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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年7月

あの人は、きれいな思い出なんかじゃない

きつい目に大柄な身体、恋愛なんて私には似合わない。
そんな二十歳の藤子に恋を与え奪ったのは
死んだ父より年の離れた写真家だった

              (文芸春秋HPより)


20歳の藤子は、二人暮らしだった父親を亡くしばかり。
そこに現れた、同じ町内の写真館の息子・全さん。
父より10も年上の男に、だんだん惹かれていく藤子。


自分の小さい頃のことを知っていて、弱っているところに
するっと入り込む全さんに読みながら、藤子、危ないぞ!と
警告のことばを心の中で叫びながら読んでいた(笑)。

でも、案の定、恋愛経験のない藤子は、まんまの全さんに
はまってしまう。
あ~全さん、なんと罪深いんだ~!(怒)


でも、全さんは自分からは誘ってないな。
積極的に誘ったのは藤子の方だしね。
でも、普通の大人なら、断ると思うけどなぁ~。
余命短い身なら尚更。


兎に角、読みながら、あれこれ突っ込みしたくなった。


20歳だった藤子がその後、社会人になり、全さんの遺した
写真集を見る場面は、ちょっとドキッとした。
全さんが自分のことをどう見ていたかに気づく瞬間。


藤子には、新たな恋をしてほしいな。

タイトルの意味をあれこれ考えた。

神様は、誰だ?
全さんにとっての神様は藤子。
藤子にとっての神様は全さん。


そんな二人を引き合わせたのは、どこかの神様?
その神様の暇つぶし?

う~ん。わからん。

何処かに著者のインタビューでタイトルについて語って
いないかな?


なかなか、良い話だったと個人的には思う。



                   ★★★★

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発行年月:2019年12月


死にたい、と願うのはエゴですか?
生きていて、と望むのは愛ですか?
~死と向き合っている医師だから書けた、現代人のエゴイズム、そして愛と情~

このごろ、「早く日本でも安楽死を認めてほしい」という人が増えた。
その先にどんな未来が待ち受けているのか、書きたかった。(著者)


あらすじ:2024年、オリンピックで疲弊した東京はすっかり元気を失っていた。
人気女流作家の名をほしいままにしていた澤井真子はアルツハイマー型認知症と診断をされ、
小説が書けなくなる前に死にたいとある決断をする。一方、補助人工心臓手術の名医として
名を上げた尾形紘は、緊急搬送された大手自動車メーカー会長の手術執刀を拒否し、心臓移植
待機中の少女の手術に向かったため、大学病院内外から批判の矢を浴びる。失意の中、医師を
辞める決意をした彼に下されたミッション。それは、安楽死特区の主治医となり自殺幇助に
加担せよ、という受け入れがたいものであった。さらに、かつての東京都知事、池端貴子は
日本初の孤独担当大臣に国から任命されると、末期がんであることを明かし、
「私が、安楽死特区の第一号として死にます」と記者会見を行う…
女と男、それぞれの「死にたい」物語が交差したとき、前代未聞の事件は起きた

               (ブックマン社HPより)


現役医師の小説なだけに、今の医療についてリアルなことが書かれている。

延命のため、ベッドに寝かされたまま、人工的に酸素や栄養を送られ、
心臓を動かされていることは、果たして患者が望むことなのか?

認知症が進み、自分というものも見失い社会的な生活が独りではできなくなっても
ずっと生かされていることは幸せなのか?


日本では、まだ認められていない「安楽死」について考えさせられる。

物語は、このままこの「安楽死特区」が世間に受け入れられる状況では
なくなる事件が起きるけれど、ある程度、こういうものは今後、必要になるかも。


自分の最期は、どうありたいか、ちゃんと考えて、子どもたちに伝えて
おかないと!と思う。



                      ★★★



発行年月:2020年2月

家族に疲れた――性風俗に通う夫、不実を隠した父、危険な恋愛に耽る娘。
結婚二十年の主婦・絵里子の穏やかな人生は、大切な人の〈秘め事〉で一変した。
大きな虚無を抱えた絵里子に、再び命を吹き込むのは整形した親友、
乳癌を患う老女、美しい風俗嬢......?
人生の中盤、妻でも母でもない新たな道が輝き出す傑作長編

               (中央公論新社HPより)


52歳の絵理子。
夫と20歳の大学生の娘と暮らしている。
ある日、夫の物らしい風俗店のポイントカードを見つけてしまったことから
絵理子の考え方、行動が変わっていく。

