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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2001年2月



芥川賞受賞
いくつもの物語に出会う旅は、フランス人なら誰でも知っているという寓話に辿り着いた。

ながくつきあっている連中と共有しているのは、社会的な地位や利害関係とは縁のない、ちょうど宮沢賢治のホモイが取り逃がした貝の火みたいな、それじたい触れることのできない距離を要請するかすかな炎みたいなもので、国籍や年齢や性別には収まらないそうした理解の火はふいに現われ、持続するときは持続し、消えるときは消える。不幸にして消えたあとも、しばらくはそのぬくもりが残る。――本文より

                    (講談社Hpより)



堀江氏の文章に惹かれ、過去のものをあれこれ読んでいる。

これは、芥川賞受賞作<熊の敷石」>を含む3編。


芥川賞って「?」っていうのが結構、あるけれど、これはわかりやすい!
そしてやはり堀江氏の文章は素晴らしいと思う。
特に景色の描写、なにげない会話から浮かぶ、そこにある空気感みたいなもの
も伝わってくる。

<熊の敷石>は、フランスの寓話のなかの言葉らしい。
ラ・フォンテーヌの寓話<熊と園芸愛好家」というお話のなかで
森に暮らす孤独な熊と一人暮らしの老人がばったり出会い、最初はお互い
緊張するが老人が家に招き、意気投合し、一緒に暮らすことになる。
熊は、老人がお昼寝している間、わすらわしいハエを追い払うのが日課。
ある日、老人の鼻先に止まったハエを追い払うのに難儀し、おもわず敷石を
ハエめがけて投げるがそれは老人の頭を直撃することになり即死させてしまう。

このことから、いらぬお節介のことを「熊の敷石」というのだとか。

面白い!
おじいさん気の毒だし、熊のこのあと、どうしたんだろ?
その後の熊が精神状態が気になる。

で、主人公はユダヤ人の友人・ヤンにとって、自分は熊かもしれないと考える。
ちょっと考えさせられる内容。


<砂売りが通る>は、主人公が亡き友人の年の離れた妹とその娘と浜辺にいる場面から
過去の友人と妹のことなどを思い出しながら目では妹の幼い娘を追っている。

砂売りが通るは、フランスで眠くなることをさすときに使うそうです。
ああ、勉強になるなぁ~。

これは、ちょっとほんわかしたかんじかな?


最後の<城址にて>は主人公が、友人宅を訪ね、電車で出向き
そこで友人の同棲している女性と対面し、家で過ごす間の出来事を書いている。
向かう電車での様子、駅に迎えにきれくれた友人に会った時の様子
思わず、クスッと笑ってしまう。
友人宅のそばに復元工事の途中になっている城があり、それを見たいという
主人公に友人が案内してくれる。
けれど、それを見るのは、ドーベルマンと共に厳しい目を光らせている
番人の目に見つからないことが条件。

ちょっとハラハラした。そして、可笑しい。


どの話も良かった!
表紙の写真、かわいいな~と思ったけど、本を読んだあとみると
ちょっと切ないかんじがする。


                          ★★★★
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発行年月:2019年2月


「肉を焼くことは、対話だ」ジビエを通して繋がる、ふたりの成長物語

始めたばかりの猟で遭難してしまった潮田亮二、35歳。
相棒の猟犬と共に途方に暮れていたところ、無愛想な猟師・大高に助けられる。
かねてからジビエを料理したいと考えた潮田は、大高の仕留めた獲物を
店で出せるように交渉する。しかし、あっさり断られてしまい――。
夢を諦め、ひっそりと生きる猟師。自由奔放でジビエへの愛情を持つオーナー。
謎の趣味を持つ敏腕サービス係。
ふつうと少し違うけど自分に正直な人たちの中で、潮田は一歩ずつ変わっていく。
人生のゆるやかな変化を、きめ細やかに描く、大人の成長物語

                    (角川書店HPより)


ジビエ料理は苦手なので、狩ったものを解体していくのを想像するだけで
ゾゾ~ッとなる(^^ゞ

でも、ハンターの大高とフランス料理のシェフ、潮田のコンビはいいな~。
最初は、ぎこちない二人の会話が、だんだんと親密さを増していくかんじは
嬉しい。

途中、大高が使用している小屋が燃えたり、ほかのハンターのライフルが盗まれたり
物騒な出来事が続き、動物を狩って肉に加工することをよく思わない人の
存在もあるんだと知る。

滅茶苦茶に殺しているわけではない、大高の考えをちゃんと知る機会があれば
また違うんだろうけど、色々な考え方をする人がいるんだな。
だからといって犯罪行為で意を唱えるのは違うと思うけれど・・・。

表題の意味もわかった。

みかんを食べていたひよどりの料理・・・・想像するとやはり・・・(^^ゞ
ひよどり、庭にもよく来るしな~。

でも、大高と潮田みたいな人から作られたジビエ料理なら
ちょっと食べてみたいかも。


                        ★★★


発行年月:2019年2月



姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった。
業者に頼むと高くつくからと、嫁である望登子はなんとか自分で
遺品整理をしようとするが、あまりの物の多さに立ちすくむばかり。
「安物買いの銭失い」だった姑を恨めしく思いながら、仕方なく片づけを始める。
夫も手伝うようになったが、さすが親子、彼も捨てられないタイプで、
望登子の負担は増えるばかりである。誰もが経験するであろう、
遺品整理をユーモアーとペーソス溢れる筆致で描く長編小説。

