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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2004年12月

「死」を想ったこと、ありますか?目の前に現れた、黄泉の国への使者。
死と向き合ったとき、生きることの実感と歓びを知るのかもしれない。
おとぎばなしをモチーフに描く寓話的ミステリー


                   (発行/双葉社)


死神・島野が関わる二人の女性との話。

一人目は佐野原多美。会社内の思いを寄せる男性の婚約者・相馬絵里を羨ましく
思い、つい絵里が死ぬという想像を頭のなかで、してしまう。

多美はダイエットのため。昼は塩むすび1つのみというのを続けている。
ある日、同じ職場に転勤してきたという島野から
「からだに栄養が足りなくなると存在も栄養不足になりますよ」と言われ
その後、一緒に公園でコンビニで買ったものを食べながら会話。
なんと島野は死神だという。

死神が見えるひとはそんなにいないけれど、それが見えると、その近くの誰かが
近いうちに亡くなるのだと。
そして、それは、多美が思いを寄せる男性だという。


話の展開が面白かった。
人が亡くなるのは変わらないんだけど、そこにいくまでに温かい物語も
あり、主人公の多美は、死神にあったことで生き方を変えることが出来て
よかった。


もう一人は、OLとして働きながら小説家になることを目標にしている西城麦穂。
同じ職場内に麦穂と同じように小説家志望の片野京美がいて、そのキッカケは
多美だと3日前から出向してきた島野に言われる。
片野京美が先に小説家デビュー。

ショックで退職し、洋風ビストロ店でバイトを始める。

片野京美が多美の勤めるビストロにランチに来て、話がしたいと。
片野の小説家になるまでは会社で陰湿ないじめを上司から受けていて
周りも同調していたと。
そして、自分が新人賞をとったけれど、採点の紙と候補者の原稿が離れて
しまった可能性があったらしいと聞く。

運命のいたづら?
多美がその高評価の作品を書いた人だと判明して、その後、念願の小説家に。



死神に会えた二人は、結果、生き方が良い方向に向かうというのが
面白い。


先の話の方がすきだけど、どちらも面白かった。



                      ★★★★



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発行年月:2017年11月


 赤字ローカル線の終点・根古万知。駅前は、わずか八店舗ほどが細々と営業するシャッター商店街である。数年前、猫の町「ねこまち」としてブームになりかけたこともあったが、それも一時のこと、以来、ジリ貧状態だ。離婚を機に、そんな町に戻ったラーメン店の娘・愛美は、緑色の大きな目と灰色の毛が愛らしい拾い猫を飼うことになった。ノンちゃんと名付けたその猫が、ひょんなことから一日猫駅長を務めると駅は再ブレイク、商店街にも観光客が訪れる。愛美は久しぶりに賑わう光景を見て、今度こそ、元気いっぱいだった頃の根古万知を取り戻したいと動き出すが…。

                (BOOKデータベースより/祥伝社)



シャーッター商店街と化した根古万知駅前商店街。

そこに現れた1匹の猫!
猫が町の活性化に大活躍~。

商店街で生まれ育ち、一時は都会に出たけれど、離婚して地元に戻った
愛美が、街おこしの発起人的役割になっていく姿は楽しかった。

今はSNSとかインスタとかで知らないうちに宣伝してくれるという
利点もあって、猫のいる駅ということだけで人が来るようになるんだなぁ~。


でもそれだけじゃダメと商店街の人たちが動き出す。

町おこしだけじゃなく、そこに暮らす人たちの暮らしぶりも興味深く
読んだ。

猫のノンちゃんの元の飼い主さん探しで愛美が出会った人物・河井氏。

愛美の父親の同級生。
子どもの頃のわだかまりが、これを機に溶けたかな?

ノンちゃんの元の飼い主の最期は気の毒なものだったけど
ノンちゃんのおかげで見つけられたのかも。


愛美も幸せそうで、良かった♪



                            ★★★




発行年月:2016年8月


 春子は、ゴミ置き場に花を捨てに来た男性に声を掛け、その花を譲り受けた。数日後に再び花を捨てに来たのを見て、春子はあることの重大な意味に気づいたのだが…。
春子と拓郎(プロ野球選手)が織りなす事件と日常と花々の連作集。


                    (原書房HPより)



3つのお話。
主人公は春子さん。
日常のなかで、ふと不思議に思ったことを推理していく。

<春子さんと捨てられた白い花の冒険>
ゴミ置き場で偶然、出会った男性。
パンジーの花を妻に頼まれて捨てに来たと言う。
春子は、それを貰えないか?と話しかけ快く譲り受ける。
後日、再び別の花を抱えてゴミ捨て場に来た男性。
再び、譲り受け、自宅で見つけたもの。

ああ、なんて嫌な話。



<洋平くんと、無表情なファンの冒険>
野球観戦にいつも来ている女性。
同じ席に座りじっとしている。
無表情のまま試合を観戦してる姿は異様。

普通に試合も楽しんでる風にしてた方が目立たなかったと
思うのに。



<有希さんと、消える魔球の冒険>
ご主人がプロ野球選手の有希とネットを通じて親しくなる春子。
有希の夫には亡き前妻との娘・ひかりがいた。
そのひかりに一緒に会いにいく。
ひかりは重い知的障害を抱え、施設で暮らしている。
春子をみて「お母さん」と呼び「まきゅう」と言うひかり。


これはじーんとする良い話(:_;)



どの話もササッと読めて面白かった。
元看護師だという春子の人柄がいい。
プロ野球二軍選手のご主人・拓郎との会話もほのぼの。

シリーズ化してくれるかな?


