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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2017年9月


 戦国期の伝来から、弾圧を経て、江戸時代の終わりまで。九州のその村に、隠れつづけたキリシタンたち。殉教する者、転ぶ者、密告する者。史実をもとに、命を賭けて信じ続けた村人たちの姿を、過酷な状況を、残酷な処刑を、心の迷いを、温かい視線で描ききった落涙必至の歴史小説。あなたの知らなかった真実が、ここにはある!

                    (新潮社HPより)





武士やその家族でキリスト教を信じた者の話でなく、普通の暮らしをしていた

村人たちに、信仰が広がった様子がよくわかって興味深かった。

宣教師たちの教えは、戦乱の時代を生きる人たちには、今よりずっと
心に響いたのかもしれない。


秀吉のバテレン追放令から段々と信者たちが追い詰められていくが
その死後、少し希望ももつ人々。
26人の磔の事件は惨かったけど・・・・(/_;)

上巻はここまで。

下巻では益々、惨いことが待っていそうでやや読む気が重たいけど
続きも気になるので、読む予定。



                        ★★★★
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発行年月:2018年9月

大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば……。さらに、赤石を告発する怪文書が出回り、祐介は「犯人探し」を命じられる。医療ミステリーの旗手が挑む、スリリングなヒューマンドラマ!

                   (新潮社HPより)




ミステリーというより、ヒューマンドラマの要素の方が大きく温かい気持ちになれた。
医療ものなので、少し専門的な知識がないと難しい話も出て来るけれど
分かりやすく書かれているので問題なくスラスラ読める。


怪文書の犯人捜しよりも、平良医師が研修医3人と関わりながら
患者の治療にあたる姿勢が本当に理想的で読んでいて気持ち良い。

大学病院内の教授との関わりなどリアルな医師の人間模様も興味深かった。

診療科によって激務なところと比較的楽なところ、あるのは事実。
そんな場所で女性でありながらバリバリ働いている医師って心身共に
強靭じゃないと続かない職場だなぁ~とつくづく感じた。

研修医のなかの唯一の女性・宇佐美麗子も平良によって
気負っていたものから解放されて、いい意味で肩の力を抜けて良かった。

平良は外科医としても優秀だけど、人の心の痛みに気づくことが出来る
素晴らしい医師だと思った。

支える妻も素敵な女性。


希望した場所への出向とはならなかったけれど、教授も平良のことを考えての
異動。
きっと新たな地でも変わらぬ理想的な医師でいてくれるでしょう。

また平良医師の話が読みたいな~。
この話、凄く好き。
ドラマ化しても面白そう。


                          ★★★★★
 



発行年月:2018年12月

ファッションデザイナーの歩が経営するブランドは地味と皮肉られ人気が無く、さらには相棒に見限られて経営困難な状況だった。歩自身も、「ファムファタル」と称され没後も語り継がれる歌姫だった祖母とは似ても似つかない容姿で、そのことから他人の美貌に辟易し、なるべく目立たぬように生きていた。そんなある日、ハーフのモデル・ジョージと出会う。自分が常に悩まされてきた外見を武器として使う彼の生き方をずるいと感じ、信用できずにいた。しかし、仕事を失ったジョージは歩の仕事を強引に手伝うようになり……。自らの弱さに目を瞑ってきた登場人物たちが一歩ずつ成長する姿を丁寧に描いた物語。 

                    (双葉社HPより)




祖母は没後も語り継がれる美しい歌姫だった。

歩はそんな祖母や母親の容姿とは似つかない自分の容姿を憂い
自身のファンションデザイナーという仕事にも自信を失いかけている。

そんな歩と出会うハーフのモデル・ジョージ。
彼も美しい容姿で最初は警戒心で接する歩。

でもジョージ、人柄もいいかんじ。

2人が協力して新しいことを始めていく様子はワクワクする。


歩のことを見守っている、真珠のキシとカリンが可愛い。
最初、登場したとき「だれ?」と思ったけど、真珠たちの会話だったと知り
なんだかアニメの場面のようで微笑ましかった。



                       ★★★




発行年月:2018年12月


 「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。

                   (新潮社HPより)



初読みの作家さんかな?

