発行年月:2011年8月
愛は要らない、と言える狡(ずる)さも愛が欲しい、と叫べる強さもその女にはなかった。それでも――。
父親の酒と暴力に支配される愛のない家――。北海道の開拓村から奉公に出された百合江(ゆりえ)は、旅の一座に飛び込む。「歌」が人生を変えてくれると信じて。押し寄せる波に翻弄されながら一切の打算なく子を守り生き抜いた女の、他人の価値観を寄せつけない「見事」な生が、息もつかせぬ圧倒的な筆力で描かれる。新感覚のストーリーテラー北に現る。
(新潮社HPより)
すごい物語だった!
一気に読ませる力にも脱帽!
物語は、最初は現代の話。
それから・・・そこで出てきた女性二人・理恵と小夜子のル-ツを知らされるような物語へと移る。
理恵と小夜子は、母親同士が姉妹。
それぞれの母親である百合江と里実の幼いころからの話が始まるのだけど、百合江の話が中心かな?
二人の両親は北海道の開拓村に住み、一家の暮らしはとても貧しい。
父親は酒癖が悪く、母親に暴力を振るうことは毎日。
幼い弟たちの面倒を見たり、家事を手伝ったりの百合江が不憫。
進学したいと思っていたのに、奉公に出されることになる。
そして今度は自分が家のなかでしていた苦労を里実が引き継ぐ。
やがて成長した姉妹は、それぞれ家とは疎遠な状態になり、自分たちの働き場所で懸命に働き、それぞれ伴侶を得る。
里実は奉公先の理髪店での働きを認められ親方の息子と結婚。
店の経営は順調で里実の采配が一家を支えるまでになる。
一方の百合江は偶然、目にした旅芸人の歌や踊りに惹かれ、その一員になる。
そして知り合った女形役者の宗太郎との間に女の子・綾子を産むが宗太郎は姿を消してしまう。
その後、知り合った役所勤めの高樹春一と結婚。
姑との同居が始まるが、この姑がとんでもない意地悪!
おまけに春一には多額の借金があった!
二人の間の子を出産時、長女の綾子を姑に預けたのだが、とんでもないことになり・・・・
春一は外で遊びまわり家には帰らない日が続く。
全部、百合江のせいだと言う姑。ホントに鬼のような人だ~。
とまあいろいろと苦労の連続の百合江。
妹の里実が居なかったら、もっと大変なことになるところだったけど、姉妹っていいな。
心強い味方としていつも里実がそばに居てくれて、読みながら、姉妹はずっと離れないで~なんて思った。
時々、大人になった理恵と小夜子の話に変わるのだけど、この二人は従姉妹という関係だけど実質姉妹と変わらないかんじ。
終盤、理恵と小夜子が百合江の二番目の夫だった高樹から話しておきたいことがあると連絡を貰い、老人ホ-ムに入所中の高樹を訪ね、聞いた衝撃の事実には驚いた!
苦労続きで幸せを掴んだと思えば、またその幸せを逃がして・・・・という百合江の人生だったけど、高樹の告白から知った事実には、百合江が知ったら、驚くかもしれないけどホッとするようなこともあって、少し最後は救われた。
兎に角、すごくよく出来たスト-リ-で最初から最後まで頁をめくる手が止まらないかんじだった!
やはり、この作家さんは凄い!
まだ作家デビュ-してからそんなに年数立ってないけど、これからの作品も大いに期待したい!!
これは、また暫くしたら、絶対、再読したいと思う!!
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
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★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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