                        ★★★



発行年月:2016年12月


 その店は、人生の岐路に立った時に現れる。さかさまの絵本、底のないポケットがついたエプロン、持てないバケツ……。古道具屋は、役に立たない物ばかりを、時間も空間も超えて客に売りつけ、翻弄する。不可思議な店主の望みとは何なのか。未来は拓かれるのか? 買い主達がその店に集結する時、裁きは下され、約束が産まれる。

                   (新潮社HPより)


第一話 さかさまの物語
第二話 金色の豚
第三話 底のないポケット
第四話 持てないバケツ
第五話 集合
第六話 幸福への旅立ち




ふと気づくとある古道具屋。
こんなところに、あったっけ?と不思議に思いつつ中に入る者たち。
そして、なんとも不思議なものをハットリ君似の店の人から、なんとなく成り行きで
買わされる。

買ったものを巡って、繋がる人間関係。

バイトしながら小説家を目指す貧乏青年は、やがて、恋人も出来
小説家にもなり幸せになるが、その後、深刻な事態になる。
けれど、そんな深刻な状況もやがて、受け入れ前向きな気持ちに。


不思議でちょっと切なかったり怖かったりだけど、最後は希望ある終わり方で
良かった。


道具って使っていた人の思いが、やはり宿るものなのかなぁ~?
と考えさせられた。



                         ★★★★


発行年月:2014年12月


心の奥底にある闇を描く、恐ろしくもせつないホラー短編集


顔も生き方も似ていない双子の姉妹が、過去の凄惨な事件に誘われる「薫衣草」、雪とともに蘇残酷な記憶と、一人の女性のやるせない運命を静謐な筆致で綴る「雪を待つ」他、日常と地続きの恐怖を描く5篇の恐怖譚。

                  (角川書店HPより)




ホラー短編集とあるので、ちょっとドキドキしたけれど、まあホラー苦手の
わたしでも大丈夫な内容でした。
でもそれぞれの話の主人公たちが、置かれた状況がとても哀しい。


<薫衣草 ラベンダー>
双子の姉妹・清香と沙香。
姉の清香は独身で新聞社で働く。
妹の沙香の方が、向上心もあり勉強も出来たのに、大学卒業間もなく
同級生と結婚し、子どもを産んで家庭に収まってしまった。
その妹が見知らぬ場所ん路上で死んだ。
心臓発作による病死だったというが、なぜそんな場所で?

過去の思い出と段々結ばれていく、沙香の死にあった背景のこと。
ぞわぞわと恐怖が迫ってくるかんじで、結構、怖かった。



<雪を待つ>
幼い頃、珍しく降った雪のなか、集団登校の集合場所で積もった雪を傘の先で刺して
遊んでいた。後でおなかを刺された猫の死骸が出てきて驚くが故意ではないし、
刺すまえから死んでいたのだから・・・
しかし、その後、父が急死し、兄も学校で転落死する。
母はホステスとして働きはじめ、そこの常連客と恋仲に・・・
わたしはその後、社会人になり結婚、娘も生まれるが娘が3歳のとき夫は家出
そして娘は小学校の登校中に事故死。
その加害者は、兄を死に追いやった原因をつくった女の息子。

こんな負の連鎖いやだぁ~!!


<隠されていたもの>
フリーライターの絵美は、ごみ屋敷の老女の取材に行く。
頑なに他者の関わりを拒んでいた老女・時子だが、なぜか絵美はすんなり
受け入れられ屋敷のなかに招かれる。
ゴミの山、異様な匂いのなかで絵美が見つける見覚えのある物たち。

ああ、これ前にテレビの「世にも奇妙な・・・・」で見た気がする。
そのときの話はあまり覚えていないけど、似てる話のような?
だからラストは予測出来ちゃって、全くの興ざめでした^^;


<ランチタイム>
いつもランチタイムは一人。
誰からも誘われず、自分から輪に加わろうとも思わない。
その時間はただ一人で散歩し、お気に入りの公園に行くのが日課。
そこでよく会う、初老の男性に初めて声をかけられる。

これは、とっても哀しい話。


<自滅>
自分だけのお気に入りの場所に行く。
そこはビルの屋上で夜になると灯りが見える。
それを見ながら唱える「消えろ」。
嫌いな人には呪詛を。
そして最後は・・・

本当にネガティブな人だなぁ~。
こんな風にしか生きられないって・・・・辛すぎる。


読んでいると気が滅入る作品集・・・。
精神状態が良くない人は読まない方がいいと思う。
と言いつつ、全部スラスラ読んだので、精神状態が正常の人には
まあまあ楽しめるのかな?

                          ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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