舞台は江戸深川。主人公は、22歳の古橋笙之介。上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかる古橋家の次男坊。大好きだった父が賄賂を受け取った疑いをかけられて自刃。兄が蟄居の身となったため、江戸へやって来た笙之介は、父の汚名をそそぎたい、という思いを胸に秘め、深川の富勘長屋に住み、写本の仕事で生計をたてながら事件の真相究明にあたる。父の自刃には搗根藩の御家騒動がからんでいた。
ミステリアスな事件が次々と起きるなか、傷ついた笙之介は思いを遂げることができるのか。「家族は万能薬ではありません」と語る著者が用意した思いがけない結末とは。
厳しい現実を心の奥底にしまい、貸本屋・治兵衛が持ってきたくれた仕事に目を開かれ、「桜の精」との淡い恋にやきもきする笙之介の姿が微笑ましく、思わず応援したくなる人も多いはず。
人生の切なさ、ほろ苦さ、そして長屋の人々の温かさが心に沁みる物語。ストーリーテラー・宮部みゆきの新境地!
(PHP研究所HPより)
宮部さんの時代物、良いですね~(^^)
長いですが・・・飽きませんでした!
主人公の笙之介は22歳。
父親は、冤罪で切腹。その介錯をしたのは2歳年上の兄・勝之助。
父親、母親の不仲。
母親は、気弱な父親を見下したところがあり、兄の勝之助も同様。
気は弱いが尊敬していた父を亡くした笙之介は、母と兄とは縁が薄くなる。
実の母や兄なのに、気持ちが通じないという哀しさ。
しかし、一人で生活すれば、新しい人間関係が生まれる。
暮らしていた長屋の近所の人たちは皆、気が良い人たち。
そして、世話になっている佐伯老師の遣いで、江戸に向かってからも素敵な出会いあり。
仕立て屋和田屋の娘・和香と段々と親しくなっていく様子が微笑ましかった。
江戸で生活しながら、父親の汚名をはらす真相を追う笙之介。
そして、やがて知る真実は、ちょっとショックなものでした。
けれど、笙之介のことを心配する人たちが居て、一緒に歩んで行きたいと思ってくれる和香の存在が
これからの笙之介を憎しみだけ抱える生き方から違う生き方に導いてくれそう。
表紙の絵や、途中の挿絵が物語りの雰囲気を明るく和やかにしてくれていました。
★★★★
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