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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2018年11月

江戸時代をこよなく愛する著者が描く、武家の人生の諸相。仇討ち、学問、侍の就活、嫁取り、剣術、罪と罰……。身分に縛られ、役目に忠実であらねばならなかった武士の暮らしにも、喜怒哀楽に満ちた人の情は流れている。練達の筆がすくい上げる、きらびやかな宝玉のごとき八つの物語。江戸の庶民を描いた『福袋』と対をなす、時代小説短編集。


                      (講談社HPより)



庶民の生活を描いた「福袋」も良かったけれど、こちらも良かった。
武士の世界の厳しさ、生き抜くのも大変な様が描かれていて
辛い場面もあった。

8つの短編集
<紛者>
牢人の信次郎が、尊敬していた兄の仇を討つ機会を狙って紛者から抜け出す。

<青雲>
酒屋で奉公していたが兄が亡くなり実家へ戻る。
武士としての生活へ。「己の運を鍛錬せよ」以前言われた言葉を理解する。

<蓬莱>
四男の平九郎。
格上の旗本・中山家に婿入り。
何故、自分が好まれて?と不思議に思う平九郎。

<一汁五菜>
代々、江戸城本丸の台所人である山口家。
伊織の妹は大奥に仕えていたが自死している。
料理人らしくその仇をとることを決める。

<妻の一分>
大石内蔵助の妻・りく。
主君・浅野は吉良を短刀で刺した罪で切腹となる。
そんな事件後を見守って来た飼い犬・唐之助の眼からみた家族の様子。

<落猿>
藩の留守居役の理兵衛。
刃傷沙汰をおこした罪人に仕置きを伝える。
切腹のほかの一案。

<春夫>
剣術指南所の娘・芙希。
若い頃、道場に武芸修練のため、藩の赦しを得て旅をしているという
原数馬とのことを思い出す。


<草々不一>
前原忠左衛門。56歳の隠居の身。
妻は流行病の麻疹で亡くなり、嫡男・清秀が家を継ぐ。
武術より学問一辺倒の息子の差配が気に入らなかったが
妻が遺した文が見つかり・・・・


最後の話が一番、素敵だった!
妻の書いた文の内容が気になるものの、漢字が読めない忠左衛門。
息子に代わりに読んで欲しいと頼むが、との以外は読んではいけないと
書いてあると。
手習い所で漢字を習う忠左衛門。
そこで出会った利発で少々、生意気な半太郎とのやり取りが愉快。

そして、やっと読んだ文。
妻・直の気持ちが伝わってくる。

なんて素敵な女性なんだろう。

切なく重苦しい話もあったけれど
最後にこの作品があることで、読後感がすごく晴れやか♪


やはり、まかてさんの作品はハズレなしです!



                         ★★★★

 
 

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発行年月:2016年7月


 第155回芥川賞受賞作!

36歳未婚女性、古倉恵子。
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。
これまで彼氏なし。
オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、
変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、
清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、
毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、
完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、
私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。

ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は
「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。

現代の実存を問い、
正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。

                  (文藝春秋HPより)




変わった主人公の話だったけど、面白かった!
世の中、色々な人がいて、古倉さん、みたいな人もいるでしょう。

最初は、変な人だな~と思ったけれど、段々と理解出来て
応援したくなってきた!

コンビニの仕事なら、完璧!
マニュアルをきちんと守って働いている人はそんなにいないんじゃないかな?
古倉さんみたいな人をバイトから正社員にすれば会社の利益にもなると
思うのに・・・。


一方、白羽さんも変わった人だけど、こちらは全く応援する気になれず^^;

古倉さんは一人でも大丈夫!
コンビニ人間だって悲観することなし!


スラスラ読める芥川賞受賞作ってあまりないけど、これは面白かった!



