発行年月:2010年8月
本当に幸せなのは誰か? 現代のおとぎ話7篇
シンデレラ、白雪姫、みにくいアヒルの子など代表的西洋童話を現代日本に置き換えた短篇集。童話の結末に疑問を抱く著者が見つけた、それぞれのハッピーエンドとは? 泉鏡花文学賞受賞後第一作。
(集英社HPより)
初読みの作家さん。
西洋童話のなかでも馴染みの深いものを日本版にした物語たち。
こうして考えると童話のなかの主人公たちって、みんな理不尽な目に遇っている
んですね。
<迷子のきまり ヘンゼルとグレーテル>
母子家庭の兄と妹。
母親は酒びたりで子どもたちに暴力をふるう。
家に帰りたくない二人は家出する。
「こどもにひどいことをする奴は殺しちゃってもいい」
<鵺の森 みにくいアヒルの子>
小学校時代の同級生に偶然、出会う。
彼は同級生にいじめられていた。自分もいじめる側だった。
そして、当時の鵺の森の伝説を思い出す。
<カドミウムレッド 白雪姫>
以前美大生だったわたしは、今はその学校の事務をしている。
叔父が画家でその妻・美智子は、わたしの絵の先生だった。
美智子先生の嫉妬心が怖い。
<金の指輪 シンデレラ>
親の莫大な財産を分けて貰い、働かなくても悠々自適な生活が出来るが
金持ちであることは知られないように生活をしている。
子どもの頃に習ったピアノ教室で出会った女の子のことが記憶に強く残っている。
父親が亡くなった後、一度家を訪ねてきてくれたそうだけど、会えず。
そのとき、彼女のものらしい金の指輪が落ちていた。
それを大事に持っている。
その指輪はとても小さいサイズ。
そして、ある日、伯母の家に介護ヘルパーで来ている女性と知り合う。
唯一、この短編集のなかで、温かい気持ちになれたお話。
<凍りついた眼 マッチ売りの少女>
売春宿で働かされている少女。
箱のマッチをお客を取るたびに燃やし、全部のマッチを燃やし尽くしたら
自由にしてあげると雇い主の老婆から言われている。
う~嫌な話でした。
<白梅虫 ハーメルンの笛吹き>
梅についた虫を退治する鈴を借りる。
恋人とふたりで育てている梅に鈴の効果で虫が居なくなる。
鈴を貸してくれた女性に嘘をついて、鈴を返さずにおくと恋人の体に湿疹が広がってきた。
<アマリリス いばら姫>
83歳の祖母は認知症。
さやちゃんと呼ばないと巧く会話が成立しない。
20歳以上年上の妻子持ちの男性と不倫をしている、わたし。
祖母の姿を見ながら、自分のこれからを考えるわたし。
この話もまあまあ良かった。
後味悪い話も多かったけれどなかなか面白い短編集でした。
★★★
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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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