発行年月:2014年10月
医者である市原玲人は、友人の平松光恵に、首から上だけが狼のいわゆる「狼男」の死体写真を見せられる。彼女はその写真と大切な取材手帳を市原に託し、忽然と姿を消した。時は20年遡る。阿巳雄山の奥に、特殊能力を持つ「マガチ」とよばれる人々が暮らしていた。マガチの青年シズクは、初恋の少女を忘れられず、彼女を追って東京で暮らし始めるが……。一途な純粋さが胸を抉る、一気読み必至の、純愛ホラー巨編
(講談社HPより)
友人のルポライターから見せられた狼男のような遺体の検死写真。
そこから、医師でもある市原玲人が不思議な事件の真相を追うことにより
出会う「マガチ」と呼ばれる者たち。
怪奇めいた話でしたが、途中から玲人の息子(今は離れて暮らす)・一真が登場して
小学校5年生の割にしっかりとした賢い考え方、物言いに癒されました。
玲人と一真の関係もほのぼの。
物語の進行と共に、マガチの一人である曲地谷シズクが思いを寄せる同級生の
城野麻弥子へ書いた手紙が綴られる。
シズクは上京した麻弥子に会いたくて自身も山奥のシャバから上京する。
純朴で優しくいシズクだが最初の職場では先輩とうまく行かず辛い目にあう。
が、その後出会った北原は、シズクを何かと庇ってくれる頼れる存在となる。
不思議な力を秘め、バンテンと呼ぶ変身により人間とは異なる容姿と
強い特殊能力を持ってしまう「マガチ」。
その力を自己制御できず苦悩するシズクは痛々しい。
シズクが麻弥子を思い続ける気持ちは本当に一途で・・・・・。
ラストは、哀しいけれど何となくホッとした。
朱川さんのいままでの作風とは一味違うけれど、なかなか面白かった!
★★★★
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