                      ★★★★



発行年月:2018年11月


 その絵は、いつでもあなたを待っている。人生の岐路に立つ人たちが辿り着いた世界各地の美術館。巡り会う、運命を変える一枚とは――。故郷から遠く離れたNYで憧れの職に就いた美青は、ピカソの画集に夢中になる弱視の少女と出会うが……(「群青 The Color of Life」)ほか。アート小説の第一人者が描く、極上の6篇。

                        (新潮社HPより)


6つのお話。
それぞれ主人公の思入れの深い絵画が出て来る。


<群青 The Color of Life>
ピカソ 盲人の食事

<デルフトの眺望  A View of Delft>
フェルメール 真珠の耳飾りの少女とデルフトの眺望

<マドンナ  Madonna>
ラファエロ 大公の聖母 
ボッティチェリ ヴィーナスの誕生

<薔薇色の人生  La Vie en Rose>
ゴッホ ばら

<豪奢  Luxe>
アンリマティス 豪奢

<道 La Strada>
東山魁夷 道



どの作品も良かった!
最後の<道>は、感動的でした(/_;)

好きな話としては<薔薇色の人生>かな?
45歳、バツイチ独身の女性の恋?と思いきや・・・
結果は残念でしたが、明るく吹っ切れた主人公・多恵子を応援したくなった!


どの話も巧く話のなかに絵画が登場して、どんな絵だったっけ?と
調べながら読み進める楽しみがあった。
マハさんのお話はいつもそうなるんだけどね~^m^



また絵画絡みのお話、楽しみに待っています!



                         ★★★★



発行年月:2018年12月


 小学5年生の千春は、ふとしたことから修理屋のおじさんと知り合う。
そのお店には同じクラスの俊太がいた。何かが変わった3人の特別な1年。

                    (偕成社HPより)



児童書なのかなぁ~?
大人が読んでも面白かったけど。

主人公は小学5年生の千春。
何もかもが平均的な女の子。
放課後、新調したばかりの服が泥で汚してしまい、困っているところを
助けてくれたおじさん。

最初は知らない人だからと警戒していた千春だけど発明家でもあるおじさんの
人柄に好感を抱き、一人でおじさんの居る修理屋を訪ねる。
そこで同じクラスの俊太と会い、俊太はおじさんの助手だという。


おじさんと小学生の男女3人の物語。
ほんわかした優しい雰囲気でよかった。

終盤、おじさんの謎の行動からおじさんの抱えている心の重りみたいな
ものを知る千春と俊太。
おじさんのために行動した姿に感動。


このあと、おじさん、どういう生活を送ったんだろ?
と少しきになるけれど、それは良いように想像すればいいか?


                          ★★★



発行年月:2018年9月


 「自分で選んだ人生を生きようともがく、対照的な二人の二十七歳。正確で精細に描かれた彼女たちの痛みと選択は、同じ壁の前でうつむく女の人たちの手を取るはずだ」あたし、あんたみたいな女って大っ嫌い。だから、化けの皮を剥いでやりたかった。でも、こんなものが見たいんだったか......?専業主婦の母に育てられた、リケジョでバリキャリの志穂子。厳しい教師の母に育てられた、家庭に重点を置く杏梨。女としてのスタンスが異なる二人が、志穂子の兄と杏梨の結婚で突然交わった時、彼女たちは何を思い、動くのか?宰賞受賞作家・伊藤朱里の新作は、女性のリアルをえぐり出す。

                    (中央公論新社HPより)




なかなか面白かった!
初めて読む作家さんかな?と思ったら・・・
『名前も呼べない』(デビュー作で改題して太宰治賞受賞作)を読んでいました!



27歳の女性2人の話。

今村志穂子と今村杏梨。

志穂子の兄・春彦(30才)と結婚した杏梨。
2人は義理の姉妹という間柄。

志穂子は、独身で理系。大手飲料メーカーの研究開発に関わっていて会社の社宅で
一人住まい。

杏梨は、眼鏡店に勤務。国語教師の母親との母子家庭で育つ。


2人の女性は性格的には、対照的だけど、お互い実母とあまり良い関係を
築いていない点では共通している。


そんな二人が志穂子の社宅に空き巣が入ったことで一時、同居することに。
お互い、表面上は何ら問題なくやり取りをするけれど、心の中では
色々なものを感じる。


杏梨は親友の理恵に会ってはその愚痴を言う。
それに対する理恵の言葉も、なかなか面白かった。


女の本音がいろいろ表されていて興味深い。
男性が読んでも全然、面白くない本だろうけどね~。


心理描写が巧い作家さんだな~と思った。
 県内出身だし、応援したい作家さん!!
 
 
 
                        ★★★★
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