発行年月:2019年10月
大好きな仲間たちの、知らなかった秘密。
入賞者ツアーのはざまで亜夜とマサルとなぜか塵が二人のピアノ恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。
芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。
作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけとなった忘れ得ぬ一人の教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。
ジュリアード音楽院に留学したマサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。
楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏に天啓を伝える「鈴蘭と階段」。
ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。
全6編。
(幻冬舎HPより)
「蜜蜂と遠雷」の映画を見ているので、読んでいると俳優さんの顔が浮かんでしまう。
でも、それも楽しかった♪
ピアノを通じて知り合った若者たちの、それぞれの物語。
彼らが今後、どうやって音楽を奏でていくのか、また読みたいなぁ~。
でも、一番、感動したのは「春と修羅」を作曲した菱沼の物語だった。
教え子の小山内との物語。
作曲という新しいものを生み出すって作業って大変なことなだろうな。
教え子の思いをしっかり受け取めたから出来た曲だったんだな~。
それがわかったことが一番、嬉しかった!
「春と修羅」、また聴きたいな。
★★★★
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発行年月;2019年10月
「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」詐欺師から足を洗い、口の上手さを武器に実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで
彼の生活は一変する。シビアな現実に生きるキョウを目の当たりにした武沢は、ふたたびペテンの世界に戻ることを決意。そしてかつての仲間――まひろ、やひろ、貫太郎らと再集結し、キョウを救うために「超人気テレビ番組」を巻き込んだド派手な大仕掛けを計画するが……。
(講談社HPより)
前作の「カラスの親指」は、ウロ覚えですが・・・(^^ゞ
問題なく楽しめた♪
読んでいるうちに、思い出すこともあったし・・・・。
今回は、武沢、やひろ、まひろ、貫太郎、やひろと貫太郎の子ども・鉄平(小6)に
中学生14歳のキョウが加わる。
最初、男の子かと思ったら、キョウは女の子。
実演販売をしている武沢にテレビにその技で出演したいから教えて欲しいと
頼み、武沢のところに居候する。
夏休み中だし、同居の祖父母は四国にお遍路さんで留守だという。
父親は居ない。母親はある男に騙され、その男を刺し、自分も自殺を図ったと。
キョウは母親の仇を討ちたいんだと、メンバーたちは協力するんだけれど・・・
キョウの本当の目的は違うところにあって・・・
敵討ちを武沢たちは、役者を揃えて演出するという作戦へ・・・
つまり互いに騙し合うわけで、読んでいて、自分も騙されていました~(^^ゞ
で、最後の最後に、真実が・・・
ああ、キョウがこの後、幸せに暮らせるといいなぁ~。
騙し合うなかに、温かい気持ちもあって、いい。
前作の「カラスの親指」映画化されていることを今更、知った!
阿部寛が、武沢!面白そう~!
是非、観てみたいな♪
★★★★
発行年月;2019年11月
菜種油を扱う長崎の大店・大浦屋を継いだ希以(けい)26歳。幕末の黒船騒ぎで世情騒がしい折、じり貧になる前に新たな商売を考える希以に、古いしきたりを重んじる番頭の弥右衛門はいい顔をしない。
やがて店は火事で焼け落ち、父は出奔、迎えた婿も気に入らず、いつしか独りで大浦屋を支えることを誓う。幼い頃に亡くなった祖父から聞いた言葉、「海はこの世界のどこにでもつながっとるばい。昔は自在に交易できたばい。才覚さえあれば、異人とでも好いたように渡りあえた」が幾たびもも胸に甦る。
たまたま通詞・品川藤十郎と阿蘭陀人の船乗り・テキストルと知り合い、茶葉が英吉利では不足しているという話を聞き、ここぞと日本の茶葉を売り込む。待ちに待って3年後、英吉利商人のオルトが現れ、遂にお希以は旧弊なしがらみを打破し、世界を相手にするのだ――。
成功と落胆を繰り返しつつ、希以――大浦慶が経たいくつもの出会いと別れ。彼女が目指したもの、手に入れたもの、失ったものとはいったい何だったのか。
円熟の名手が描く傑作評伝。
(朝日新聞出版HPより)
幕末の長崎で、異国相手に茶葉で交易した女性・大浦慶の生涯。
凄いなぁ~とただただ感心。
婿養子に入った夫を、あの人は商売に向かないと翌日、追い出したり
番頭の弥右衛門にも自分の意見を押し通すという気の強さもあるが、
入り婿だった父緒が後妻とその息子とともに出奔したすえ、戻ってきたときは
忌々しいと思いながらも受けいれ、父の最後も看取り、腹違いの弟・亥之二のことも
自分の養子として、商を教えるという優しさもあった。
そんな魅力的な人だからこそ、いろいろな人がのちに助けてくれたのだなぁ~。
一時は、信頼していた人に騙され、家財差し押さえというどん底に落ちるが
それでも倒れず、前を向き進む姿は格好良かった!
