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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年4月


香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。
元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。
その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえの「孤独」に気づきはじめていた――。
「香り」にまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。

                    (集英社HPより)




調香師の朔とそこで家事手伝いをすることになった一香。

二人は、家族のことで深く傷ついた過去がある。

朔は、母親がネグレクトでごみの中から保護された過去。

一香は、虐めから不登校になり自殺した兄のことを自分は見捨てていたと
自分を責めていた。



朔には、幼馴染の新城がいる。
幼い頃からの朔を知りながら、特殊な鼻の力を活かす仕事を与えた。
自身は探偵として動き、そこには朔の鼻が大いに役に立つ。




朔は、調香師として、その人が望む香りを再現する。

亡くなった夫の香りをと望む女性の依頼人。
香りを作ったけれど、使うことはお勧めしないと忠告を。

女性は嘘をついていた。朔は嘘も見抜く。
女性は、元不倫相手の男性の香りを望んだのだけど、その香りによって余計
執着心が増幅し、警察に捕まる事件へ。



朔と一香はどこか似たところがあるな~と思って、この二人はお互いを
支えて生きていけるんじゃないかな?と思ったのに、途中で朔は一香を突き放す
ような香りを渡す。

この先、一香が変化するのが怖かったから・・・・と
新城は、そんな朔の気持ちに気づく。

誰かに対して興味を示し、行動したのは初めてのことだから・・・と。
ナイス!新城!

朔自身も変わって、もう少し、生き難さから解放されていくといいな。


物語の雰囲気がすごく良かった!
表紙の絵が少し、不気味だけど、内容は爽やか。



                       ★★★★★
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発行年月:2020年8月


創業50年(おおよそ)の喫茶店「純喫茶パオーン」。トレイを持つ手がいつも小刻みに震えているのに、グラスにたっぷり、表面張力ギリギリで運ぶ「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」と、どんなにお腹がいっぱいでも食べたくなっちゃう「おばあちゃんの魔法のナポリタン」が看板メニューだ。その店主の孫である「ぼく」が小学5年・中学1年・大学1年の頃にそれぞれ出会う不思議な事件と、人生のちょっとした真実。心地の好さに、きっとあなたも通いたくなる。『しずかな日々』『るり姉』の著者が描く喫茶店ミステリー!

                   (角川春樹事務所HPより)



おじいちゃんとおばあちゃんの経営する純喫茶パオーン。
創業40年のときからの話。

孫の来人は、小学5年生。
おじいちゃんのミルクセーキとおばあちゃんのナポリタンが美味しそう♪

保育園時代からの友人・圭一郎と琉生とも、よくパオーンでいろいろな会話を
楽しむ。

そんな来人たちの成長とパオーンに来る人たちの話。


大学生になるまでの来人たちの成長も楽しい。
中学で一人私立中学を受験し、違う友達との生活が始まった琉生が一時期
来人と圭一郎に連絡を拒むような雰囲気になり心配したけれど
友情は変わりなく、その後も続き、ホッ。


ちょっとしたミステリーも種明かしされれば、なんだか笑える。
女の子に良いところを見せようと企んだことは、やりすぎだったけど・・・。



                        ★★★




発行年月:2020年6月


宮部みゆき、久々の新シリーズ始動! 謎解き×怪異×人情が味わえて、著者が「生涯、書き続けたい」という捕物帖であり、宮部ワールドの要となるシリーズだ。
 舞台は江戸深川。いまだ下っ端で、岡っ引きの見習いでしかない北一(16歳)は、亡くなった千吉親分の本業だった文庫売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)で生計を立てている。やがて自前の文庫をつくり、売ることができる日を夢見て……。
 本書は、ちょっと気弱な主人公・北一が、やがて相棒となる喜多次と出逢い、親分のおかみさんや周りの人たちの協力を得て、事件や不思議な出来事を解き明かしつつ、成長していく物語。
 北一が住んでいるのは、『桜ほうさら』の主人公・笙之介が住んでいた富勘長屋。さらに『<完本>初ものがたり』に登場する謎の稲荷寿司屋の正体も明らかになるなど、宮部ファンにとってはたまらない仕掛けが散りばめられているのだ。
 今の社会に漂う閉塞感を吹き飛ばしてくれる、痛快で読み応えのある時代ミステリー。

                    (PHP研究所HPより)




文庫屋として独立するまでの北一。
陰で支えてくれるのは、亡くなった千吉親分のおかみさん松葉。
目が不自由だけれど、勘がよく人の動作やちょっとした空気感でまるで
見えているような洞察力。

北一のよきアドバイザーの役割。


きたきた捕物帖というからには、も一人の『きたさん』はいつ登場?と
期待しつつ読んでいたので、湯屋で働く喜多次の登場に「おぉ~!」となった。
最初は「?」と思ったけれど、なかなかのやり手の様子。
これからの二人が楽しみな新シリーズ!


