わたしを残して、逝ってしまった彼。
古都・京都を舞台に繰り広げられる、哀しく切ない人間模様。
一緒に死んでもいいと思った相手は、わたしを残して逝ってしまった-----。
傷心の尚子(なおこ)は、東京を後にして学生時代を過ごした京都に舞い戻る。
亡くなった男・井串(いぐし)との過去を引きずりながらも、かつての大学時代の恋人と再会し、普通の生活を取り戻したように思えたのだが……。
井串と知り合うきっかけになった寺の石仏をめぐり、
豆腐料理屋を営む謎の外国人・ボビーや寺の主・寿桂(じゅけい)など、
尚子を取り巻く人々の秘めた思いが京の町に交錯する、人生の儚さを丹念に描いた物語。
(光文社HPより)
主人公・尚子の気持ちの揺れが痛いくらいに伝わって来て、辛かった。
でも周りにいる元彼で老舗の和菓子屋を継いだ今道くんも、仕事を通じ知り合った年下の細谷くん、そして豆腐料理を振舞うボビ-など、男性陣が温かく尚子を見守ってくれていて羨ましい状況でした。
尚子は相手の好意に気づいていながら・・・自分は亡くした恋人を忘れられないということを隠さず男性たちに話ながらも、そのときの気持ちで行動する、女性側から見たら、ちょっとイヤな女かも?
でも、わたしは不思議と尚子には嫌悪感を抱かなかったなぁ~。
何故だろ?
誠実さみたいなものを感じたからかな?
相手の気持ちをへんに弄んではいないと思ったから。
今道くんも細谷くんもそんな尚子の誠実な部分を理解していたから、最後まで優しくいれたんじゃないかな?
ボビ-はちょっと異質だったけど、頑なに貫こうとしていた事を尚子の言葉によって、断念した時はホッとした。
実行されてたら、この物語がメチャクチャになってしまうから・・・・実行されないとは思っていたけど
この説得の仕方は、なるほど!と感動した。
尚子が心中までしようとした井串という画家の描いていた「埋め仏」が物語の中心にいつもあって、京都ならもしかして本当にあるのかな?なんて思っては想像したりしましたが、実際はどうなんだろ?
埋め仏があるお寺を守る寿桂が尚子の愛した井串と関係があったという事実、そしてそこにあったもっと深いものが最後の方で語られたあたりは、特に面白かった。
人の縁って不思議だな。
偶然過ぎるかもしれないけど、無理矢理なかんじはあまりなく、よく出来た話だと素直に思いました。
埋め仏を見ての外国人のボビ-と細谷くんの意見交換の場面が良かった。
ボビ-はこれは拷問による恐怖と怒りで歪んだ顔だと言うのに対して、細谷くんは反論。
皆の罪を背負い埋められていると伝えられているお地蔵さまだから、日本人ならこの顔を慈愛に満ちた笑顔と見るものだと言う。
日本が好きで日本人に近づきたいと思うボビ-には痛い反論だっただろうな。
二人の男性から結構、言い寄られる尚子だけど、この先どちらかを選ぶのかな?
案外どちらも選ばないか?
でもわたしは細谷くんがいいな。(ホントは年下は興味ないんだけど・・・^^;)
結構、この話、好き!
★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;