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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年7月


「東京バンドワゴン」シリーズの著者が贈る、レトロで心温まる連作短篇ミステリー。1971年。元刑事・蓑島周平と元医者・花の夫婦の駐在生活も板についてきた頃。新たな仲間、柴犬のミルも加わりのんびりした生活......と思いきや、相変わらず事件の種はつきないようで――。平和(なはず)の田舎町を、駐在夫婦が駆け回る!日曜日の雪は、落とし物子どもたちが作った雪だるまが......歩いていなくなった?木曜日の滝は、逃亡者指名手配犯の目撃情報が! 見つかった場所は――?土曜日の涙は、霊能者村を騒がせる自称霊能者の女性。彼女の目的は?火曜日の愛は、銃弾兄弟喧嘩があわや殺人事件に。その悲しき真相とは?

                    (中央公論新社HPより)


冬の話から始まって。、春、夏、秋、それぞれの季節に起きた事件について。

どの話も、人が人を想う優しさから起きた事件というかんじ。

駐在所の2階に、神社の一人娘・早稲ちゃんと。山小屋で働く圭吾くんが結婚して
新居として住むことになり、賑やかで楽しそうな日常が良い感じ♪

元外科医の花さんの指の回復も順調な様子で、物語の最後にあったように
ここで診療所みたいなものが出来たら素敵だろうなぁ~。

このシリーズ、続いて欲しい!


事件の真相を知る過程も楽しい。


                        ★★★★
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発行年月:2019年11月


ハリウッド俳優Bの泊まった部屋からは決まって1冊本が抜き去られていた――。
客室係の「私」だけが秘密を知る表題作など、
著者ならではの静謐で豊かな物語世界が広がる、珠玉の短篇6本。

               (河出書房新社HPより)


表題作<約束された移動>は1番目。
今は、映画界から姿を消した、ハリウッド俳優だったBについて。
彼の生い立ちが語られ・・・
彼がまだ若手俳優の時からホテル滞在中に客室係で働いていた「私」。
彼が1冊づつ本を持って行くのに気づくが、ほかに知られないように
取り繕う。そして、次は何を持って行くか、予想したりして楽しむ。

彼が持ち去る本に共通しているのは、誰かがどこかに移動してゆくお話。


<ダイアナとバーバラ>
ダイアナ妃が着ていた服を忠実に再現しているバーバラ。
以前は、市民病院の1Fロビーで案内係をしていた。
口癖は「わかります、わかりますよ」。

孫娘がダイアナ仕様の服の着付けを手伝い、一緒にショッピングモールまで
外出。そこのフードコートで休憩がお決まり。
バーバラの恰好は奇妙で、通り過ぎる人は、見て見ぬふり。

これ、最後のオチがいい。
少年と孫娘、友達になれそう・・・^m^



<元迷子係の黒目>
ママの大叔父さんのお嫁さんの弟が養子に行った先の末の妹(通称・末の妹)
と「私」。
末の妹は、退職まで勤めていたデパートの迷子係として能力を発揮していた。

遠い親戚として「私」の家の隣に住む彼女。
グッピーの産卵の時に大仕事をやってのけた末の妹。
でも、その後、熱帯魚を全て死なせてしまった「私」。

デパートで迷子の体験をする「私」。迎えに来る役は末の妹。


二人の関係がなんだか、ほのぼのしていて良かった。



<寄生>
彼女にプロポーズをすると決めて目的のレストランに向かう途中に
見知らぬ老女につかまってしまう。
どうしても離れてくれないので交番へ。


寄生というタイトルから、もっと不穏なものを想像してしまったけど
おばあさんを迎えにきてくれる人が見つかってホッとした。
そしてポロポーズはたぶん、成功ですね。
素敵なカップルのなれそめも面白く、微笑ましい話。



<黒子羊はどこへ>
貿易船が座礁し、多くの漂流物が流れ着き、そのなかに白い2匹の羊。
以前は、家畜を飼っていたが夫が亡くなりすべて処分した女性がその2匹を
連れ帰り、育てる。
春、毛を刈ろうとしたら、赤ちゃんが生まれていた。
なぜか黒い羊。
村人たちは、不吉の予兆と噂するが、子どもたちには人気で、羊を見にやってくる。
やがて、そこは託児所になり、村人たちは「子羊の園」と呼ぶ。

女性(園長)の話す、黒羊の死に方の物語は、少し残酷だけど子どもたちには
一番人気。


これは、最後、ちょっと哀しかったなぁ~。


最後は<巨人の接待>
巨人と言っても言葉通りの巨人じゃなかった。
なぜ、巨人と呼ばれているのか??
世界的に有名な作家だけど、生まれ育った地域語しか話さず、その通訳係に
呼ばれた「私」。

ほかの誰もが二人の会話を知れないって、なんだかおもしろい。
巨人と「私」の意気投合ぶりが愉快だった。



どの話も、それぞれ面白い!
言葉のセンスはやはりさすが。

懐かしいと思ったり、哀しく感じたり、切なくなったり、可笑しかったり
ほんわかしたり、いろいろな感情を読み手に届けてくれる。

本の装丁も、毎回、素敵です!!
いうことなしの短編集!!


