発行年月:2019年12月
死にたい、と願うのはエゴですか?
生きていて、と望むのは愛ですか?
~死と向き合っている医師だから書けた、現代人のエゴイズム、そして愛と情~
このごろ、「早く日本でも安楽死を認めてほしい」という人が増えた。
その先にどんな未来が待ち受けているのか、書きたかった。(著者)
あらすじ:2024年、オリンピックで疲弊した東京はすっかり元気を失っていた。
人気女流作家の名をほしいままにしていた澤井真子はアルツハイマー型認知症と診断をされ、
小説が書けなくなる前に死にたいとある決断をする。一方、補助人工心臓手術の名医として
名を上げた尾形紘は、緊急搬送された大手自動車メーカー会長の手術執刀を拒否し、心臓移植
待機中の少女の手術に向かったため、大学病院内外から批判の矢を浴びる。失意の中、医師を
辞める決意をした彼に下されたミッション。それは、安楽死特区の主治医となり自殺幇助に
加担せよ、という受け入れがたいものであった。さらに、かつての東京都知事、池端貴子は
日本初の孤独担当大臣に国から任命されると、末期がんであることを明かし、
「私が、安楽死特区の第一号として死にます」と記者会見を行う…
女と男、それぞれの「死にたい」物語が交差したとき、前代未聞の事件は起きた
(ブックマン社HPより)
現役医師の小説なだけに、今の医療についてリアルなことが書かれている。
延命のため、ベッドに寝かされたまま、人工的に酸素や栄養を送られ、
心臓を動かされていることは、果たして患者が望むことなのか?
認知症が進み、自分というものも見失い社会的な生活が独りではできなくなっても
ずっと生かされていることは幸せなのか?
日本では、まだ認められていない「安楽死」について考えさせられる。
物語は、このままこの「安楽死特区」が世間に受け入れられる状況では
なくなる事件が起きるけれど、ある程度、こういうものは今後、必要になるかも。
自分の最期は、どうありたいか、ちゃんと考えて、子どもたちに伝えて
おかないと!と思う。
★★★
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