麻雀、合コン、バイトetc……
普通のキャンパスライフを送りながら、
「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え、
もがく5人の学生たち。
社会という「砂漠」に巣立つ前の「オアシス」で、
あっという間に過ぎゆく日々を送る若者群像を活写。
(実業之日本社HPより)
ちょっと前の作品。
大学進学のため、仙台で一人暮らしを始めた若者たちの4年間を描いた作品。
大学生時代って、こんな風だったかなぁ~?
と懐かしい気持ちで読みました(^^)
なかでもユニ-クなのが西嶋。
独特な世界観を持つ人物で、最初は「なんだこいつ?」と思うのだけど
彼の講釈はなかなか面白い!
後から語る高校時代の話も意外だったけれど、そういうことがあって西嶋という人物が出来たんだ~と妙に納得してしまった。
美人の東堂さんに好かれながらも振って、後で後悔して、告白して付き合うことになったり
一番、話題を提供してくれていた人物。
ほかにも
ブテック店員・鳩麦さんと付き合う、北村。
事故で片腕を失いながらも前向きな鳥井。
鳥井を支えると決めた超能力を持つ南。
と出てくる皆が良い感じ。
良い人間関係を築いて、卒業した彼らの今後も気になる。
なかなか面白かった。
人生の〈小さな奇跡〉の物語
夫の浮気が原因で離婚する夫婦と、その一人娘。ひょんなことから、「家族解散前の思い出」として〈岡田〉と名乗る男とドライブすることに──(第一章「残り全部バケーション」)他、五章構成の連作集。
(集英社HPより)
表題作の「残り全部バケ-ション」から始まる短編連作集。
車の当たりやなど、犯罪っぽいことをやってる溝口と岡田のコンビ。
元締めは毒島?
こんな仕事から抜けたいという岡田に溝口が「メ-ルで友達を今すぐつくれ」と。
適当な番号にメ-ルして相手が応じて友達になってくれたら、仕事から抜けるのを許すと。
そんなメ-ルが届いたのは、ある男の元。
浮気がばれて離婚することになり一家解散という状況の元に届いたメ-ルを別れる妻と娘が
面白いからそのメ-ルを受けて、皆で会おうということに・・・。
そんな愉快な話があったら面白いなぁ~。
と楽しい気分で読み始めました。
「残り全部・・・・・」の一家の話は岡田と旅行に出かけ、仲良しになってその話しはおしまい。
その後、どうなったんだろ?と思うけど、次から続く話もそれぞれ「その後、どうなったんだろ?」と
思うものばかり。
二番目の話「タオキン作戦」では、虐待を受けている少年を救おうと、その父親をある作戦で
諭す。心理的に懲らしめるのは良い!
物語は、岡田の小学校時代の話になったり、時系列がよくわからない。
でも、それぞれの話が面白いので、ま、いいか?というかんじ。
ボス的存在で姿を表さなかった毒島も最後に登場。
この人も怖そうなかんじかと思いきや、なかなか情が厚そうでカッコウ良い。
伊坂さんが書くと、怪しい仕事をしてる人たちだけど、なんだか憎めない。
なんじゃこりゃ?と思いながらも、クスッと笑いながら、最後まで楽しみました♪
この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない──。これは猫と戦争と、そして何より、世界の秘密のおはなし。どこか不思議になつかしいような/誰も一度も読んだことのない、破格の小説をお届けします。ジャンル分け不要不可、渾身の傑作。伊坂幸太郎が放つ、10作目の書き下ろし長編。
(東京創元社HPより)
国王・冠人が他国(鉄国)の者に殺され、国は鉄国によって支配されることになってしまう。
次期国王・酸人は、国民を裏切り、鉄国の者の言いなりに。
そんな人間たちのあれこれを冷静に見続け、時には意見する猫たち。
猫のトムの視線で物語が描かれ、また国に昔から居ると伝えられているク-パ-という怪物を退治するために送り出されたク-パ-の兵士の物語が織り込まれながら物語が進む。
途中、登場する名前が、これは猫なのか?人間なのか?とやや悩む箇所はあるものの、物語は面白く
ラスト付近になると、一挙にことの真相が明かされ、「なるほど!!そういうことだったんだ~」と気持ちよく今まで読んでいて「?」だった部分が解明された。
猫たちの会話が猫好きには嬉しい。
「舌が出たままだぞ」と仲間を注意する様子は、今まで飼っていた猫のそのときの表情が浮かんで、思わずニンマリ(笑)。
トムたち猫が、鼠と会話する様子も可笑しかった。
鼠がトムに「猫のみなさんが我々を攻撃しないように伝えて」と頼み、トムが「約束したところで、守る保証がどこにもない」という。
一見冷たいようだけれど、真実を述べて、それでも猫の仲間たちに冷静に向き合おうと言う。
猫と鼠でさえ、そんな風にするのなら、同じ人間同士で命を奪い合うような行為は愚行としか言えないな・・・・なんて改めて思った。
そして、語り伝えられてきたク-パ-のこと。
国王の企み。
終盤、トムが出会った謎の人間が物語のラストの鍵になっていた。
あ~面白かった!
