発行年月:2015年2月
「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくない」
長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。
悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、
同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。
突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。
人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
(文藝春秋HPより)
作家の衣笠幸男(さちお)・・・作家名は津村啓。
妻・夏子は友人の大宮ゆきと毎年恒例の旅行に出かけ、その先でバスが崖下に
転落の事故で亡くなった。
大宮ゆきも亡くなり、その家族(夫の陽一、小6の息子真平、4歳の灯)との
交流により、夏子の死を少しずつ受け入れて行く。
幸男は、妻との間に子どもはなく、夫婦の関係も冷めていた。
事故後、妻の携帯を開き、送信されずに残っていた自分宛てと思われる
メッセージにショックを受ける。
<もう愛していない。ひとかけらも。>
妻の死は哀しいけれど、泣いたことはなく日々が過ぎる。
そして、妻とともに亡くなった大宮ゆきの夫・陽一から連絡を貰い会う。
やがて、幸男は大宮家に出入りし、陽一の留守中の家の手伝いを買って出る。
子どもにどう接していいのか戸惑いながら、4歳の灯と過ごす場面は
微笑ましかった。
家族を亡くした者同士が支え合っているかんじだったけれど、やがて気持ちの
すれ違いが起きて、一旦は家族から離れる幸男。
幸男の気持ちの移り変わる様子が、見事に表現されていた。
妻が亡くなったことで、気づくこと。
これから自分がどう生きるか?
妻を亡くして、いろいろな人との接触があって、改めて妻のことを考えて
初めて涙する場面はジ~ンと来ました(/_;)。
よくある、立ち直り前を向いて歩きはじめましたという感じではない
もっと複雑な想いがあって、ああ、やっぱり巧いなぁ~と思いました。
大宮家も良い家族でした!
真平も灯も素直で可愛かったなぁ~。
感動の物語でした!
★★★★★
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