発行年月:2003年5月
「蒲団?あの、変態の先生が女弟子のフトンに顔をうずめて泣く話?」
田山花袋「蒲団」の書き直しを図る中年アメリカ人と愛人の日系女子学生。
95歳の曾祖父の戦後史と現在。
知的ユ-モア溢れる書下ろし長編!
(本の帯文より)
図書館の棚をブラブラしながら眺めていて、これが目につきました。
以前、「平成大家族」がとても面白く、これは、確か中島さんのデビュ-作で話題になってた書と記憶にあったので、借りてきました。
物語は、ちょっと変わった進み方。
アメリカの大学で教鞭をとり田山花袋の文学を研究中のデイブが自身が書き進める花袋の「蒲団」の打ち直しというかたちで書く小説も現代の物語FUTONと共に進行してゆく。
デイブは46歳で妻とは協議離婚が成立していて、息子を週3日預かる約束ごとを守っている。
そして、自身が教える日系アメリカ人のエミとは深い関係。
エミには、日本にユウキという別の恋人がいる。
そしてエミのおじいちゃん・タツゾウ72歳、ひいおじいちゃん・ウメキチ95歳も日本人でウメキチがやっていたそば屋「三州屋」をタツゾウがアメリカ資本のサンドイッチチェ-ン店「ラヴウェイ・鶉町店」として営業している。
エミが日本から来た恋人と一緒に日本に遊びに行ったのを追いかけるように来日するデイブは、自身が打ち直しとして書き進めている小説の中の女弟子に恋する小説家の行動とだぶる部分があって可笑しい。
花袋の「蒲団」は読んだことがないですが、これを読んだら本家のそれが読みたくなりました。
デイブの書く「蒲団の打ち直し」では、花袋の「蒲団」ではあまり登場しないらしい小説家の妻・美穂の視点で書かれていて、弟子に恋心を抱き、それが元で時々、不機嫌になったり乱暴になったりする夫を冷静に見つめている様子は、なかなか面白かった。
弟子には、恋人がいて、自身の恋は叶うものではないと知り、今度はそれを応援するという形で常に側で主導権を握ろうとする夫の滑稽さを半分は、同情、半分は嫌悪する美穂の気持ちの表し方が上手い!
アメリカ人のデイブじゃ到底こうは書けないでしょうけど・・・・^^;
日本で暮らすエミのひいおじいちゃんは95歳の高齢に似合わない元気さで普通のヘルパ-には介護の必要なしということで援助してもらえない状況。
そんな時、知り合うイズミ。
若者のワルが集まる場所で若者たちに、今まさに殺されちゃう?という状況を覗いていたイズミ。
若者の誰かが「100年も生きてるんだからロウスイさせてやろうぜ」と言ったことから難を逃れたウメキチ。
それが縁で、ウメキチの元に介護に通うようになる。
イズミはなかなか良い子だが同じくイズミに頼まれ介護に通うケンちゃんも良い子。
ちょっと訳ありの二人の関係も微笑ましいかんじ。
日本にエミを追っかけてきたデイブがイズミと知り合う場面もなかなかよかった。
エミからウメキチの辛い体験を聞き、自身が研究する花袋の生きた時代と今を繋ぐ人物がここに存在する不思議を実感する。
東京には、花袋の時代から現在まで、壮絶な歴史があったことを再確認するデイブ。
それは、わたしたちにも日本の歴史を再確認するものでもありました。
デイブの書き進めていた「蒲団の打ち直し」の世界と、デイブ自身が存在する今とが重なったような瞬間をも感じました。
ラストは皆が、またこれから先に向かって明るく歩み始めるかんじで爽快!
おもしろかった!!
中島さん、素晴らしい!!
わたしにとって今までの作品、全部制覇したいと思わせる作家さんになりました。
★★★★★
「蒲団?あの、変態の先生が女弟子のフトンに顔をうずめて泣く話?」
田山花袋「蒲団」の書き直しを図る中年アメリカ人と愛人の日系女子学生。
95歳の曾祖父の戦後史と現在。
知的ユ-モア溢れる書下ろし長編!
(本の帯文より)
図書館の棚をブラブラしながら眺めていて、これが目につきました。
以前、「平成大家族」がとても面白く、これは、確か中島さんのデビュ-作で話題になってた書と記憶にあったので、借りてきました。
物語は、ちょっと変わった進み方。
アメリカの大学で教鞭をとり田山花袋の文学を研究中のデイブが自身が書き進める花袋の「蒲団」の打ち直しというかたちで書く小説も現代の物語FUTONと共に進行してゆく。
デイブは46歳で妻とは協議離婚が成立していて、息子を週3日預かる約束ごとを守っている。
そして、自身が教える日系アメリカ人のエミとは深い関係。
エミには、日本にユウキという別の恋人がいる。
そしてエミのおじいちゃん・タツゾウ72歳、ひいおじいちゃん・ウメキチ95歳も日本人でウメキチがやっていたそば屋「三州屋」をタツゾウがアメリカ資本のサンドイッチチェ-ン店「ラヴウェイ・鶉町店」として営業している。
エミが日本から来た恋人と一緒に日本に遊びに行ったのを追いかけるように来日するデイブは、自身が打ち直しとして書き進めている小説の中の女弟子に恋する小説家の行動とだぶる部分があって可笑しい。
花袋の「蒲団」は読んだことがないですが、これを読んだら本家のそれが読みたくなりました。
デイブの書く「蒲団の打ち直し」では、花袋の「蒲団」ではあまり登場しないらしい小説家の妻・美穂の視点で書かれていて、弟子に恋心を抱き、それが元で時々、不機嫌になったり乱暴になったりする夫を冷静に見つめている様子は、なかなか面白かった。
弟子には、恋人がいて、自身の恋は叶うものではないと知り、今度はそれを応援するという形で常に側で主導権を握ろうとする夫の滑稽さを半分は、同情、半分は嫌悪する美穂の気持ちの表し方が上手い!
アメリカ人のデイブじゃ到底こうは書けないでしょうけど・・・・^^;
日本で暮らすエミのひいおじいちゃんは95歳の高齢に似合わない元気さで普通のヘルパ-には介護の必要なしということで援助してもらえない状況。
そんな時、知り合うイズミ。
若者のワルが集まる場所で若者たちに、今まさに殺されちゃう?という状況を覗いていたイズミ。
若者の誰かが「100年も生きてるんだからロウスイさせてやろうぜ」と言ったことから難を逃れたウメキチ。
それが縁で、ウメキチの元に介護に通うようになる。
イズミはなかなか良い子だが同じくイズミに頼まれ介護に通うケンちゃんも良い子。
ちょっと訳ありの二人の関係も微笑ましいかんじ。
日本にエミを追っかけてきたデイブがイズミと知り合う場面もなかなかよかった。
エミからウメキチの辛い体験を聞き、自身が研究する花袋の生きた時代と今を繋ぐ人物がここに存在する不思議を実感する。
東京には、花袋の時代から現在まで、壮絶な歴史があったことを再確認するデイブ。
それは、わたしたちにも日本の歴史を再確認するものでもありました。
デイブの書き進めていた「蒲団の打ち直し」の世界と、デイブ自身が存在する今とが重なったような瞬間をも感じました。
ラストは皆が、またこれから先に向かって明るく歩み始めるかんじで爽快!
おもしろかった!!
中島さん、素晴らしい!!
わたしにとって今までの作品、全部制覇したいと思わせる作家さんになりました。
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自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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