忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[125]  [126]  [127]  [128]  [129]  [130]  [131]  [132]  [133]  [134]  [135


発行年月:2019年3月


血はつながってる。だけど家族じゃない。

「はじめまして」から始まった親子の同居生活。近くて遠い二人の物語の行方は――?
優しい涙が止まらない最高のハートフルストーリー。

そこそこ売れている引きこもりの作家・加賀野の元へ、生まれてから一度も会ったことのない25歳の息子・智が突然訪ねてきた。父は月10万の養育費を振込み、息子は写真を一枚送る、それが唯一の関わりだった二人。真意を測りかね戸惑う加賀野だが、「しばらく住ませて」と言う智に押し切られ、初対面の息子と同居生活を送ることに――。孤独に慣れ切った世間知らずな父と、近所付き合いも完璧にこなす健やかすぎる息子、血のつながりしかない二人は家族になれるのか? 

その「答え」を知るとき、温かく優しい涙が溢れ出す。笑って泣ける父と子の再生の物語。

    (ソニーミュージックエンターテイメント/発行)


面白い話になりそうと最初から期待できる設定。
25歳になった息子・智が突然、訪ねて来て、少しの期間、ここに
住まわせてほしいと。

混乱する作家の父親50歳、佐賀野正吉。


智のサバサバした性格が気持ちいい。
オロオロするばかりの父親をリードして
世間とかかわりを持たない生活をしてきた正吉を外に連れ出したり
自治会行事に関わらせたり・・・。

正吉の生活に他人との関わりが生まれてくる。


そして、智はあっさり去ることに・・・。


でも、そこからが新たな始まりという感じ。

ちょっと特殊な家族形態だけど、良い感じ。


正吉は好きでもない美月と関係を持って智が生まれたと言っていたけれど
美月も智も魅力的。
これからは、家族としてもっと関わりを持って行くんだろうなぁ~。

能天気な性格だと思った智も、傷ついて辛い時期があったとは。
彼もまた元の仕事に復帰できる日が来るといいなぁ。


正吉の作家活動も順調に続いて、傑作が生まれそう!

良い物語だった!


                    ★★★★


PR



発行年月:2019年10月

『ことり』以来7年ぶりの、書き下ろし長編小説。
死んだ子どもたちの魂は、小箱の中で成長している。死者が運んでくれる幸せ。
世の淵で、冥福を祈る「おくりびと」を静謐に愛おしく描く傑作。

私の住む家は元幼稚園で、何もかもが小ぶりにできている。講堂、給食室、保健室、人々の気持ちを慰める“安寧のための筆記室”もある。
私は郷土史資料館の学芸員であったバリトンさんの恋人から来る小さな文字の手紙を解読している。従姉は息子を亡くしてから自分の人生を縮小した。
講堂にはガラスの小箱があり、亡くなった子どもたちの魂が成長している。大人は自分の小さな子どもに会いに来て、冥福を祈るのだ。“一人一人の音楽会”では密やかな音楽が奏でられる。
今日はいよいよあの子の結婚式で、元美容師さん、バリトンさん、クリーニング店の奥さん、虫歯屋さんが招待されている。

                             (朝日新聞出版HPより)




切ないけれど、温かく、不穏さもありながら美しい、小川さんの物語は素敵!

主人公の私は・・・独りで元幼稚園に住んでいる。
そして講堂を訪れる人たちのため、そこを守っている。

講堂に並んだガラスの箱たち。
それは亡くなった子どもたちが成長する場所。

姿は見えなくても、そこで成長していると考えたら哀しさも幾らか慰められそう。

一人一人の音楽会も何やら不思議な雰囲気ですが、みなが自分の亡くなった子どもたちと
対話しているかのような姿は、切ないけれど温かい気持ちにもなれる。

形見の品で作った小さな楽器を耳たぶに吊るし、風に揺れながら、それが奏でる音を楽しむ。
居様な風景にも見えるけれど美しい文章で語られるので、幻想的な雰囲気。


最後は、従姉の子どもの結婚式。
みんながお祝いの気持ちで集う、素敵な式。


この独特な雰囲気にずっと浸っていたくなった。



                                   ★★★★★


発行年月:2019年5月

「あなたは誰?」
息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子。
ふたりには忘れることのできない“事件”があったーー。
現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。

                (文芸春秋HPより)



切ない話だったけど、良かった。
生まれたときから父親がいなかった主人公の葛西泉。

レコード会社に勤務していて、職場結婚の香織との子どもも
生まれる。


母はピアノ教師として若い頃から働いていたが・・・
アルツハイマー病を発症、徐々に記憶をなくしていく日々。

泉との昔話を時々思い出しては語る。

最後の「半分の花火」、母親に見せてあげられなかったこと
「半分の花火」の意味を母親がいなくなって気づいた泉は
後悔が残るだろうなぁ~。
それを考えると、本当に切なくて・・・・
自然と泣けた・・・(/_;)


