発行年月:2016年8月
2014年に逝去した著者の三回忌に際し、死の直前に発表された最後の遺作を単行本化!
余命短い老女優の、人生の幕引きの日々を描いた表題作は、死と向き合う著者の息遣いが聞こえる感動作。
(河出書房新社HPより)
3つの話の前2つは、「死」と向き合う人の話で、
どういう思いでこれを書かれたのかなぁ~と思う。
どの話も素晴らしかった!
表題作の<月兎耳の家>は、劇団女優だった叔母(82歳)が怪我で
見の周りのことを手伝うために同居することになった、わたし。
叔母と最後に会ったのは、中学の頃、祖母の葬式。
そのときの叔母は綺麗だった。
そんな叔母と暮らしながら、叔母の過去の話を聞く。
叔母が深く関わった葵という5つ年上の女性とのこと。
表紙の絵は、この中に出てくる着物を連想させるもの。
静かに過去を語る叔母。
姪に話すことで、自分の生きた証を確かめるようだった。
次ぎの<風切橋奇譚>が一番すき。
叔父から、別荘に住まわせていた女性が亡くなり空き家になっているから
そこに住んでくれないか?と言われた美弥。
和歌山の山中にある別荘の奥には森でそこから行き来する橋がある。
あの世からこちらに来る者が渡る橋。
家を訪ねて来た者には白湯をふるまい話を聞く。
自分が果たす役割を心得ている美弥。
そして、次にそれを引き継ぐ者はやってくる。
このふたつは、ちょっと似ているかんじ。
ちょっと不思議で怪しいけれど静かに受け入れられる心地よさもある。
最後の<東京・アンモナイト>は
バーで知り合った男女の話。
男性は名前をイクミと名乗るけれど、それは10歳で溺死した弟の名前。
母が亡くなったあと、すぐに別の女性を家に入れた父に反発して
家から出たイクミ。
なんとなく暗い陰のある二人が最後は一緒に明るい方に進んで行きそうな
描写で終わるこの話。
これを最後に持ってきたのはいい!
稲葉さんの新作はもう読めないけれど、過去の作品はまだまだ未読な
ものあるので、少しずつ読んで行こうと思う。
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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