発行年月:2013年1月
日本推理作家協会賞受賞! 心に刺さる連作短篇集
島に生まれ育った人々の、
島を愛し島を憎む複雑な心模様が生み出すさまざまな事件。
推協賞短編部門受賞作「海の星」ほか傑作全6編。
瀬戸内海の白綱島を舞台にした短編6つ。
「みかんの花」
ミカン畑を管理している母は認知症で入院中。
姉は25年前、島に訪れた青年と駆け落ちし島から都会に出て行った。
そんな姉が作家になって、島に来る。
島から出た理由を初めて知るわたし。
「海の星」
父親がある日、失踪。
母親と貧しい暮らしをしていたが、ある日、漁師のおっさんに声を掛けられ
それからたびたび魚を届けてもらう。
妻と息子と暮らすわたしのもとに、おっさんの娘・美咲から葉書で
話したいことがあるからと連絡を貰い再会。
おっさんは、父親の失踪後のことを知っていた。
「夢の国」
子どもの頃、出来たばかりの東京ドリ-ムランドに行きたかった。
祖母に頭の上がらない両親は何度か行く機会があったのに、
連れて行ってくれなかった。
大人になり7歳の娘と夫とともに今、東京ドリ-ムランドにいる、わたし。
「雲の糸」
子どもの頃は、母親が父親を殺したことで、人殺しの子どもと虐められた。
先頭にたって、自分を貶めた同級生・的場。
今は歌手として成功している、わたし。
ある日、的場から会社の50周年記念パ-ティにゲストとして
参加してくれないかと打診があり渋々、受け入れる。
「石の十字架」
小5のとき、島に転校した。
事情がありそれまで一緒にいた両親とは離れ、祖母との2人暮らしが島で始まった。
クラスに馴染めないかんじの、めぐみと親しくなる、わたし。
島には2年間しか住まなかったけれど、小5の娘が不登校になり
島の学校に通わせたいと夫の許可を貰い、島に移り住む。
娘に話して聞かせるめぐみとのこと。
「光の航路」
10歳のときに教師だった父が亡くなった。
幼いころ、父に一度だけたたかれた。
わけも聞かずに・・・それがしこりになっているわたし。
自分も教師になり、故郷の島の小学校に赴任した。
いじめ問題に頭を悩ませている。
ある事故に遭い、入院中のわたしの元にたずねて来てくれたかつての父の教え子。
どの話も引き込まれるように読ませるのはさすが!
子どもの頃は、どの話でも嫌な思いをしている主人公たち。
読んでいるこちらまで、暗い気持ちになってきて、
子どもの頃って、外に逃げて行きたくても
自分の力だけで、その環境から逃げ出せない。
そんな、どうしようもない閉塞感がヒシヒシと伝わって来て辛くなった。
けれど、大人になり、外の世界を知ると、
当時、思っていたことも違う方面から見れば、また違う事実がわかったりする。
話としては「海の星」と最後の「光の航路」が、わたしは特に気に入った。
辛い気持ちを経験したけれど、大人になってわかった真実により、
希望をもって生きていくだろう主人公たちを愛おしくかんじた。
今回もダ-クな話が元の湊さんの作品ですが、
優しい気持ちにもなれるかんじで、ちょっと今までとは違ったかんじ.
でも、それがよかった。
どの話も、作品として面白かった。
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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