悪だくみをしているものが最後には、痛い目をみる話たちは
読んでいて小気味いいな。


喜多次の詳しい生い立ちも今後、わかってくるのかな?


                    ★★★★★


発行年月:2020年8月

就活に挫折して以来ずっと、実家でオンラインゲーム三昧の日々を送る“俺”に転がり込んだ伯父さんの遺産は、離島に建てられた館を丸々一棟。なんと無職から一転して不動産持ち、これからは課金し放題だ!と浮かれて現地を下見に行った俺は、まだそれが両親からの最後通牒であることに気づいていなかった……。
「もう面倒見きれない。そこで一人で生きていけ」
いきなり始まった強制自立生活。とにかく金銭問題を解決するべく下宿人を募ることに。
母親に送り込まれてきたニートのヒロ、無医島には是非とも呼び込みたい元医者ニートのBJさん、遊び人風のリア充・カインさん……ゲームの中にあった人間関係は、島のおじいちゃんおばあちゃんも巻き込んで、だんだんとリアルの世界へと広がっていく。
立ち止まっていたニートたちが、おっかなびっくり歩き出す前の「人生の夏休み」が青い空と海のもとで始まります!

                (文藝春秋HPより)



ニートたちが離島の二百十番館で暮らす話。

主人公の俺は、就活に失敗し、オンラインゲーム三昧の日々を両親から
「一人で生きていけ」と見捨てられる。
伯父の遺した離島の館丸1棟を財産分与で貰って・・・


他の住人たちは、
・東大卒のコミュニケーション障害のヒロ。
・元産婦人科医のBJ
・体格のいいサトシ
おまけで
・ゲームを通じて、遊びにきたカイン



島の住人は20人足らず。年寄りがほとんど。
島のお年寄りたちは、若者の移住を歓迎し、温かく迎えてくれる。


住人たちも元々の性格は、いいので段々と本来の自分を取り戻し
最終的にはめでたしめでたし。

やや出来すぎだけど、物語的には、楽しく読めるし、良かった。


ちょっとそたことで引きこもったり、社会と離れてネットの世界だけでの
人間関係を築く人って多いみたいだけど、こんな風にキッカケさえあれば
生き生きした生活を取り戻せるという話。

そのきっかけになかなか巡りあえないのが問題だけど。


親がニートの息子を見放したような印象だったけど、違ったのも良かった。
ちゃんと見守っていたんだな。



                  ★★★★


発行年月:2020年4月


「私、女優になるの。どうでも、決めているの」。松井須磨子の舞台に胸を貫かれ、二十七歳で津和野から夫と子を捨て出奔した女は、東京で女優・伊澤蘭奢へと変身した。「四十になったら死ぬの」とうそぶき、キャリア絶頂で言葉通りに世を去った女の劇的な人生を、徳川夢声ら三人の愛人と息子の目から描く、著者一世一代の野心作!

                  (新潮社HPより)



女優・伊澤蘭奢(らんじゃ)の生涯を語る。
40歳目前に亡くなった蘭奢。
4人の男たちが集まり、遺稿集を出そうと話すシーンから始まる。


本名・三浦繁。結構、裕福な家庭に生まれ結婚し、息子まで生まれるのだけど
跡取りが生まれたと姑が手放さず、女優になりたいという夢を捨てきれず
夫も息子も置いて東京へ。

近代劇協会をまとめている上山草人の元で、俳優たちと練習の日々。
舞台にも出られるようになったが、貧乏暮らしのまま。

冒頭集まっていた男たち
・内藤民治・・・欧米生活の経験ある実業家。雑誌社(中外社)を経営し
多くの作家たちとも交流あり。近代劇協会にも出入りし、繁と知り合い、
愛人関係に

・徳川夢声(福原駿雄)・・・活動弁士。有名になるまえから繁とは知り合いで
恋人関係のときも。

・福田清人・・・帝大生時代から、伊澤蘭奢の芝居をみて憧れを抱いていた。

・伊藤佐喜雄・・・繁の一人息子。大阪高等学校に通う。母親ゆずりの美形。



4人の男たちが、蘭奢を介して、良い関係にあるのがいい。
それぞれの才能を活かしながら、遺稿文を作成していったんだろうな。


息子を捨てたかたちになっていたけれど、ちゃんと手紙でのやり取りや
実際に会って二人で過ごす時間もあったのだと知り、ほっとした。


有名な文豪も登場したりして、この時代の空気感を楽しめた。

知らなかった女優さんだけど、過去にも、この人をモデルにした作品が
あるようなので、読んでみようかな。

                     ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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