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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年8月

己が斬るのは公儀か藩か、それとも父か? 最も熱い「青春時代小説」!

江戸時代中期、十五万石を超える富裕な石久藩。鳥羽新吾は上士の息子でありながら、藩校から郷校「薫風館」に転学、自由な気風を謳歌していた。その「薫風館」で陰謀が起きる。かつての学友たちが斬殺され、その真相を知った学友だった瀬島が自害。中老である彼の父も罷職となった。真実を知るはずの新吾の父は、事件後何事もなかったかのように妾宅に住み、そして二年が過ぎようとしていた。新吾は元服を迎え、親友の栄太は江戸へ遊学し同じく同輩の弘太郎には嫁取りの話が来ている。ゆっくりと時が進んでいたある日、弘太郎の近所で太刀傷の死体を見たと証言した隠居の老人が事故死する。同時に、弘太郎の許嫁の八千代が不自然に新吾の姓「鳥羽」に対し戦く。そして、突然栄太が謎の理由で帰郷する。かつての陰謀から、再び陰嵐の気配がわき起こる。最も熱い「青春時代小説」!

                    (角川書店HPより)


少年時代劇のシリーズ。

鳥羽新吾は16歳。
この年は、元服も済んで、もう立派な成人というかんじで
今の16歳とは全然、違った貫禄を感じる。

同じ、学び舎、「薫風館」の親友・間宮弘太郎、江戸へ遊学中の栄太も
それぞれ成長していて頼もしい。

けれど、不穏な事件が起き、そこから浮かぶ疑念。

父親に疑問を問う新吾。
これから、どうなっていくのか?


薫風から烈風、物語をあらわすにはぴったりの表題。
再び、薫風のような穏やかさが戻ればいいけれど・・・・。



                        ★★★
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発行年月:2019年4月


累計40万部突破の「佐方貞人」シリーズ、6年ぶり最新刊!

作家デビュー10周年記念作品

映画化『孤狼の血』本屋大賞第2位『盤上の向日葵』の次は、これだ。
孤高の検事の男気と執念を描いた、心ふるわすリーガル・ミステリー!

任官5年目の検事・佐方貞人は、認知症だった母親を殺害して逮捕された息子・昌平の裁判を担当することになった。昌平は介護疲れから犯行に及んだと自供、事件は解決するかに見えた。しかし佐方は、遺体発見から逮捕まで「空白の2時間」があることに疑問を抱く。独自に聞き取りを進めると、やがて見えてきたのは昌平の意外な素顔だった……。(「信義を守る」)

                   (角川書店HPより)


毎回、新刊が楽しみな作家さんの一人。
デビュー10周年なんですね~。


今回は短編連作の形。
主人公は佐方貞人検事。担当事務官の増田とも真面目に事件の本質を探る。
罪はまっとうに裁かれなければならない。の信念。
当たり前のようで、難しいことだと物語を読んでいると強く感じる。

4つに事件から成るが、どれも重たい。
特に最後の章<信義を守る>が一番、読んでいて辛かった。

認知症が進んだ85歳の母親を殺めた罪で逮捕された55歳の息子・道塚昌平。

ベテラン検事が出した懲役10年の求刑に異議を唱えた佐方。

一生懸命介護してきた母親を自らの手で殺めたのは、単なる介護疲れからなのか?
母親を遺棄した場所からあまり離れていない場所に留まっていたのはなぜか?
職場を人間関係からのトラブルもあってクビになったというが、本当なのか?


いろいろな疑問を追求して、わかった事件の真相。

辛すぎる(/_;)。

真相がわかったからと言って、道塚本人が救われることにはならないだろうな~という
ことが一番、つらい。
それを感じた佐方本人も、この仕事を続ける意味に疑問を感じていそう。

大変な職業だな~とつくづく思った。



                        ★★★


発行年月:2019年7月

騙されては、いけない。けれど絶対、あなたも騙される。

『向日葵の咲かない夏』の原点に回帰しつつ、驚愕度・完成度を大幅更新する衝撃のミステリー!

