発行年月:2017年1月
たくらみに満ちた豊穣な世界文学の誕生!
世界のはしっこでそっと異彩を放つ人々をモチーフに、
その記憶、手触り、痕跡を結晶化した全十篇。
現実と虚構のあわいを伝記とも偉人伝とも違う、ほんのり哀しく、
滑稽で愛おしい共感の目でとらえた豊穣な物語世界。
(角川書店HPより)
実在した人たち、実際にあった出来事を基に出来た物語10篇。
どれも独特の雰囲気で美しい文章と共に最初の話から最後の話まで
楽しんで読めた。
さすが小川さん!
物語の後ろに、それぞれ、話の基になった人物や事柄の説明があり最初に
それを読んでから物語を読んでいった。
最初に読んでも途中まで、どうしてこういう話を事実から作ったんだ?という
ものばかりで小川さんの想像力には驚かされる。
やはり、作家って凄いな~。
表題と同じ話はない。
・誘拐の女王(ヘンリー・ダーガー:死後作品が世にでた墓碑に「子供たちの守護者」
と刻まれている。
・散歩同盟会長への手紙(ローベルト・ヴァルザー:職を転々としながら散文小品や小説を
発表。クリスマスの朝、散歩中に雪の上で死亡)
・カタツムリの結婚式(パトリシア・ハイスミス:作家。カタツムリを偏愛し自宅で繁殖
させ、ついには300匹にも達した)
・臨時実験補助員(社会心理学者スタンレー・ミルグラムによって編み出された
放置手紙調査法)
・測量(グレン・グールド:ピアニスト。父親特製の脚を切った極端に低い木製の
折り畳み椅子に座り、体を小さく縮めて演奏することで有名)
・手違い(ヴィヴィアン・マイヤー:生涯の大半を住み込みのナニーとして送りながら
膨大な写真を撮るも一枚も発表せず。死後、偶然発見されたネガによりネット上で
評判になり、展覧会や写真集、ドキュメンタリー映画の公開など反響を呼ぶ。
・肉詰めピーマンとマットレス(バルセロナオリンピック)
・若草クラブ(エリザベス・テイラー:女優。7人の男性と8回結婚。7回離婚。
死別1回。心疾患にて1996年に死去)
・さあ、いい子だ、おいで(世界最長のホットドッグ203.8m)
・十三人のきょうだい(牧野富太郎:植物学者。夫人との間に13人の子どもを
もうける。新種のササに54歳で亡くなった夫人の名前をつけ、スエコザサとした)
ちょっと怖かったのは、<さあ、いいこだ、おいで>
子どもに恵まれない夫婦が、文鳥を飼うことにする。
最初は本当に可愛がり、さえずりの声が可愛いと言い合ったり
いつも生活の中心にいた文鳥。
だけど、次第にそのさえずりが煩く感じ、文鳥に対する扱いが雑になる。
身勝手な夫婦に嫌悪感いっぱいの嫌な話。
一番、印象に残ったのは最後の<十三人のきょうだい>
父親のきょうだいが13人で、その一番したの叔父さんと少女のお話。
叔父さんと二人だけの秘密の呼び方で会話し、遊ぶ。
本当の名前を聞いても教えてくれない叔父さん。
最後はちょっと哀しいかんじ。
もしかして、叔父さんは、この世に生を受けなかった人?
だから名前をつけてもらえないまま?
色々後から、想像しちゃいました。
表題の<不時着する・・・>とあるように、どの話も読み手の想像力を
刺激して、ストンと収まらない終わり方のような気がした。
そういうのを好まない人には評価が下がってしまうかも。
でも、わたしは、こういうの凄く好き!
面白い短編集だった!
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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