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発行年月:2024年9月


私は人生の終着点を見つけてしまった 生と死の尊厳に迫る優しく美しい一冊
おちこぼれの女性ジャーナリストが異国の砂漠の地で掴んだ、
自分しかできない仕事、そして、人間のほんとうの幸せとは
フリージャーナリストとしての活躍の道が拓けずくすぶっていた寿美佳(すみか)は、摂氏六十度を軽く超える砂漠の地で、鉱石を運ぶトラックに乗っていた。
ここはオーストラリアでも「デッドエンド」と呼ばれる地帯。この先の鉱山で、元引きこもりの日本人労働者や、海外の政治犯が強制労働に従事させられているという疑惑を聞きつけて、記事を書いて一山当てようと潜入取材に乗り込んだのだ。金がない寿美佳のスポンサーとなったのは、夫の研究者・クセナキス博士がここに閉じ込められていると訴える博士の夫人だった。
博士を救い出すという任務も帯びながら、命からがら苛酷な砂漠を越え現地にたどり着いた寿美佳だったが、そこで出会った博士をはじめとする3人の労働者が語ったのは、寿美佳が全く思いもよらない背景だった……。
ここは見捨てられた場所、そして、途方もなく自由な土地――
「他の場所では生きられなくても」、今、自分の身体が、能力が、拡張していく。
人生の本質や、生と死の尊厳を、外から判断できるのか。
ほんとうの幸せとは何かに迫る著者の真骨頂。


                   (角川書店HPより)




SF小説?
でも少し先の話?


フリージャーナリストの寿美佳がオーストラリアのとある砂漠に収監されているという
クセナキス博士を連れ戻してきて欲しいと言う奥さんの希望を叶え
自分もジャーナリストとして、その地を実際に取材したいと現地へ向かう。


一歩間違えれば、即死しちゃうような過酷な環境へ。


情報で得ていたのとは少し違う。
仕事は過酷だけれど、自由が全くないというわけでもない。

終身刑の罪でここに送られたブロンドの男も親切で仕事も出来る。
彼は8年前、難民用の臨時施設内で致死率100%のウイルスが広まった際、全世界に
それが広まらないように施設内の人たち2678人の命を奪った罪によりここに。

自分の罪を受け入れているブロンドの男は、寿美佳や博士を手助けしてくれる
ここでは頼りになる存在。


最初は1日、滞在し、すぐに戻る予定だったが、戻るはずのトラックにトラブルが生じ
そのまま、そこに暫く留まることを決めた寿美佳。
一刻も早く帰りたいと言う気持ちが半減している。


昼間は摂氏60度の世界も夜になると気温が下がり、博士と一緒にロブスター釣りを
楽しむ。
実際はほぼサソリが釣れるのだけど、それも焼けば、まあまあの味とか。


酷い環境で働かされている博士を連れ戻してほしいという博士の妻の希望は
伝えるが、博士は、自分の意思でそこに留まっているし、戻る気もないという。
それを妻に話してほしいと寿美佳に伝える。


実際に体験してみないとわからないことは、あるんだな。


博士はここで最期を迎えることも望んでいる。
そして、それがその通りになり、満足だったんじゃないかな?



なかなか、面白かった。
篠田さん、色んな話を書ける人だなと感心。



                        ★★★★
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