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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年2月


港町を見下ろす高台にある高級料亭旅館〈銀の鰊亭〉。一年前の火事で当主とその妻は焼死。二人を助けようと燃え盛る炎の中に飛び込んだ娘の文(ふみ)は怪我を負い、記憶を失った。ところが、その火事の玄蕃には身元不明の焼死体があった――。あの火事は〈事故〉なのか〈事件〉なのか? 文の甥・光(ひかる)は刑事の磯貝とその真相を追うことになるのだが……。
「本当に光くんはできる子ですね。大学を卒業したら警察に来ませんか?」

                      (光文社HPより)




明るい料亭旅館の話かと想像していたら・・・なかなか重たい話でした。


漏電による出火とされた焼死者4名の事故だったが、
うち一人に刃物による腹部の外傷があったという事実から刑事・磯貝は、一人で
真相を追っていた。


それに協力する、大学生の桂沢 光。
父親は弁護士で、磯貝刑事とは親友であり、火事で亡くなったうちの二人は祖父母。
自身も真実を知りたいという気持ちが強く、刑事と連絡を取りながら真相を探る。



刑事の磯貝が、なぜ、そこまで真相を追うのか、最初は疑問だったが
読んでいくうちに、その理由がわかった。


事件の真相は、結果的には、ほぼ事実じゃないかというところまで来た推測で終わる。
でも、そこではっきりさせても、誰も幸せにならない。
このままの終わり方がよかったと思う。



光は、いい青年だな。
思いやりもあるし、機転も利く。
磯貝の言ったように、磯貝の相棒としていつか活躍してほしい。


磯貝も真相を追ったが、そこには代償もあった。
正義感が強いタフな人だな。

大学教授の宮島とのコンビ話、またいつか読みたい!



                              ★★★★
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発行年月:2020年1月


岩居久澄、二十七歳。無職。実家暮らし。今のところ生活に不満はない。
不満はないけど、不安はある。私の将来どうなるんだろう……。
そんな久澄に奇妙なバイトが舞い込んだ。
祖母の代わりに芝居を見に行き、感想を伝える。
ただそれだけで一回五千円もらえるという。
二つ返事で了承した久澄は、初めての経験に戸惑いながら徐々に芝居の世界にのめり込んでいく。とても楽しい。
けど、久澄には疑問があった。
なぜ劇場で毎回あの老紳士に会うんだろう?


                 (徳間書店HPより)


祖母の代わりに歌舞伎、オペラ、観劇と見に行くことになった久澄。
最初は、歌舞伎座。
そこで隣に座った紳士と会話。
不可解に思ったことを一緒に解決して親近感を覚え、その後も訪れる劇場で再会。

紳士の名前は堀口。演劇を批評する仕事をしているという。


色々な劇場で遭遇するちょっとした事件の顛末も興味深く、歌舞伎やオペラの
大まかな内容も興味深く、機会があれば見てみたいと思わせる。


ずっと気になっていた、紳士の正体。
祖母のしのぶのやはり知り合いだったんだ~。


無職だった、主人公が無職になった経緯は、なんとも腹立つ!
何も悪くない人が、嫌なやつのせいで精神的に傷を負って職まで失うことを
選択しなきゃならなくなるなんて!

でも、新しい環境に踏み出したらしいことがエピローグでわかってホッとした。

ラストの祖母と紳士の再会の場面で終わるのもいい!

歌舞伎、すぐ見に行ける土地に住んでいる人が羨ましいなぁ~。


                      ★★★


発行年月:2020年3月

両親の死と引き換えに、僕らは〝家族″を手に入れた――。

 ベストセラー「東京バンドワゴン」シリーズの著者が贈る、感動の家族小説!