泉の母親・百合子の若いころの泉を置いての一時期、出奔の箇所は
衝撃的だったけど
それ以外は、泉にとっては優しく美しい良い母親だったんだろう。


                  ★★★★


発行年月:2019年6月

光満ちあふれ、幸福な色をたたえる名画誕生の陰には、画家たちの壮絶な闘いのドラマがあった。貧しくても、どん底に落ちても、志高く新しい道を切り拓いていったそのあしあとをたどって、アート小説の名手が紡ぐ、7つの物語。モネの愛したノルマンディーへの旅も。

                  (新潮社HPより)



モネ、モリゾとマネ、カサットとドガ、ルノワール、カイユボット
セザンヌ、ゴッホ、
7つの物語を読んで、画家たちがどんな環境で作品を生み出したのか
わかった。

貧しい暮らしのなかから生まれた作品が多いのは驚き。

カイユボットはそんな貧しい画家たちのなかで、彼らを助けたいと
行動した。
彼らの作品を価値あるものだと認め、自ら購入。
死後は、それを国家に寄贈したいと遺言で残していた。

それには、論争が起きるのだけど・・・
カイユボットのおかげで今、わたしたちは素敵な作品を知れることが
出来たのかもしれないなぁ~。

カイユボットという人物は今回、初めて知ったけれど、なんだか
すごく興味が沸いた人物。
自身も素敵な絵をたくさん、描いているんだなぁ~。


本はオールカラーで絵画も沢山、載っていて、読み応えあり
見ごたえありの素敵な1冊でした!

マハさんが画家たちゆかりの場所を訪ねる紀行文もよかった。


                      ★★★★★



発行年月:2019年7月

親子の救済、老人の覚醒、30年前の自分との出会い、仲良しロボットとの別れ、無差別殺傷事件の真相、別の人生の模索……淡く美しい希望が灯る。宮部みゆきの新境地、心ふるえる作品集。

『さよならの儀式』刊行によせて
〈10年前、新しく始まるSFアンソロジー『NOVA』(大森望責任編集、河出文庫)に参加しませんか----と誘っていただいたとき、これまでのような「なんとなくSF」ではなく、「ちゃんとSF」を書こうと思いました。その積み重ねで出来上がったのが本書です。歳月のなかで私が変化したところと変化しないところが浮かび上がり、作家的血液検査の結果を見るようで、嬉しくもあり恐ろしくもある作品集になりました。〉----宮部みゆき

収録作品(全8編)
「母の法律」
虐待を受ける子供とその親を救済する奇蹟の法律「マザー法」。でも、救いきれないものはある。
「戦闘員」
孤独な老人の日常に迫る侵略者の影。覚醒の時が来た。
「わたしとワタシ」
45歳のわたしの前に、中学生のワタシが現れた。「やっぱり、タイムスリップしちゃってる!」
「さよならの儀式」
長年一緒に暮らしてきたロボットと若い娘の、最後の挨拶。
「星に願いを」
妹が体調を崩したのも、駅の無差別殺傷事件も、みんな「おともだち」のせい?
「聖痕」
調査事務所を訪れた依頼人の話によれば----ネット上で元〈少年A〉は、人間を超えた存在になっていた。
「海神の裔」
明治日本の小さな漁村に、海の向こうから「屍者」のトムさんがやってきた。
「保安官の明日」
パトロール中、保安官の無線が鳴った。「誘拐事件発生です」なぜいつも道を間違ってしまうのか……

                            (河出書房新社HPより)



8編の短編、どれもそれなりに面白かったけれど、やはり宮部さんは長編の方がいいなぁ~。


印象的だったのは、最初の「母の法律」。

虐待を受ける子どもの保護のため、国家が親権を管理する法律・・・マザー法。

実母が死刑囚の二葉は、保護施設のグランドホームで平穏に過ごし、さらに新しい両親の元でも
幸せに過ごした。

が・・・突然、知る事実。
実母と再会する最後の場面・・・・うわ~やりきれない。
二葉はこのあと、どういう風に生きていくんだろう?凄く気になる。



表題作{さよならの儀式」は、ずっと一緒に暮らしてきたロボット・ハーマンに不具合が度々、起こり
廃棄することになったのだが、なかなか決心がつかない女性とその女性に対応する
廃棄手続き窓口の技師のやり取り。

ロボットとはいえ、愛着沸いたら、別れは辛いよね~。



ちょっと哀愁漂う、近未来的なSFの話たち。

まあまあ楽しめた。


                                          ★★★

カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 3 4
6 7 9 10 11
13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]