生涯、独身だったけれど、多くの人の縁に恵まれ充実の一生だったんだろうな。
名前は憶えていなかったけれどNHKの大河ドラマ「龍馬伝」でも活躍していた
女性だった!
凄く印象深く、凄いな、この人とその時は思っていた。
女優は、余喜美子さんだった。やはり威勢が良くって恰好よかったぁ~。
龍馬たち亀山社中の面々を助けていた。
57歳で亡くなっているんですね。
男性以上の働きをして時代を駆け抜けて逝ってしまったんだなぁ~。
★★★★★
発行年月;2019年3月
第161回直木賞受賞作。
選考委員激賞!
虚構と現実が反転する恐ろしさまで描き切った傑作! ──桐野夏生氏
いくつもの人生が渦を巻き、響き合って、小説宇宙を作り上げている。──髙村薫氏
虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた──
「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ
人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作!
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。
大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(のちの半二)。
末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、竹本座に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。
父からもらった近松門左衛門の硯に導かれるように物書きの世界に入ったが、
弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった……。
著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した奇蹟の芸術小説。
筆の先から墨がしたたる。
やがて、わしが文字になって溶けていく──
(文芸春秋HPより)
人形浄瑠璃なんて全く知らないので、その作者・近松半二と
聞いても「??」だった(^^ゞ
でもその生涯を描いたこの物語は、楽しく読めた。
人形浄瑠璃も一度、見てみたいとも感じた。
半二が出会う人たちが皆、半二の後の作品づくりに大きな力を
与えた人ばかりというのも凄い。
半二に人としての魅力があったんだろうなぁ~。
自分にとって厳しくてただ煙たい存在だった母・絹の臨終の場で
会えずに帰ってしまった半二のことを語るお熊の優しい嘘も
良かった。
結局、それがのちに現実となるのもいい。
半二の妻となった、お佐久も素敵な女性。
ほかにも兄の元許嫁の末も素敵だった。
半二の周りにいた人たちはみな、優しい。
半二の娘・おきみが同じように作者として活躍したのかな?
史実を後で調べてみよう。
あまり知らなかった世界の話だったので、読了できるかな?と
読み始めたが、読みやすく最後まで楽しめた。
★★★★
発行年月:2019年11月
北海道・大沼湖畔に佇む2つの施設。そこではさまざまな事情で親元を離れた少年少女たちが、自立のために職員たちと一つ屋根の下で暮らしていた。施設を束ねる藤城遼平の娘・ゆきは札幌の病院で働く新人の理学療法士。偶然、父の教え子である同世代の摩耶が唄うYouTubeを見たことから、摩耶、そして同じく教え子の兄・拓弥と出会う。実在の児童自立支援施設を取材し、繊細な心を描き上げた著者の新境地。
(発行/潮出版社)
実際にある施設を何度も取材して書いた物語だそう。
かなり重たい内容。
でも現実は、もっと酷いのかも。
読んでいると、なんとも暗い気持ちになる。
こんな風に家庭環境が悪いばかりに、過酷な生活を送らなければならない子どもが
居ると思うと・・・辛い(/_;)。
ここでは、ある兄妹(拓弥と麻耶)を軸に、自動自立支援施設の院長の藤城遼平と
その家族の関わりを描いている。
院長の藤城の子どもの気持ちを理解して24時間、ほとんど自分の自由な時間なしに
働く姿には、頭が下がる。
妻と娘とは、離れて暮らしているけれど、一緒に住んでいたら
家族まで心労を伴うでしょうね。
途中からの展開は、藤城の妻の立場で読んでしまい、心穏やかではいられなかった。
そういう気持ちになるのは、やはり、普通じゃない生い立ちの拓弥たちに
偏見を持ってしまっているということだけど、他人としては応援したくても
身内になるかと思うと。。。。
結果的に、娘のゆきの意志を尊重した夫妻。
そうするしか、こうなればないよなぁ~。
世間も過去は過去として、現在の頑張っている姿を見て応援してあげなきゃね。
生まれた子どもたちは、幸せに温かい家庭で暮らせますように・・・
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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