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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年8月


「知ってる? 川上さんって、お父さんに殺されたらしいよ……」
僕たちは何かトラブルが起きると、同級生の水谷くんに相談する。例えば友だちから意地悪されたら、運動会で出たくない競技があったら、弟が迷子になっても……。学校中のみんなから頼りにされる名探偵。彼が導き出す答えに決して間違いはない。だって水谷くんは「神さま」だから。夏休み直前、僕と水谷君は同じクラスの川上さんからある相談を受ける、その内容は意外なものだった……。小学生の日常で起きた「悲劇」が胸をえぐる、切なく残酷な連作ミステリー。
もくじ
第一話 春の作り方
第二話 夏の「自由」研究
第三話 作戦会議は秋の秘密
第四話  冬に真実は伝えない
エピローグ  春休みの答え合わせ

                   (KADOKAWA HPより)



小学5年生の佐土原は、神さまと皆に呼ばれている水谷くんに色々、頼りすぎな
感じもしたけれど、基本的には優しい子。

佐土原くんが不注意で割ってしまった、おじいちゃんが大事にしている
亡くなったおばあちゃん手作りの桜茶の入った瓶。
それを水谷君に相談して、桜の葉を探して作る。
作り方はおばあちゃんの横で見ていて覚えていたから・・・。

でも結局、おじいちゃんはそれを飲んでアレルギー症状を出してしまう。
桜とよく似たアーモンドの花だったから・・・。



第二話は、川上さんという女子が登場。
絵が上手で、絵ばかり描いていて、ほかの人と関わろうとしない転校生。
プールの授業をいつも欠席していることを女子たちはズルだとささやく。

そんな川上さんから相談を受ける。
「父親のパチンコ通いをやめさせたい」と。


だけど、これがのちの大変な事件に・・・。
小学生が同級生を思ってやったことだとしたら、ちょっと怖い。
最低な父親だけど、子どもだけでどうこうしようなんて。
でも、川上さんは、それだけ切羽詰まっていたんだろうな。
大人は助けてくれないと思っていたとしたら悲しい。



こういう子が、今も現実に何処かで同じように苦しんでいるのかな?と
想像したら辛くて苦しくなる。



佐土原くんの両親は少し出て来て、優しい人たちみたいだったけど
水谷君の家庭環境は、どんななんだろ?
こんな大人顔負けの洞察力と推察力。
将来、どんなふうになるんだろ?


兎に角、子どもたちには、楽しい未来が待っていて欲しい!!



                      ★★★
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発行年月:2020年3月


「孤狼の血」シリーズ完結編!

広島のマル暴刑事・大上章吾の前に現れた、最凶の敵。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦の暴走を、大上とその愛弟子である日岡は止められるのか? 著者の人気を決定づけた警察小説『孤狼の血』シリーズ、ついに完結!

                (KADOKAWA HPより)



大好きだったシリーズ、これで完結なんだぁ~。
ガミさん(大上章吾)が恰好いい。

妻子を暴力団に殺されたか哀し過ぎる過去。

今回の暴虎と呼ぶにふさわしい愚連隊・呉虎会のリーダー・沖虎彦との
関わり方が、なんとも言えない。
どこか大上と沖は、似ている。

共通しているのは、やくざを憎んでいること。

沖は、暴虎だけど、一般の人には、悪さをしない。
しかし、やくざには、怖いものなしの噛みつき方。

一緒に行動する林と三島と共に命はいつ落としてもかまわないと突き進む。

そんな危なっかしい沖の行動を、なんとか止めようと考える大上。

けれど、最後は、なんとも哀しいことに。


自分が逮捕されたこと、収監されたのは、仲間に裏切り者がいるからだと出所後
その裏切り者を探すことに躍起になる。


裏切り者とした相手を間違えて惨殺し、挙句に自身も・・・・


裏切り者とされた者も、沖を救うためにの行動だったのに。


大上の後を継いだかたちの日岡秀一の今後の物語は、まだ読みたいな。


しかし、女性でこんなハードボイルドな物語、よく書けるなぁ~。



                       ★★★★★


発行年月:2020年10月


生きていてほしい。それだけでいい。
人智を超えた世界の理がしみじみと胸をうつ、大好評の傑作哲学ホラー。
吹上町に夏が来て、引きこもりの美鈴がミミのもとを訪れた。
「部屋の中に子どもの霊がいるんだ。いつも夜になると出てくる」
生も死も、過去も未来も溶け合う吹上町に、新たな風が巻き起こるーー。
吹上町の住人紹介
ミミ 夢見と屍人使いの才能を持つ。双子の姉
こだち 怪力の人気服飾デザイナー。双子の妹
墓守くん 町の墓守兼フラワーアーティスト
美鈴 墓守くんの彼女。腕利きの霊媒師
まなび ミミとこだちの母。異世界人
この町には「少し違う」形の人がたまに混じっている。