                          (双葉社HPより)




一人っ子の夫。
一人暮らしだった姑・多喜が住んでいた団地の遺品整理に通う、望登子。

姑はスーパーに買い物に出かけたところで救急車搬送され、そのまま亡くなった。
家のなかには、生活感溢れる遺品でいっぱい。


難儀するのは、部屋がエレベーターなし4階だということ。
ゴミ回収場所まで運ぶのも、粗大ごみとして出したいものを運びだすのも一苦労。


業者に見積もりを依頼したら100万近い金額を提示される。
それが相場らしい。


そんなところに救世主現る!
自治会の副会長だという、女性・丹野。
「多喜さんにはお世話になったから・・・」と手際よく片付けを手伝い、
自治会の手を貸してくれるメンバーを集めてくれる。

粗大ごみを出せるのは、1回、3品までいうルールを、名義を借りて
いっぺんに回収してもらう知恵も仕入れ、快く協力してくれる自治会の人たち。


そして、生活保護を受けながら闘病生活という隣家の女性も協力してくれる。


自分の完璧だった母親と比べ、姑のことをどこか見下していた自分の考えを
少しづつ変えていく望登子。

姑は、色々な人を手助けしていた。
その恩を皆が返してくれていることがありがたいと。


読み始めは、なんだか気が重たい話だな~とちょっと読み続けるのを躊躇したけれど
垣谷さんだから、と信じて読み続けて良かった!

良い話だった。

多喜の本当の性格がわかって良かった。
そして望登子は、良い人たちに囲まれていると思った。

弟のお嫁さん、職場の同僚、友人、それから、旦那さんも優しい心の持ち主。


ただ、これ読んで、自分も要らないものを少しずつ整理していかなきゃならない
年齢になっているな~と考えさえられた(^^ゞ



                                    ★★★★



発行年月:2020年1月

埼玉県の片田舎から都内の幼稚園へ赴任してきた神尾舞子。

騒音や待機児童など様々な問題を抱える中、幼稚園の生き物が何者かに惨殺される事件が立て続けに起きる。

やがて事態は最悪の方向へ――。

中山七里デビュー10周年連続刊行企画、第一弾!

                         
                           (朝日新聞社出版HPより)





幼稚園のなかで起きる、物騒な事件。

幼稚園内の池の生き物が何者かが混入させたもので全滅。
その次は、蛇の死骸、アヒル小屋のアヒル。
そのあとは、猫と続き・・・・最後は園児のひとりが遺体で幼稚園の正門前に放置。



幼稚園には、近隣住民の代表として町内会会長が「園児の声が煩い」と抗議。
なかなか入園できない待機児童の親と日々、クレーム対応に追われている。


でも、殺人犯は、その類の人物ではなかった。

全くの身勝手な理由での殺害。


ああ、いやな話。


クレーム対応に追われる幼稚園も大変。
実際、こういうクレームはどこにもあるんだろうな。


デビュー10周年、連続刊行か~、凄いな。
次々、新刊出すには、大変でしょうけど、この手の話なら、正直、誰でも書けそう(^^ゞ
読みやすいからスラスラ読めるけど
あんまりおもしろくなかったというのが正直な感想です。


                                 

                                  ★★☆


発行年月:2005年2月

ためらいつづけることの、何という贅沢──。ひとりの老人の世話で、異国のとある河岸に繋留された船に住むことになった「彼」は、古い家具とレコードが整然と並ぶリビングを珈琲の香りで満たしながら、本を読み、時折訪れる郵便配達夫と語らう。ゆるやかに流れる時間のなかで、日を忘れるために。動かぬ船内で言葉を紡ぎつつ、なおどこかへの移動を試みる傑作長編小説。

                   (新潮社HPより)


主人公の彼が、公園で倒れている老人を助ける。
その老人が所有している河岸に繋留されている船を借りて住むことにする彼。

船のなかといっても、その調度品はなかなかの充実ぶり。
居心地がとても良さそう。

そこで、レコードを聴き、本を読み、悠々と暮らす。


訪ねてくる、郵便夫を船内に入れて珈琲をふるまったり、
たまに訪ねてくる少女と会話をしたり、入院中の船の持ち主を見舞いに
行ったり、FAXでやり取りしている枕木氏がいたり
日常のなかに関わる人も何人か。


郵便夫から預かった、前に船に住んでいたという女の人宛ての手紙。
船の持ち主に、その件を聞くと思うような回答がなかったが、心辺りは
あるのか、「女の子もいたのか?」と。


船に時々訪ねてくる女の子が、船の持ち主と何か関係があるのか?
彼はあれこれ考えるが・・・・
結局、関係はなかったみたい。


彼の日々、考えることは、小説の内容からだったり、何か哲学めいた
ことだったり、何やら知識が豊富な人だなぁ~と彼のことを思う。
けれど、彼の具体的なことは最後までわからない。
名前も出てこないし、ここに来る前、何をしていて、どんな風に
生きてきたのかもわからない。
ずっと船の生活をしていけるわけでもないだろうけど、この先
どうするんだろ?なんて思ったりもした。


何も大きな出来事は起こらない、淡々とした日常。
でもすごく読んでいて楽しかった。

堀江さんの作品、どれもハズレがない!
とはいえ、まだまだ少ししか読んでいないので
これから読んでいこう!


                      ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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