夫婦の出会いの場面が素敵だったので、良い出会い方だなぁ~
これは、別れない方がいいと思うなぁ~と思いながら読んでいた。


絵理子の親友・詩織の存在も心強い。
的確なアドバイスと援助をしてくれて、こんな友達が居たら素敵だと思った。

絵理子の周りにいる人たちって、皆、良い人ばかりだと思った。
そのことに、気づくことも出来て、心に傷を負ったかもしれないけど
そのぶん、前とは違う考え方を得ることが出来たし、
より一層、魅力的な女性になったと思う。


物語のラストは、期待通りの素敵な終わり方で良かった。


                        ★★★




発行年月:2012年5月

築四十年を超えた雑居ビルに探偵とも便利屋ともつかない事務所を構える枕木。
依頼内容が「うまく言えない」と口ごもる客人と、その心を解すように
言葉を継いでいく枕木の会話に、雷雨とともに戻ってきた郷子さんも加わって、
時はゆるやかに流れる。
別れた妻と息子の消息が知れない男の胸によぎる思いとは?

                (講談社HPより)


3人の会話だけで進行していく。

探偵・枕木と事務所の訪問者・熊埜御堂氏と事務所のスタッフ・郷子さん。

熊埜御堂氏は、13年前に離婚した妻と息子の消息が知りたくて事務所を
訪ねた。
が、妻子に関する話から、どんどん話は逸れていく。

買い物から帰った郷子さんが加わってからは特に・・・

でもその話が面白い。
次々、変わる話のなかの人物のことが気になってくる。

外は暴風雨になり、雨宿りのかんじで熊埜御堂氏もお喋りに乗って・・・

途中お腹が空いて、郷子さんが作るツナとバターを混ぜたパスタや、
再びお腹が空いて、しまってあった牛肉の佃煮を具にしたおにぎりもなんだか
美味しそう。

枕木氏と熊の御堂氏には、過去にいくつかの接点があったことも
話を広げていくことになる。

暴風雨のなか、ホームレスの老人・伊丹のことが気になり、知り合いの
個人タクシー運転手の枝盛に連絡して走りながら探して欲しい旨を伝えたり、
どんどん気になることが増えていく・・・笑

伊丹は無事に枝盛に保護されてよかった。

肝心の熊埜御堂氏の妻子の消息は、わかりそうになりけれど
枕木と親しい昔からの友人のような関係が出来た様子は、なんだか微笑ましい。

枕木の話のなかに以前読んだ「河岸忘日抄」の停泊している船を借りて
住んでいた男が友人として出てきたのも嬉しかった。
その男も探偵の友人が居るって言ってた記憶。


たわいもない会話の続く物語だけれど、楽しかった!

表紙のシミのようなものは、枕木氏のネスカフェ三種混合(コーヒー+粉末ミルク
+角砂糖(スプーン印の)の物だろうか?


                      ★★★★★


発行年月:2020年1月

戦後日本を象徴する大ヒットドラマ「鐘の鳴る丘」をモチーフに、
突如ラジオドラマに出演することになった子供たちと、
自分たちが起こした戦争への後悔に苛まれた大人たちが、
力を合わせ生きていく姿を描く感動の物語。


             (小峰書店HPより)



児童書なんだ~。

でも、大人が読んでも十分、楽しめた。

戦後わずかの日本。
東京練馬区小峰町が舞台。

物語の冒頭は、劇作家の菊井一夫の訃報が、当時、菊井氏の書いた
ラジオ放送劇に参加した良仁の元に届くところから始まる。

そして、ラジオ放送劇に参加した時の話に・・・


戦争で、家と父親を亡くした将太の言動が印象的だった。
途中から放送劇に加わることになるんだけど、せりふ覚えも、演技力も
素晴らしい。
凄く頭が良い証拠だろうけど、将太は、過酷な生活のなかで
逞しく生き抜く要領の良さも持っていて、それがなんだかとても切ない。


放送劇「鐘の鳴る丘」は、戦災孤児たちが主人公。
慰問として孤児たちが保護されている施設に出向いたときのことが衝撃的。

施設にいた少年・光彦の「鐘の鳴る丘は嘘ばっかりだ」という言葉。

そんな光彦に彼が欲しいものとして挙げた万年筆を手渡す菊井の優しさに感動。
「それで、君は自分の物語を書きなさい」

大人になった彼は、その後、作家になったという。

放送劇に参加したメンバーが、大人になり菊井氏の葬儀の場で再会。
大人になった彼らのその後がわかる。

一番、気になった将太は、やはり彼らしい行動を起こしていた。
戦争さえなければ、将太のような賢くリーダーシップもとれる者は
違った活躍をしたでしょうに・・・


実際の放送劇を探して聞いてみたいと思った。


                     ★★★★★

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