発行年月:2016年 6月
みんな、普通の人だった──。
作家・浅田次郎のライフワークである「戦争」をテーマにした短編集。
名もなき一般市民の目線から、戦中戦後の東京の風景を描き出す。
人情ドラマが光る全6編。
(集英社HPより)
<帰郷>
終戦から3か月、復員兵の古越庄一は体を売って日々を食い凌ぐ綾子と出会う。
庄一は帰郷後、妻子が弟と新たな家庭を築いているのを知らされ行き場が
なくなっていた。
二人の出会いは、新たなスタートになりそう。
<鉄の沈黙>
大学の工学部出身の専門技術者の清田吾市。
野戦高射砲の修理のために危ない目に遭いながらニューギニアの小さな岬に。
修理後は、再び戻る道もあったが、そこに残ることに決める。
悲惨な最期が想像できるけれど、そこに至るまでの部隊内の温かい人間関係に
ちょっと、ホッとするものがあった。
<夜の遊園地>
苦学生の武内勝男は、奨学金を貰いながら大学に通っている。
学生課の斡旋で遊園地のバイトを始める。
そこで出会った二組の父と息子の姿を見て戦死した父親を想う。
なんだか、泣ける。
良い話。
<不寝番>
片山賢三は、20歳で自衛隊地方連絡部の勧誘員に声を掛けられ入隊。
射撃集合訓練に参加することに決まったが、その前の不寝番の夜、不思議な
体験をする。
仙波上等兵との会話は、時空を超えたもの。
その後の射撃はきっとアドバイスが効いたかな?
<金鵄とともに>
染井俊次は、傷痍軍人を見かけ、なんと恥さらしな・・・・と呆れ
文句を行こうと近づく。
なんだか哀れな話。
<無言歌>
香田直也と沢渡恭一郎、戦地で互いの大事な人のことを話し盛り上がる。
大切な人を想うときは、どんな過酷な状況下でも幸せか?
戦争さえなければ・・・・と強く思う。
どの話も心に沁みました。
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