                  (幻冬舎HPより)



表題の、ざしきわらしの正体は、よくわからないまま。

でも、この不思議な物語の雰囲気はすき。
生きているって何をもってそういうのかな?とかちょっと考えちゃう。

墓守君と美鈴の関係、そしてミミと墓守君の関係がややこしい。
でも普通じゃない人たちの関係だからいいのか?

虹の家の姉妹のお姉さんは亡くなったんだ・・・寂しい。
妹は、まだ少女で名前はミノン。
お姉さんがいなくなっても虹の家はミノンがいるから、また登場するかな?
この物語には、不思議な人しか出てこないけど
それぞれの発言が時々、すごく感動的だったりする。


あと2話、楽しみにまた読もう。


                        ★★★★


発行年月:2020年9月


平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。
取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集

                 (文藝春秋HPより)



どの話も心理的に追い詰められる主人公の気持ちに沿うとドキドキ感がすごい。
よくある日常のひとこまを、こんな風に嫌な話に出来るのが凄い。

読後感は全くよくないのに、なぜかまた読みたい。


<ただ、運がわるかっただけ>
56歳で末期がんで死を待つだけの十和子。
夫の心にとめたままの秘密を自分が墓場に持って行くからと
建具職人で、工務店に勤めて居たころの話を妻に聞かせる。


う~ん、これは仕方ないでしょ。
妻に話して気持ちが少し軽くなったのならそれでよし。



<埋め合わせ>
小学校の教師・千葉は、プールの水を半分、抜いてしまったことに気づき
自分の非がばれないためにはどうするか?とあれこれ考える。
そんなことを同僚に知られるが、そのミスを隠蔽することに力を貸すという。


水道代を弁償することになったとしても、ミスは早めに申し出るべき。
後々、ばれる方がよほど、面倒・・・・という教訓話?



<忘却>
家を処分して息子家族の近くのアパートに引っ越した夫婦。
隣の家の一人暮らしの男性が室内で死亡。
エアコンをかけないで就寝中の熱中症によるものだとか。

これも最初の話と同様、仕方ないことだと早く忘れたらいいと思う。



<お蔵入り>
映画製作中に役者のスキャンダルを知り、このまま知らないことにして
映画を公開してしまおうと考える人たち。


う~ん、心理としてはわからないこともないけど
嫌な世界を見てしまったな。




<ミモザ>
料理研究家としして成功し、メディアでも引っ張りだことなった女性の前に
突然、元カレ(相手に奥さんがいた時代)が現れ、金を貸してほしと。
以前と立場に逆転したことを内心、喜び、見栄もありお金を貸す。
すると、その後は自宅に急に現れ・・・


ああ、バカな女だな・・・・。
でも、この話が一番、他人事として読めば、面白かった。



                     ★★★★


発行年月:2020年3月


その木に祈れば、願いが叶うと言われているクスノキ。
その番人を任された青年と、クスノキのもとへ祈念に訪れる人々の織りなす物語。
不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。
 同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れる。依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるというのだ。
依頼人に心当たりはないが、このままでは間違いなく刑務所だ。そこで賭けに出た玲斗は従うことに。
 依頼人の待つ場所へ向かうと、年配の女性が待っていた。千舟と名乗るその女性は驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと――それはクスノキの番人です」と。

                  (実業之日本社HPより)



久しぶりの東野作品。
やはり読みやすい。
続きがどんどん知りたくなる。


クスノキの番人を任されることになった玲人は元々、優しくて気遣いの出来る
青年だったんだな。

理不尽な会社の扱いで犯した罪から救われて良かった。

伯母の千舟と出会えたことも、逮捕されなかったらなかったかもしれないことだから
最初から最後まですべてが意味のある出来事。

クスノキに祈念する人と向き合う玲人の姿が一生懸命でいい。
適任という感じ。


自分の生い立ちを、卑下していた玲人は、千舟と出会って成長した。
よかった、よかった。


温かい気持ちになれる物語はいいな。


                       ★★★★★


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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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