未来どころか過去の時間も奪われたような……
絶望感に向き合って、見えてくるものは。
平穏に暮らしていたはずの両親。その父が突然いなくなった。
思い出の詰まった実家も売却されていた。
何一つ身に覚えのない母は、
なぜと叫びながらも答えを手繰り寄せていく。
苦しみの量というのは、誰にも一定なのではないだろうか。
自分はその苦しみがこれまで少なかったのかもしれない。
だから今少し、その苦しみがやってきたような気がする。
幸せの量は一定ではないのだと確信している。
幸せは自分しだいで増やせるものだ。
(光文社HPより)
面白かった!!
話は深刻なんだけど・・・。
70歳目前の園原聡子の夫が突然、行方不明。
不倫相手と暮らすことになったという。
そして離婚届け、持ち家は売却されたという。
聡子の手元には自身の名義の預金通帳200万円。
引越しを余儀なくされる。
うわ~最初から凄い。
気が重くなるような深刻な状況。
物語は、冒頭、聡子の夫であった章が自宅で独りで亡くなっていたというところから始まる。
そして、そうなった経緯が時系列で語られる。
大変な状況を助けるのは、聡子の娘・香織と姪の優子。
娘は結婚し、夫と娘2人。
優子は母親を病気で亡くし、父親と暮らす。父親は聡子の弟。
聡子が母親の代わりという気持ちもあり親身になり聡子のことを気遣う。
法律事務所に理不尽な目に遭った母親の無念を相談し、不倫相手を訴えることも出来ると聞き、
章の不倫相手沼田和恵を相手に訴えるが
逆に沼田側からは名誉毀損の訴えが起き、裁判になる。
沼田和恵・・・ひどい女だな。
聡子の夫・章・・・・バカな男だな。
結末は?と気になり一気読みでした!
理不尽な目に遭っている聡子だけど、不幸だと嘆いている様子があまり見られない。
前向きと言うのか?
なんでもっと怒らないのか?と思ってしまう部分もあったが、
終盤、聡子の人柄がわかる言葉で、ああ、こういう考え方もあるんだなぁ~と思った。
自分自身に聡子が言い聞かせる言葉
不幸の量はみんな同じ、幸せの量はその人それぞれ
なるほど・・・・。深い言葉だ!
裁判の結末は、聡子が勝訴し、その後、和恵側は控訴するが、その後の調査で
和恵の証言は偽りが多いことが判明。
勝訴したことよりも、自分には、周りに気遣ってくれる身内が何人もいることに
幸せを感じる聡子。
ああ、こんな素敵な女性の元を去った章が、本当に大ばか者に思える。
ホイッスルの意味もよくわかった。
法律事務所の弁護士・芳川と事務員・涼子も良心的な人たちで
聡子の周りには頼もしい味方がいっぱい。
この先は平穏な日々が続くといいな。
聡子さん、がんばれ!!とエ-ルを贈りたい。
初読みの作家さんだったけど、すごく面白かった。
過去の話にも興味を覚えたので、それも読んでみたい!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;