短編集でしたが、どれも良いお話。
主人公たちが、前を向いて頑張っていくんじゃないかと思える話たち。


<月まで三キロ>
大手広告代理店勤務から独立した矢先、リーマンショックの影響で倒産。
多額の負債を抱え10歳年下の妻とは離婚。
実家に戻るが母が亡くなり、残された父の認知症が進む。

死に場所を探すが偶然、乗ったタクシーの運転手に山奥の場所を案内される。


この表題作は、舞台が地元近くなので、なんだか嬉しかった。
著者はこの場所をどうやって知ったのかな?と個人的に気になる^m^
大阪生まれだし、学校もこの辺りじゃなさそうなのに・・・。


ほかの話も良かった!

気象、化石、火山、などが絡んだ話が多く、著者の経歴で納得。


ほかの話も良かった!

<星六花>
<アンモナイトの探し方>
<天王寺ハイエイタス>
<エイリアンの食堂>
<山を刻む>


最後の<山を刻む>は、同じ主婦として共感する部分も多く
主人公のこれからにエールを送りたくなった!


好きだったのは<エイリアンの食堂>
父子家庭の謙介と鈴花(小4)。
食堂を営み、そこに平日ほぼ毎晩通う女性。
密かにエイリアンかも?と言い合う親子。
人気の日替わり定食を頼まず、曜日ごとに決まった物を注文する。
淡々と食事をして帰る、その女性。
が・・・・暫く来なくなり・・・再来店した時、声をかける。

こういう人間関係は、ほっこりするなぁ~。

全体的に、どの話も温かい。
ほかの書も読んでみたくなる作家さん。


                           ★★★★



発行年月:2018年10月


 峠越えの“酷道”を照らす一軒の食堂。
義父を殺めた少年、幼い娘を喪った女、親に捨てられた男。
孤独と絶望の底で三人の人生が交差したとき、
〈まほろば〉が見せた
“十年に一度の奇跡”とは?

「人殺しになるくらいなら、
生まれてけえへんかったらよかった」

奈良県南部の秘境の村を通る峠越えの旧道沿いで、細々と営業を続ける「ドライブインまほろば」。ある日、憂(ゆう)と名乗る少年が幼い妹を連れて現れ、「夏休みが終わるまでここに置いてください」と懇願(こんがん)する。
一人娘を喪(うしな)った過去を持つ店主の比奈子(ひなこ)は、逡巡(しゅんじゅん)の末、二人を受け入れた。
だが、その夜更け、比奈子は月明かりの下で慟哭(どうこく)する憂に気付く。震える肩を抱きしめる彼女に、憂は衝撃の告白をはじめた……。

                   (祥伝社HPより)





子どもが理不尽に痛めつけられるのは許せない!

小学6年の憂は、実の父親からも、継父からも暴力を受けて育った。
我慢できずに継父を殺してしまう。
そして父親違いの妹。来海(5歳)を連れて逃亡。
辿り着いたのは、秘境の村にあるドライブインまほろば。

まほろばの店主・比奈子(37歳)は、5歳の時、娘を事故で亡くし
その後、夫とも別れ一人暮らし。
娘の事故は、自分の母親が運転する車に同乗していたとき。
母親は許しを請うが未だに許せない気持ちが強く、母親の存在そのものも
疎ましく感じている。


不幸な境遇の者たちが出会い、新たな幸せを見つけていく。

本当に辛い話だったけれど、憂がとても賢くて良い子なのには感心。
どうしてこんな良い子が生まれたのか???

罪を償ったあとには、きっと幸せがあると思うし、是非、幸せになってほしい!!


しかし、不幸は連鎖していくんだなとよくわかった。

憂に虐待を繰り返していた継父の流星とその双子の兄・銀河。
2人もまた同じように幼少期、辛い生活をしていた。

子どもの頃の育つ環境で人はこんなにも卑屈になっていくんだなと哀しくなった。

実際、こういうニュースも多いし・・・


子ども達が助けを求められる場所。
避難できる場所の確保が行政の力でなんとかならないか?と強く思った。


しかし、最後は、何となく希望が持てて、少しホッとした。


                       ★★★★
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