九州の小さな海岸の町。
贅沢な施設と高度な医療で知られるサンビ-チ病院。
不妊治療に福音をもたらし患者たちに「神の手」と慕われる院長の産婦人科医、岸川卓也のもう一つの顔。
男性の妊娠、人工子宮、胎児からの臓器移植・・・・・。
生殖医療の無法地帯に君臨する医師の狂気がひらくとき。
生命の尊厳と人間の未来を揺るがす書き下ろし長編小説。
(本の帯文より)
エンブリオとは・・・受精後8Wまでの赤ちゃん。それ以降は胎児と呼ばれる。
少し前に読んだ「風花病棟」(短編集)では、真摯な態度で医療に向き合う医師たちを描いていて感動しました。
この作品の主人公の医師・岸川は、ある意味では研究熱心で高度医療を行う素晴らしい医師ですが、違う側面から見たら悪魔とも言える非常にアクの強い人物という印象。
途中までは、不妊治療で思うような効果が得られず、悩む夫婦には神様的な存在で、倫理的には反発も多いだろうその治療方法もそれで救われる人たちがいるのなら・・・・・と受け入れながら読んでいました。
が・・・段々にエスカレ-トしてゆく医師の行動に怖くなりました。
ラストは、うぅ~凄いね!この医師。
そこまでやりますか!?という感想。
でも最後まで楽しませていただきました!
こういうちょっとワルい医師を描くのもなかなかいいな。
文章も上手いし!
物語の中には、今の生殖医療でも、そこまではやってないはずよね?という事が多々出てきます。
知らない人が読むとこの治療を受けたいと駆け込みたくなる人も居るかもなんて、余計な心配をしてしたりして・・・。
例えば、5歳の息子に重篤な心臓疾患があり予後不良で命の危険があるとの診断。
母親は妊娠中。
お腹の中の子どもの心臓を取り出し、5歳の子どもに移植するという治療。
または以前、不妊治療で体外受精させた卵の分割したスペアを使って再び妊娠させるという治療。
他にもいろいろ。
今は、体外受精も珍しい治療とは言えない時代。
代理母問題は、少し前にメディアでも取り上げられましたが、生殖医療の研究はどんどん進んで技術的には、もっといろいろな事が可能になってくるでしょう。
本の中に出てきた人工子宮も実際にも研究は進んでいるようですし。
兎に角、いろいろな問題提起がされている内容でした。
この物語主人公・岸川医師については、著者の新刊「インタ-セックス」でも登場するようなので、そちらも読むのが楽しみです。
★★★★
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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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