人気作家が挑む、3.11以後の物語
3月11日以前と以後で、世界は一変した。この圧倒的な現実を前にして、小説に何ができるのか。『亡国のイージス』の人気作家・福井晴敏氏が、はじめて「現実」に挑んだ『週刊ポスト』連載作品である。
東京に住む平穏な家族を、あの震災が襲った。エコ担当社員の主人公・野田圭介は、3.11以後、元防衛庁職員の父の不穏な様子や、ネットにはまる中学生の息子の心境の変化に戸惑い、翻弄されていく。大震災と原発事故に見舞われたこの国で、彼は家族の危機を乗り越えることができるのか。
(小学館HPより)
物語は2011年の3.11を体験した、東京に住む野田家の物語。
震災当時の様子は、リアルで、幸いにして大して被害のなかった我が地域とはまた違う恐怖の瞬間だったのだとわかる。
野田家は、会社員の野田圭介、妻・美希。
圭介の父・輝夫、長男・弘人、長女・千里。
震災後、高校生の弘人の様子が前と違ってくる。
何かふさぎ込んでいる様子で、パソコンに向かうことに夢中。
祖父・輝夫の発案で、5月の連休に被災地に一家でボランティアに向かう。
家が残っているために避難所に来ないで家で暮らしている人の手助けをして欲しいと現地で言われ、家々を訪ね、一人の老婆が暮らす家の掃除・片付けをすることになる。
弘人が黙々と作業をし、被災地に来て良かったと思う両親と祖父だったが・・・・
一段落し、休みも終わるので帰ろうと言う時に「ここに残っていい?」と言う弘人。
一旦は帰ってまた来ればいいと説得し帰ったけれど、ボランティアシンドロ-ムに陥ってしまう。
そして、そんな鬱積した思いがある事件を起こしてしまう。
どうやって弘人の気持ちを救えばいいのか?
悩む大人たち。
そんな悩みに上手く対処する術もなく、間違った行動だけを批判するPTA。
父親である圭介は、そして決断する。
子どもたちの前で今、話しておかなければならないことを話そうと。
その話は、著者が伝えたいことに繋がっている。
結構、長い演説。
そんなこと出来るのかな?と思うこともある。
原発反対派がいて、推進派もいる現在。
いつまた日本の何処かに大きな地震がくるかわからないのに、今回のような原発被害が起きたら日本は滅亡してしまうという危惧。
原発がなくなったら日本の経済が立ち行かなくなるという懸念。
う~ん、どうしたらいいのか?
原発のリスクを背負いながら、少しずつでもほかのエネルギ-供給の方法に変えていくのか?
これから先、何十年か経ったとき
原発がなくても経済が潤っている日本があったらいいな・・・。
自分たちは老いるばかりだけど、子ども達が、そんな未来を作ってくれると信じたい。
この物語を読んで、いろいろなことを考えました。
これは、未来を作る若者たちに多く読んで欲しい書だと思う。
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記事最後の★についての基準は
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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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