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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2025年8月


ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話
この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して
 昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。
 ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。
「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。
 幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。
 2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。
「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。
怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。
……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は
純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、
いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」
―本文より―
涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。



                 (株式会社 理論社HPより)



以前読んだ「すべての、白いものたち」同様、綺麗な文章。
少し哀しく感じるのだけど、ちゃんと希望も最後にはあって
良いお話だった。


他人では予測できないような場面で「涙」を流す子を周りは
泣き虫といい「涙つぼ」と呼ぶ。
ある日、出会った涙を集めている、おじさんに出会い、おじさんの旅に
ついていく。
そして、おじさんがあるおじいさんの元へ。
おじいさんは、おじさんから涙を買う。
おじさんの持つ黒い箱のなかには色々な涙があって・・・・


泣けないおじいさんに出会って、涙をこらえることを知る。
それは胸が裂けるように痛いこと。


おじいさんが涙を流すことができてよかった。

子どもと旅をした、おじさんもまた実は涙が流せないという。
滲んでくる涙はすぐに乾いてしまうと。
寝ている最中に頬が濡れていることはあるけれど・・・・

このおじさんも胸に秘めた何か辛いことがあるのかも。


短いお話なんだけど、いろいろと読み手が想像を膨らませられるおはなし。

他の作品も読んでみたい。


絵も綺麗ですてき。



                    ★★★★★
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