こんな話をよく思いつくものだと毎回思う作家さん。
今回も期待を裏切らない作品を読ませてくれてありがとう~♪
そして、子供たちは目を輝かせる。
「PK」「超人」「密使」からなる“未来三部作”。こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは-------。
その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。
●今から思えば、試されていたのかもしれない-----PK
●君も闘っているのか? 俺たちは楽じゃない------超人
●世界を救うのに、誰かが蔑ろにされるなんて------密使
(講談社HPより)
三部作からなる物語。
それぞれは違う話のようで、複雑に絡み合っている。
前に出てきた人が次の話に出てきて・・・・「おぉ~!!そういうことね」なんて気づくのが楽しい。
一度読んだら、忘れちゃうだろうから、これは再読する度に楽しめそうな話だな。
最初の話「PK」は、正にサッカ-のPKの話。
過去の2002年のワ-ルカップの予選で、その試合に勝たなくては日本は決勝に進めなくなるという大事な試合のPKの場面を回想する。
そんななかPKを掴んだ小津選手。
しかし、小津選手のその日の試合中の調子は不調。果たして決めることが出来るのか!?
と蹴る寸前にチ-ムメイトの宇野選手が何か小野に囁いた様子。
そして見事にゴ-ルを決めた。
こんな場面が最初にあって・・・・
そのとき、何を囁いたのか?どうして不調気味の小津が見事なPKを決めたのか?とずっと気になっているという大臣。
大臣と秘書がそんな会話をする。
「超人」
作家が二人。
一人は奥さんに浮気がばれた。
警備会社の営業マン・本田が二人作家のところに来ての会話。
本田は幼いとき、大臣に命を助けられたと話す。
そして自分にはある特殊な能力があり、殺人を犯す者がわかるので、それを未然に防ぐために加害者となるべき人を殺しているのだと告白する。
そして、次の殺人者は政治家。10年後に1万人が死ぬらしい。
大臣が以前、自分が助けた男はどうなっているか、気になるので会いたいと思い、行動する。
「密使」
男はその日、握手をした人のその日の終わりの6秒間を盗むことが出来る。
より多くの時間を盗むために船隊ヒ-ロ-ショ-のヒ-ロ-に扮する仕事をし、ショ-の終わりの握手会で多くの人と握手をする。
その盗んだ時間を使っての使命が耐性菌の蔓延を防ぐこと。
その方法は、過去に密使を送り込むことだと男は説明を受ける。
その使命を果たすと人類の多くの命は助かるが自分は消えるらしい。
メモしたことを頭を整理するためにまとめてみたけど、モヤモヤ。
同じような話が出てきても、少し前に出てきた状況と変わっていたり・・・・
誰かが起こした行動が、何らかの変化を起こして、別の世界のおなじような状況を変化させるということだろうか?
もう1回再読したらもうちょい見えなかったものが見えてくるかな?
ミステリ-というよりこれはSFですね。
完璧に理解してないけど、難解な部分も含めて、こういう雰囲気は好き♪
楽しませて貰いました♪
音楽を愛する死神の前で繰り広げられる6つの人生
ある時は恋愛小説風に、ある時はロード・ノベル風に、
ある時は本格推理風に……様々なスタイルで語られる、
死神の見た6つの人間模様
(文藝春秋HPより)
伊坂作品のちょっと前の作品。
面白いと人から聞いて・・・まだ読んでなかったな・・・と読んでみた。
うん!面白かった!
死神っていうと不気味なかんじだけど、ここに登場の死神は、なかなかユニ-ク。
人間界に紛れ込んで生活し、担当者の死を「可」か「見送り」か判断する。
殆どの場合は「可」だそうですが・・・・例外もありました。
人間界では「千葉」と名乗り、時には青年。
時には中年会社員と姿を変えて担当者に接触する。
6つの話の4番目「恋愛で死神」がよかった!
死神の担当は、23歳の青年・荻原。
同じマンションに住む女性・朝美に片思いし、その後、彼女がスト-カ-被害に遭っていることを知り、撃退しようとして逆に殺されちゃう。
何で「見送り」にしてあげなかったのよぉ~!!と思ったけれど・・・・・
死ぬ間際に死神に言った言葉にドキッ!
そうか、彼はこれで満足だったのか?と思ったら切なくて泣けて来た(/_;)
そして6番目の「死神対老女」では、4番目の話と嬉しい繋がりがあって
それを知ったときは、嬉しかった♪
ササッと読めて面白くて・・・・
これは、ほかの人にも薦めたくなる本だと思った!
伊坂作品、過去作品にまだ読んでないのがあるので、また読んでみよう!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;