 平凡で幸せな家庭に育ちながらも、突然の交通事故で、両親を一度に失ってしまった、稲野朗・昭・幸の三兄弟。そんな彼らを助けるべく、それまでほとんど面識のなかった母方の祖母が家にやってきた。その暮らしの中で兄弟たちは、祖母と母の不仲の理由や父の出生の秘密など、これまで気づかなかった家族の裏側を少しずつ知っていくのだが……。

 生前の父と母がそれぞれ隠していた、〝秘密″とは。「普通の家族」とは何なのか。

 中・高・大学生の三兄弟の成長と、家族の絆を描いた、感涙必至のハートフルストーリー。

                 (PHP研究所HPより)


横浜に住む稲野家の三兄弟。
朗(21歳)、昭(17歳)、幸(14歳)の時、両親を事故で亡くす。

母方の祖母・栄枝が北海道から兄弟の家事を手伝うために暫く一緒に住む。
ある日、父の学生時代からの親友だという川西が訪ねて来て
父には、別の家庭があるのだと知り、驚く。

小学1年生だという優衣とその母親・由美恵に会うため、長男の朗は川西と
出向き、父の死を伝えることに。


三兄弟は、父の遺した優衣は自分たちの妹だと認める。



良い話だなぁ~。
ちょっと出来すぎなくらいいい話だけど、こんな風に優しい気持ちで
遺された父親の子どもを受け入れる三兄弟は素敵だと思った。

別の家庭を持っていた父親を責める気持ちもあって当然だけど
いいじゃない、こういう兄弟。

出来すぎだけど、こんな話、実際にも案外、あるのかも。

エピローグの優衣が高校生になっての話で三兄弟がそれぞれ自立して
立派な社会人になったこともわかって、嬉しかった(^^)


                      ★★★★


発行年月:2020年2月

お父さん、何歳まで運転するつもり? 「わしは死ぬまで運転する!」

「また高齢ドライバーの事故かよ」。猪狩雅志はテレビニュースに目を向けた。そして気づく。「78歳っていえば......」。雅志の父親も同じ歳になるのだ。「うちの親父に限って」とは思うものの、妻の歩美と話しているうちに不安になってきた。それもあって夏に息子の息吹と帰省したとき、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなも不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して......。果たして父は運転をやめるのか、雅志の出した答えとは?心温まる家族小説!

               (KADOKAWA HPより)



高齢者が運転する車の悲惨な事故をニュースで目にすることが多い昨今。

東京で共働きしながら高校生の息子・伊吹と3人暮らしの猪狩雅志。

田舎の父親(78歳)も免許返納なんて全く考えられないと言いながら、最近は
車をぶつけることが多くなったらしいことを知り心配になる。


交通機関が発達していない場所での車は、生活必需品であり
なくなったら途端に買い物にも思うように行けず、困ってしまう日常。

そんな田舎の親の暮らしをみて、一大決心する雅志。

スーパーの商品を車で移動販売する仕事を田舎で始める。


猪狩家の人たちはみな、優しくていい人たち。
雅志の妻も最初は、反対しながらも理解してくれて、息子の伊吹も
自分の将来のことを考えて、農業高校に転校を決める。


偏差値のいい学校に行くことを目標にするのって悪いことじゃないけど
ちゃんと将来の目標を決めて、そのための勉強をするっていうのが理想じゃないかな?


表題から、イメージした物語と違って温かい家族の物語でした!


                        ★★★★


発行年月:2019年9月

多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。
居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか――。


                             (光文社HPより)




重たい話。
児童相談所の松本悠一とこども支援センター職員の前園志穂。
二人が関わる多くの問題が、本当にひどいもの。

大人たちによって苦境のなかで生活している子どもたちの姿が痛々しく、
そんな親たちに腹が立って仕方ない。


そんな話と並行して進む、不妊治療中の夫婦の話。
こどもが欲しくても授からない立場で、子どもを虐待している親を見て
自分が代わりに親になりたいと思う、妻の気持ちも痛々しい。



兎に角、つらい話ばかりだけど、その後の展開が気になり、頁をめくる手は止まらない。



で、最後は、安堵。

最後まで読んで良かった!



いつか自分を助けてくれるひとが現れるという気持ちが生きる糧になっていたって
いうのが響く。
街の展望台にいるラプンツェルの存在が、一人の少年の希望だった。


物語の終盤は、過酷ななかで生きていたこどもたちの、その後のことがわかるのがいい。



不妊治療をしていた夫婦も二人で穏やかに暮らしたんだな~。


初読みの作家さんかも。
ほかの作品も読んでみようと思う。



                                ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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