発行年月:2002年1月
第126回芥川賞受賞作!
家族の求心力が失われている時代に、勇気を与えてくれる
重要な作品である---村上龍
拾い上げるとそれは写真だった。母と一緒に知らない男が写っている。
母は前を向いたまま左手を伸ばし、慎の手から写真を取り上げた。
そしてアクセルを深く踏み込んだ。追い越し車線に移り前方の軽自動車を
抜き去ると「私、結婚するかもしれないから」といった。
驚いた慎はなぜか母の顔ではなく、背後の追い抜かれた車をみてしまった。
やや遅れて慎のした返事は「すごいね」だったが、いってみて
変な感じがした。(本文より )
( 本の帯文より/文藝春秋発行)
表題先の前に同時収録の「サイドカーに犬」があり、こちらは映画化されたのを
既にみているので、映像が頭に浮かんできました。
両親が喧嘩して、母親が出て行ってしまった。
小学4年の薫と弟は、やがて、父の知り合いの女性・ヨーコと出会い
夏のひと時を一緒に過ごす。
薫も弟も、成り行き任せなかんじがいい。
ヨーコと薫の関わり方もいい。
最後はあっ気なく別れが来るけど、それも仕方ないことと淡々と受け入れる薫。
寂しさはあるんだろうけど、ヨーコという女性に出会った思い出は
この先、何か影響するだろうな~。
表題作の方は、母子家庭の小学5年生の慎が主人公。
子ども目線なので読みやすく、芥川賞受賞作っぽさがない。
こちらの少年の方が結構、シンドイ状況かなぁ~。
兄弟いないし、いつも家で一人留守番。
祖母も事故で亡くしちゃうし・・・
イジメにまであうようになって・・・・
でも、なんだか優しいし物事も考えすぎないのも強く生きて行くには
必要なことかもなぁ~なんて思った。
表紙の絵、何処かでみたな~と思ったら、佐野洋子さんの絵でした!
内容とちょっと雰囲気違うけど、インパクトあって面白い絵だな。
★★★
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