第1章「弓投げの崖を見てはいけない」
自殺の名所付近のトンネルで起きた交通事故が、殺人の連鎖を招く。
第2章その話を聞かせてはいけない」
友達のいない少年が目撃した殺人現場は本物か? 偽物か?
第3章「絵の謎に気づいてはいけない」
宗教団体の幹部女性が死体で発見された。先輩刑事は後輩を導き捜査を進めるが。

どの章にも、最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリックが……!
ラストページの後に再読すると物語に隠された〝本当の真相〟が浮かび上がる超絶技巧。
さらに終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、これまでの物語すべてがが絡み合い、さらなる〝真実〟に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。

「ここ分かった!?」と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説。


                       (文芸春秋HPより)




4つの章からなる長編、ミステリー。
第一章で起きる事件が発端で、いろいろな事件が連鎖していく。

最初の交通事故から起きた殺人。
殺されたのは、安見邦夫だと思っていたら・・・・実際は息子の直哉だった!

こんな風に、こうだろうと思って読んでいると、「あれ?」となって
暫く読んで、「ああ~」と騙されていたことに気づくの繰り返し。


中国人の小学生・珂(カー)と、同級生の山内くん。
二人の友情物語がいいなと思って途中まで読んでいたら・・・・
まさかのトンデモないワルな山内くんの正体に気づいてゾッ~とした!

章の終わりにあるイラストや写真に、謎解きのカギが潜んでいるのだと
先に読んだ、夫に教わり、再び、「おぉ~!!」と驚く。


殺人やら暴行やらあるのに、その真相は明かされることなく
一見、平和な街の佇まいは変わらず・・・・って凄く怖い。



ああ、これ、もう一度、読みたい!
図書館本なので、また予約順番待たないと読めないけど・・・・(^^ゞ


しかし、よくこんな話、書けるなぁ~
道尾さん、凄いよ!


                        ★★★★★


発行年月:2018年9月


1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。
ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、
ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。
米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。
しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――
ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。

                 (筑摩書房HPより)



ヒットラーが自殺したあとのドイツって、こういうかんじだったんだ~。
と物語を読んで初めて知ることに驚く。

今まで虐げられていた人たちが、今度は虐げていたもの同じように虐げる。
そういうことがとても哀しい。


物語は17歳のアウグステの現在と幼い頃の家族とのことを交互に書く。

アウグステの両親は、打倒政府を叫ぶ共産主義者。
特に父親はその活動に積極的。
それゆえ、政府によって死に追いやられる。


現在のアウグステは、かつて自分を匿ってくれた恩人でもあるチェロ演奏家の
クルストフの死をその甥であるエーリヒに知らせるため、見知らぬ地まで
向かう。
途中、そのあたりの地理に詳しいユダヤ人のカフカと知り合い一緒に
目的地まで向かう。



読みながら、甥に死を知らせる目的のためにこんな苦労をなぜする?と
疑問に思ったが・・・なるほど!
そういうことか!

それは知らせてあげるべきことでしょうね。


アウグステの勇敢さ、優しさが、つらい時代背景のなかで輝いていた。

参考文献の多さにびっくり!
日本人の作家がこの物語を完成させるのはさぞ、大変だったでしょうね~。

文句なしにこれは最高の1冊です!!


                    ★★★★★


発行年月:2019年6月


いつかは欲しい、でもそれがいつなのか、わからない。

夫と二人の快適な生活に満足していた知佳(35歳)。しかし妹の出産を機に、彼の様子が変わってきて……「1DKとメロンパン」
妊活を始めて4カ月が過ぎた。時間がないとあせる妻に対し、夫の睦生(34歳)は……「無花果のレジデンス」
独身OLの茂斗子(36歳)は、単身者しか入居していないはずのマンションで子どもの泣き声を聞いて……「私は子どもが大嫌い」

子どもがいてもいなくても……毎日を懸命に生きるすべての人へ、
そっと手を差し伸べてくれる、5つの物語。


                   (角川書店HPより)




子どもがいるかいないか。
欲しくてもできないのは辛い。
夫婦が同じ考え方でないとどちらかが苦悩することになる。


ここに登場の5つの話は、状況としては厳しいものもあるけれど
うまく夫婦が意見交換して納得した自分たちの未来に向かって歩んでいく姿が
清々しく、読後感としては、どれも良かった。


話としては最後の<金木犀のベランダ>が好き。

パン屋を営む43歳の夫婦。
栄太郎と繭子。
今は、子どもが居ない。
夫は、二人で子育てをしてみたいと言い、妻は、今のままの生活で満足していると言う。

夫婦は自分の気持ちを素直に相手に伝え、今後のことを考える。


こういう夫婦は理想的。
子どもが居てもいなくても変わらぬ夫婦の信頼関係が保てていけそう。


子どもがいる、いないで、幸せの度合いが変わるわけではない。

今ある幸せをちゃんと見つめていける人でありたいと思った。



どの話もじ~んと温かいものを感じて良かった!



                        ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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