発行年月:2010年10月
「それは、世界でたった1人の人にしか、聴けないオルゴールなんだ。」
隣にいる、大切な人の心の声が聴こえてくる物語-------
全国各地で大きな反響を得た、直木賞作家渾身の新聞連載、
待望の書籍化!
奇跡の、そして感動のクライマックス!
「実は前から、ハヤ坊に頼みたいことがあってなぁ」東京に住む小学生のハヤトは、トンダじいさんの“一生に一度のお願い”を預かり、旅に出る。福知山線の事故現場、父さんの再婚と新しい生命(いのち)、そして広島の原爆ドーム。見るものすべてに価値観を揺さぶられながら、トンダじいさんの想い出のオルゴールを届けるため、ハヤトは一路、鹿児島を目指す。
(講談社HPより)
この前に読んだ朱川さんの「鏡の偽乙女」とは、ガラッと違う物語。
今回のは、現代のお話でリアルな現実に向き合った物語でした。
主人公のハヤトは、もうすぐ小学5年生になる。
両親は離婚して、母親との二人暮らし。
ふざけあうような友達はいるけど、実際に気が合うのは、クラスでは、ちょっと浮いた存在のシンジロウ。
クラスの仲間の手前、シンジロウの存在を少し疎ましく思いながらも、本心はシンジロウと相通じるものを感じている。
ハヤトは優しくて人の気持ちがわかる子なんだろうな~と最初から思いました。
そして、近所の顔見知りのトンダじいさんから頼まれ事を引き受けてしまう。
おじいさんが亡くなり、その約束をいつかは果たさなければならないことに少し重責を感じ始める。
学校は、春休みに入り、その間、大阪の父親の元で過ごそうと決めたハヤト。
おじいさんから托されたオルゴ-ルも持っていく。
大阪の父親には、新しい家族が出来ていて、最初は戸惑うハヤトだが、そこから、いろんな人と接することになり、おじいさんとの約束を果たすため、鹿児島にも出かけることになる。
ハヤトが出会う人たちは、皆、過去に辛い経験がある。
阪神淡路大震災で家族を亡くしたもの、福知山線脱線事故で友人を亡くしたもの、
そして、鹿児島まで一緒に行く事になった、父親の新しい奥さんの友達・サエと一緒に訪ねる
広島、長崎。
それぞれが原爆による被害を受けた地。
原爆ド-ムや平和記念資料館を見てハヤトが感じること。
九州の鹿児島でも、知覧特攻隊のことが出て来て、戦争と平和についても多く考えさせてくれる。
ハヤトの旅を通じて、読み手もいろいろな事を考えさせられる内容でした。
そして、約束を果たす最後の場面も感動しました。
良い物語でした。
児童書として考えてもいいかもしれない内容。
大人も十分楽しめる内容ですが、子どもたちにも読んで欲しい本です!
いや~朱川さん、次々、いろんなジャンルで楽しませてくれますね~(^^)
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;