                    ★★★★★






発行年月:2019年10月


私の初恋は微笑ましいものなんかじゃなかった
母を喪くし高見澤家で暮らすことになっ たひとりの少年に
三姉妹は心を奪われていく。
プリズムのように輝き、胸を焼く記憶の 欠片たち。

                    (文芸春秋HPより)



三部作。
最初は、三姉妹の真ん中の咲也。
少年に最初からきつく目の態度。
彼が自分たちの暮らしのなかでいい気にならないだろうか?と監視する。
母親の趣味である温室のなかの草花のなかで二人がいる場面を盗み見したり・・・

母が少年に夫と少年の母のことを詰問する様子は、まるで拷問のようだとも感じ
少し、少年に同情的になったり・・・


第二部は、長女の麗子が中心。
麗子は、優雅さをもって少年を下僕のように扱う。
が、少年はそれを楽しんでいるかのよう。
そして、今までの報酬だと急に口づけされる麗子だが、嫌悪感はなかった。


第三部は、末っ子の薫子の語り。
高見澤家の女性たち(母、姉2人、お手伝いさん)がなんだかんだ言いながらも
少年に惹かれていく様を観ながら成長していく。
ある意味、一番、冷静にみなを観ていたのかも。

その後の高見澤家の様子も語られ、姉妹たちは、それぞれ結婚し、自分だけが
独身で、自分だけが今も変わらず力のことを想っている。


最後は、薫子の願いが叶いそうなラストで良かった!
ほかの姉妹も力が、これからも高見澤家から離れずいてくれたら
嬉しいだろうから、この結末はハッピーエンドかな?


もっと、ドロドロな関係になっていくかと思っていたので、案外、ほんわかした
家族の物語だったなぁ~と感じたけれど、こういう話も読後感が良いから好き。


                       ★★★★


発行年月:2019年10月





「おいしいね」を分け合える
そんな人に、出会ってしまった。

  古い京町家で暮らす夕香と同居することになった正和。
  理由は“食の趣味”が合うから。ただそれだけ。なのに、
  恋人の華には言えなくて……。

三角関係未満の揺れ動く女、男、女の物語。



  恋はもういらないと言うデザイナーの夕香。
  夕香の“まかないが”が忘れられない営業職の正和。
  食事より彼氏より、研究一筋の日々を送る華。


            一人で立っているはずだった。
            二人になると、寂しさに気づいてしまう。
            三人が過ごした季節の先に待つものとはー。

            
                     (祥伝社HPより)





さんかくって三角関係のことだったんだ~(^^ゞ

アラフォー女子の高村さん、営業職の伊東くんとその彼女・華。
三人の語りが交互に進む。


高村さんと伊東君は、伊東君が大学時代、同じバイト先だった。
伊東君は、高村さんが作る、賄い食が好きだった。
高村さんの作るごはんが好きで家にもちょくちょく食べに行く。

高村さんは、今はデザイナーで家のパソコンの前で仕事をしていることが多い。
家の二階が空いているからと伊東君は高村さんの2階へ引っ越し。


恋人いるのに、これはまずいんじゃないのかなぁ~?と思っていたら
案の定、バレる。
でも、伊東君の彼女・華もちょっと変わっている。
動物を解剖したりして、大学の教授の下で研究している。
徹夜になったり、何日も家に帰らずだったり、伊東君と会うより
優先される研究。
そんな自分のことも少し、伊東君に対して申し訳ないと思っている様子。

でも、悪いのは、伊東君だよなぁ~。
こういう男は嫌いだな(^^ゞ

でも、大した波風も立たず、高村が引っ越し京都から東京に拠点を移して
仕事をすることになったということで、終結。


高村さんの作るごはん、美味しそうだった♪

最初から最後まで、いいかんじの緩さで、読んでいるのは面白かった!


                     ★★★


発行年月:2019年9月


滅びた集落に人を呼び戻すことはできるのか
住民がいなくなった集落に移住してきた 人々。
彼らの間で不思議なほどトラブルが続き――。
静かに確実に心を揺さぶる連作 ミステリー

                 (文藝春秋HPより)



これは、ミステリーというより社会問題を扱った問題提起作というかんじ。

6年前に無人となった南はかま市蓑石。
そこに移住者を呼び込み、蘇らせる市のプロジェクトが始動。

万願寺邦和は、そこに異動。
課長の西野秀嗣、新人職員の観山遊香と共に蘇り課で働くことに。


公募して、やってきたまず最初の2組。
夫婦二人の久野家と夫婦と4歳の子供がいる阿久津家。

久野家は、阿久津家が大音量で音楽を流しながら、庭でバーベキューをしいているのが
気に入らない。
阿久津家が大音量で音楽を流しているのは、久野家の主人が操縦する小型ヘリの
音が耳障りだからなのだが・・・・

そして、事件が起きる。
阿久津家のバーベキューの火の始末が完全ではなかったのか、ボヤ騒ぎに・・・。


移住した二組は、それぞれ早々に、この地を去る。


そして再び公募により移住してきた10組。

またまた起きるトラブルの連続で、そのたびに移住者が去っていく。


こんなに、次々、トラブル起きないよね、普通・・・(^^ゞ
と思っていたら、とんでもない事実がわかる。


なんだか、虚しい気持ちになりました(;O;)。
万願寺が気の毒。与えられた仕事を一生懸命やっていたのに・・・・。
次は、前途有望な課に異動して能力発揮してほしいなぁ~。


                          ★★★
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