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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年8月


東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年。浅草で男児誘拐事件が発生し、日本中を恐怖と怒りの渦に叩き込んだ。事件を担当する捜査一課の落合昌夫は、子供達から「莫迦」と呼ばれる北国訛りの男の噂を聞く――。世間から置き去りにされた人間の孤独を、緊迫感あふれる描写と圧倒的リアリティで描く社会派ミステリの真髄。

                 (新潮社HPより)


昭和38年の物語。
懐かしい、プラッシーも登場して、そういうところは昔を思い出したり
して楽しんだ。

けれど、主人公の宇野寛治の生き様が壮絶で、哀しい。
北海道の礼文島で昆布漁に関わっていたが、盗みで数回、刑務所に。

母親はスナック経営しているが、息子に関心がなく
寛治は先輩漁師からもバカにされて、いいように騙される。
そして、島から逃げなければならない事態に。
そんな緊迫した状況でまたまた騙され命の危険も感じるが、なんとか
助かり、逃げた先でも金欲しさにやはり盗みをはたらく。

そして昭和38年、東京に来た寛治。
頼るものも居ない見知らぬ土地で、世話を焼いてくれたのが
やくざの下っ端、町井明男。
組事務所の掃除などをする代わりに食事を提供して貰ったり・・・。

このあたりまでは、悪さばかりの寛治だけどなぜか憎めないなぁ~なんて
思って読んでいた。

が・・・
誘拐事件が起きる辺りから、いやな感じ。
幼い子が命を危険に晒されるのは辛い。

寛治は根っからのワルではないけれど、状況によっては
とんでもないことをしてしまうからなぁ~と思いながら読んでいた。

最後は最悪な結末。
その時の状況を本人が刑事に語る場面は、ああ、そういう状況なら
寛治ならそうしちゃうだろうな。と哀しくなった。


実際の事件がモデルだそうで、【吉展ちゃん誘拐事件】の犯人はどんな
人だったのかも気になる。

こんな風に罪を犯してしまう人も世の中、多いのかも。

重たい話だったけど、興味深く最初から最後まで読めた。



                   ★★★
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発行年月:2019年9月

将来を嘱望された陸上をやめ、
五輪種目のライフル射撃を高校から始める結城沙耶だったが――。
オリンピック種目のマイナー競技と格闘する少女たちの喜怒哀楽が渦巻く、
心震える青春小説。

                   (中央公論新社HPより)




中学では陸上のハードルをやっていた結城沙耶が友人・松前花奈の誘いで

高校からは射撃部員として頑張る。


射撃部は弱小。
新入部員は沙耶と花奈の二人だけ。
入部当初は、射撃に最初から興味があった花奈が器用にライフルを扱うが
いざ大会となると沙耶の射撃は、失敗がなく好成績を修める。


部の監督・磯村はその才能に気づいていた。

部内で花形的存在になる一方、その活躍を妬む者がいて嫌がらせを受ける沙耶。
仲良しだった花奈との関係もギクシャクしてしまう。


アスリートの世界では、こういうこともあるんだろうなぁ~。

でも沙耶は、次の舞台、オリンピックに向かうというラスト。

これ続き読みたいなぁ~。

来年のオリンピックでの射撃にも興味が出てくる!


                       ★★★





発行年月:2019年7月

餌付けをしているわけでもないのに猫が寄りつき、「猫寺」と呼ばれていた都内の木蓮寺。若き住職の真道は高校教師だった藤井に声をかけ、猫を専門に扱う霊園を開設する。愛猫を看取ったばかりの瑞季、そして真道と藤井もまた誰にも明せない悲しみと孤独を抱えていた。猫と共に生き、猫に生かされてきた男女の祈りと再生の物語。

                   (新潮社HPより)



猫を愛する者たちの物語。
短編連作だけど、ずっと話は繋がっていて、猫寺と呼ばれる木蓮寺に
集う、猫たちとの関わりが温かい。

人も猫もいつかは尽きる命。
当たり前のことだけど、そこ関わりのなかに不思議な思いが交錯して
時には懐かしい景色や感情を思い起こさせてくれる。

寺の住職・真道。
元は物理学教師の猫の火葬を任されている藤井。
愛猫・菜々を亡くし、藤井に火葬を依頼してから木蓮寺に関わることになった
瑞希。


3人がそれぞれ猫を思う優しさがいい。

また寺の猫と遊ぶために来る、小学生の麦。
彼も少し寂しい家庭環境をこの寺で癒している様子。


こんな素敵なお寺があれば、わたしも通うなぁ~
なんて思いながら読んでいた。

心が安らぐ物語でした♪


                          ★★★★


発行年月:2019年9月


出奔した妹の子ども・朔と暮らすことになった椿。
決して《育てやすく》はない朔との生活の中で、
椿は彼を他の子どもと比べていることに気づいて――。

                    (中央公論新社HPより)



椿は出奔した妹の子どもを2歳から小学2年生になるまで育てた。
本当の親じゃなくても、ちゃんと愛情をもって・・・。
良い伯母さんだな~と感心した。

そんな椿が育てたから、朔もいい子に成長した。
少しくらい勉強ができなくても、他の子と同じようにできないことが
あっても、その子にしかない何か優れたものはあるはず。
朔は人のことを思いやる優しさに優れていると思う。

幸せに生きていくためには、案外そういうことのほうが勉強がすごく
できることより大切なんじゃないかな?と思う。


最後は、新しい生活環境で朔が楽しそうにしている描写にほっこり。


                      ★★★★★


発行年月:2019年9月


仕事じゃなくても輝ける、いつもの景色が違って見える――
人生後半戦を迎える男たちの、まさかの新しいステージは、
おじさんたちだけの社交ダンス! 
中年世代を熱くする、出会いと躍動の物語。

                 (中央公論新社HPより)


表紙のおじさんたちの物語。

社交ダンスの講師は、米山信也。
妻(ダンスのパートナーでもあった)を半年前に亡くし、何事にもやる気が沸かない。

生徒の面々。

田中武士・・・60歳で定年退職。何となく体調が優れず、妻に勧められ
受診し、医師から社交ダンスを勧められる。

川端諒一・・・51歳。商事会社の部長。子どもはいない。
妻も働いていて、自分より会社の地位は高い、

大塚正彦・・・町工場の社長。IT会社を辞めた息子(25歳)が一緒に働くが
何となく息子とはうまくかない。


おじさんたち、それぞれが社交ダンスを通じて、新しい人間関係を築き、
そういう生活の変化がそれぞれの生活でも良い変化を起こすというかんじ。


読んでいて楽しかった!


                       ★★★
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