発行年月:2004年11月(単行本は1989年)
病に冒された弟と姉との最後の日々を描く表題作、
海燕新人文学賞受賞のデビュー作「揚羽蝶が壊れる時」ほか、
透きとおるほどに繊細な最初期の四短篇収録。
(中央公論文庫HPより)
初期の小川作品って考えたらあまり読んでいなかった。
これは海燕新人文学賞を取った作品「揚羽蝶が壊れる時」が収録された
短編集。
それよりも表題作がわたしはインパクト強く好きだった。
どの話にも病とか死とかが出てくる。
<完璧な病室>
21歳の若さで病死した弟と過ごした病室でのことを思い出す姉。
清潔な病室、そこに居る透き通ったような白い顔をした弟。
死が確実に迫っている弟を目の前にして、哀しいとかいう感情は
あまり伝わってこない。
病室にいる弟を見舞っている時間がとてもかけがいのない時間だったという
不思議な感覚。
ビーフシチューをみてチョコレート嚢胞を連想するとか・・・
心を病んでしまった人間と暮らすっていうことは無脳症の胎児の
ホルマリン漬けを食卓の真ん中に置いて食事するようなものなんて言葉にドキッ!
これは医療従事者でしかわからないグロテスクな例えだな・・・苦笑
この最初の話が衝撃的で、他の作品の印象は薄い^^;
<揚羽蝶が壊れる時>
父方の祖母をひとりで介護してきたけれど、施設に入れることに決めた孫の話。
<冷めない紅茶>
中学時代の同級生の通夜の帰りK君に声を掛けられ、後日K君の家に招待される。
K君の奥さんは中学で図書館司書として働いていた人だった。
<ダイヴィング・プール>
飛び込み競技をする男の子を観覧席から見ている。
彼は両親が営む孤児院にいる子。
初期の作品も小川さんの書く文章は、とても美しいな~。
★★★★
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