っていた。
医師である自分たち一族には「早死にの呪い」がかけられているという――。 
簡単に死ねなくなる時代につきつけられる、私たちの物語。

                   (講談社HPより)



5つの章から成る、短編連作。

早死にする家系の土岐一族。
職業は皆、医師。

最初の章は、37歳で亡くなる土岐祐介の話。
親友の手島が生前、祐介から聞かされていた言葉を思い出す。

その後の章では、土岐家の人々の話。

祐介の父・冬司は、49歳で胃がんで亡くなる。
祐介の祖父。伊織は52歳で登山中に滑落死。
祐介の曽祖父・騏一郎は55歳で肝硬変で亡くなる。
祐介の大叔父(祖父の弟)・長門は50歳入浴中に脳梗塞で溺死。
長門の息子・覚馬は52歳で肺がんで亡くなる。


そんな中、唯一長生きしたのは、祐介の兄・信介。
91歳で施設にいるということで、最終章で88歳になった手島が会いに行く。
その場面が、なんだか衝撃的。
時は2068年の設定。
癌はもはや怖くない病気。手術しなくても薬で治るようになっている。

80歳で亡くなるのは早死と言われる時代。


信介は114歳で同じ施設内にいる母親より先には逝けないと言う。
その姿は、なんだか狂気じみていて
長生きは幸せなことなのか??と疑問が沸く。


著者が問題提起のように書いた<希望の御旗>は、考えさせられた。
治療方法には色々あるけれど、何が何でも延命は、やめて欲しい。
こうなったら、もう自然のままにしてほしいとか、ちゃんと自分の最期を
子ども達に伝えておかなきゃ。

土岐冬司の最期は、なんだか皮肉。
自分が信じていた治療を体験して、間違っていたかもしれないと気づくとは・・・・。


医師の著者が書く物語は面白い!
次回作も期待します!


                     ★★★★★




発行年月:2018年5月


 

祖母の故郷、台南への旅が私の人生を変えた

派遣で働く杉山未來は祖母を元気づけるため台南へと旅立つ。
将来の夢破れ、祖母の認知症に悩む未來が台湾で見つけた貴重な宝物とは。

                    (文藝春秋HPより)




台湾の歴史が学べる。
親日派が多い所以もわかった。

未来は祖母・朋子が幼い時の思い出がいっぱい詰まった台湾(台南)へ一人
向かう。

通訳やガイドとして関わってくれる人たち。
・季怡華(リイカ)・・・表情が読めないのでやや冷たいかんじ
            未来の父(大学教授)の元教え子。
・洪春霞(コウシュンカ)・・・明るくお茶目。食べる事が大好き。
               日本でキャバクラで働いていた経験あり。
               日本語は上手だけど、ちょっと乱暴な言葉遣い。
               李の教え子。
・楊建知・・・春霞の友達。大学で建築を学んでいる。
・林賢成・・・楊の高校時代の歴史の先生。


色々な人に助けられて、祖母の思い出の地を巡る。
ついに祖母が住んでいたであろう場所も見つける。
そこに住んでいた劉慧雯。
彼女が言った「自分には愛される資格がない」という言葉が哀しい。
日本での留学経験もあり賢い人なのに、家族のトラブルにいつも翻弄されていて
なんとか、彼女がこの先、幸せになって欲しいと思った。

表題の<六月の雪>は、花の事だった。
ごく限られた海の近くで見られる小さな白い花。
桜のように大きな木にそれが咲くとまるで雪のようだという。

無表情の怡華との帰国前の空港での会話も良かった。
台湾の歴史が怡華の無表情と繋がっていたのか?
そう考えると切ない。

 
 
帰国した未来にも、慧雯に似たようなトラブルが・・・
隣家に住む、父の妹・真純の存在が厄介。

でも祖母はちゃんと対策してくれていた。
認知症が進む前に未来にそれが伝わって良かった!


最後、台湾からの報せにはビックリ。
哀しい(/_;)。
また、きっと近いうちに再会できると思っていたのに・・・・・


長い物語だったけど、長さを感じさせず夢中で読んだ。
良い物語でした。



                      ★★★★★

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