市議会議員の選挙アルバイトを始めたことがきっかけで、議員の妻となった私は、幸せな日々を送っていた。激務にもかかわらず夫は優しく、子宝にも恵まれ、誰もが羨む結婚生活だった。だが、人生の落とし穴は突然やってきた。所属する党から県議会議員への立候補を余儀なくされた夫は、僅差で落選し、失職。そこから何かが狂いはじめた。あれだけ優しかった夫が豹変し、暴力を振るうようになってしまった。思いあまった私は……。絶望の淵にいた私の前に現れた一人の女性――有名な弁護士だという。彼女は忘れるはずもない、私のかけがえのない同級生だった……。(「ムーンストーン」より)7つの宝石が織りなす物語。湊かなえ新境地がここに。
(角川春樹事務所HPより)
宝石に纏わるお話7つ。
短編集だけど、最後の2つは連作。
「真珠」
厳格な母親に甘いものを食べることを禁じられてきた真砂子にとって、ム-ンラビットイチゴ味の歯磨き粉は救世主のような存在だった。
けれど、その会社は買収され大好きだった歯磨き粉は販売中止。
復刻を願うばかりに・・・・
真砂子の正体がわかったときには驚いた。
なるほど・・・湊さんらしいオチだな。
「ルビ-」
3年半ぶりに帰省したら、両親と妹は、実家の窓から見える老人福祉施設に住む老人・おいちゃんと交流を深めていた。
ちょっと何者か不審に思っていた、おいちゃんだけど・・・すごいお金持ちだったってことですね?
なかなか面白い展開でした。
「ダイヤモンド」
プロポ-ズをするため訪れたレストラン。
彼女に無事、プロポ-ズを済ませてお店を出たとき・・・・ドアにぶつかり倒れたらしい雀を見つけ助ける古谷治。
後日、治のまえに見知らぬ女性が訪ねて来て、助けてもらった雀だと言う。
あ~面白かった!!
この話、好き!
雀の恩返しなんて、昔話のパロディみたいでした♪
そして、雀が健気で可愛いかった。
最後はちょっと切なかったけど・・・・
「猫目石」
飼い猫の「エリ」を探している阪口夫人。
一緒に探し始める大槻家(夫婦と娘)の3人。
そして木の上にいるエリを見つけ救出。
感謝した阪口夫人は、翌日から大槻家のそれぞれに自分が見た家族の秘密を告げにくる。
あ~阪口さん、嫌なおばさんでした~^^;
何でも教えるのが親切って勘違いしてる。
そして最後は・・・・・これまた湊さんらしいラストでした。
「ム-ンスト-ン」
夫からDVを受けていて、娘にも危険が及んだため守るために夫を殺害してしまった小百合。
弁護士として小百合の前に現われたのは、中学時代の友・久実だった。
中学時代に育まれる友情が素敵だった。
ム-ンスト-ンは2人の大切な思い出だったんですね~。
「サファイア」 「ガ-ネット」
紺野真美は、大学1年のときに中瀬修一と出会い付き合っていた。
が・・・ある日、修一は電車がホ-ムに入る寸前にホ-ムに転落しそのまま亡くなった。
事故なのか?他殺なのか?
失意の真美だったが2人の共通の友人・タナカに「生きろ」と励まされ、タナカから自分が誘い、宝石のアンケ-トをとるバイトを修一もやっていたと聞く。
そのアンケ-トは、悪質商法もどきの宝石を買わせるものだったらしい。
そして月日は経ち小説家になった真美。
作品がヒットして映画化が決定。
主演女優の麻生雪美との対談があり、彼女が以前、悪質商法で指輪を買わされたことがあると話す。
この話は、最後、どうなるのか?
暗く毒のある話になるのか?と予測していたら・・・予想に反して良い話に収まりました。
あ~予想外!
でも、こういう終わり方も良いです!!
小説家の真美と湊さんがダブります(笑)。
自分のことを客観的に書いてるかんじがちょっと面白かったなぁ~。
短編集ですが、ひとつひとつが完成されていて、凄く面白かった。
どれも良かった!!
やはり雀の恩返し「ダイヤモンド」が一番、好き♪
これからも、楽しませてくれる作品を書いてくれるでしょう(^^)
★★★★★
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 4 | ||||
6 | 7 | 9 | 10 | 11 | ||
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;