発行年月:2019年6月
きみはなぜ、まぶたを閉じて生きると決めたの――かつて愛し合った「私」と「ぼく」が交わす最後の秘密。二人を隔てた、取り返しのつかない出来事とは。作家二人が仕掛ける、胸を震わす物語。
(中央公論新社HPより)
男女の手紙の交換から成り立っている物語。
手紙は交互に。
2人の関係が最初はよくわからなかった。
読み進めると・・・あれ?2人は会ったことがあるんだぁ~。結構、頻繁に。
なんだ、元は恋人で夫婦にまでなったんだ~と。
最初の出会いが、ちょっと変わっているけれど素敵。
宇宙線研究所の一般見学会に参加して、円柱形の水が満たされたタンクの中を
ボートに乗って水面をゆくなかで隣同士になった2人。
見学会の後、バスの中でも隣同士になって会話を交わす。
2人の共通の思い出話。
ボートを見つけたら乗るふたり。
最初の出会いを大切にしている二人。
こんなにお互いを思いやり、とても気が合う二人なのに、何故、今は別れて
暮らしているのか?疑問が沸くが、それはあとでわかること。
哀しい出来事があったんだ~。
胸が潰れそうに哀しい。
2人の手紙の内容には、明るく楽しいことよりも、少し哀しいことの方が多い。
全部、とても美しい文章で語られるのだけど・・・
女性が幼い時、歯医者さんの待合室で読んでいたお気に入りの本
『世にもかわいそうな動物たち』は、本当に可哀想なお話。
実際にあるのか?と思わず検索しちゃいました・・・・架空のものですね^^;
小川さんらしい眼の付け所。
男女それぞれの語りですが、なんだか凄く文章が似ていて
小川さんお堀江さんって、同じような思考の方たちなんだ~と思った。
一人の人が書いた文章みたいな統一された雰囲気がずっとある。
なんだか、切なく哀しい感じのお話だったけれど、二人は離れていても
強い絆は繋がったまま。
もう他者の存在は感じなくてもいいというくらいの強固な絆。
哀しいけれど穏やかな気持ちにもなっていて、なんだか不思議な読後感でした。
★★★★
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