発行年月:2007年8月
治療院の受付嬢、芭子29歳。パン屋のパート、綾香41歳。
一見普通の生活を送る彼女たちはしかし、決して口に出せないある秘密を抱えていた――。
警官の姿を見てはギョッとし、お年寄りの会話に加わってホッとする。
ディープな下町・谷中を舞台に、大きな涙とささやかな喜び、
そしてときどきハードボイルドな新生活が始まった!
(新潮社HPより)
物語に出て来る女性2人はムショ仲間。
小森谷芭子(29歳)・・・お気に入りのホストに貢ぐため睡眠剤を使い男性からお金を
盗むことを繰り返し22歳のときに懲役7年の判決を受ける
江口綾香(41歳)・・・夫の暴力に耐えていたが生まれたばかりの子どもを夫から
守り為に殺害し懲役5年の罪
二人は出所後、お互いに行き来して、励まし合いながら
新しい環境のなかで懸命に生きている。
芭子は祖母が以前、住んでいた家に。
近所に住む高齢の大石夫妻がおかずのおすそ分けに届けてくれる。
祖母が生前、孫は留学していると言っていたので、ムショ暮らしの
期間は留学していたことに。
新しく地域に赴任してきた警察官・高木聖大は親切だけれど
ちょっと馴れ馴れしい。
芭子にも親切心であれこれ接してくれているのだとは思うけれど
芭子の立場からしたら邪魔でしかないだろうな・・・。
勤めているマッサージ治療院の院長・今枝からセクハラまがいの発言を
受けて辞めてしまい今度、どうするのか??
終盤、弟・尚之が訪ねてきて結婚することになったと。
そして自分は一人っ子ということになっているから・・・・
祖母の家の権利書と有価証券、芭子名義の預金通帳の
定期口座に3千万円。
これで小森谷家に戸籍から抜けて分籍手続きをしたいのでと
届書に署名、捺印をと。
冷たい家族だな・・・・と思ったけれど、芭子の犯した罪は
自業自得なことだから、仕方ないのかもね・・・(ノД`)・゜
家とお金を与えてくれるだけで良しとしなければいけないのかも。
でも、まだ若いから人生、やり直しは出来そう。
続編があるようなので、そちらも是非!
少し前の作品だけど、いい作品。
★★★★
発行年月:2024年8月
(講談社HPより)
短編集だけれどそれぞれの話が読み応えあり。
ちょっと辛い展開なんだけど、こういう家庭、いくらでもあるよな~という
リアルさがあった。
<ビースト>の柏木美也子には、同情しちゃった。
60歳、夫が亡くなり、のんびり一人暮らしをしていたところに
7年間、音信不通の娘が子ども(男子2人)とともに転がり込んでくる話。
娘の態度がなんとも横柄で嫌だったなぁ~。
それでも孫は可愛く色々と世話をしての最後・・・・
階段から落ちるという悲劇。
このあと、どうなったの!?と一番、気になる話だった。
<エスケープ>は全く同感できない母親。
26歳から不倫関係にあった男性がやっと離婚して結婚できた。
40歳過ぎての出産。
生まれた女の子陽希(はるき)は、母親の胎内にいるときから母親の言葉を
聴き、産まれてからも母親の声に不快感を持ち、泣く。
そんな我が子を可愛く思えない母親。
はるきは父親に懐く。
母親が家を出て父親と二人の生活になり、自分がここから逃げなくてよくなった
ことに安堵するというはなし。
なんか、勿体ない人生の過ごし方をする女性だな・・・・
乃南さん、やはり面白いな。
グイグイ読ませる文章は流石です!
★★★★★
発行年月:2020年6月
オベリベリ――和人たちによって「帯広」とされた新天地
明治の先進教育を受けた彼女は、いかに生き抜こうとしたのか
開拓に身を投じた実在の若者たちを基にした、著者が初めて挑む長篇リアル・フィクション
〈明治維新という大きな時代の変わり目を体験した上に、それまでとまったく異なる世界に身を投じる若者たちの姿は、今、世界的な新型コロナウイルスの流行により、またもや大きな時代の変わり目を経験しなければならない私たちに何を思わせ、感じさせることだろうか〉――乃南アサ
文明開化の横浜で時代の最先端にいた女性は“その地”でいかに生きたか
私たちの代が、捨て石になるつもりでやっていかなければ
この土地は、私たちを容易に受け入れてはくれない
宣教師たちが開いた横浜の共立女学校に学ぶ鈴木カネは、父や兄にならって聖書の教えを受け、勉学に励んでいた。兄の銃太郎は、神学校で一緒だった渡辺勝、依田勉三と北海道開拓について考え始めている。彼らは勉三を中心に「晩成社」を興し、新天地へ向かう準備を進める。明治15(1882)年、23歳になったカネは女学校を卒業し、渡辺勝と結婚、そしてオベリベリとよばれた帯広へ行くことを決意する。
(講談社HPより)
帯広を開拓するために向かった鈴木カネの視点から当時の開拓の様子を知る物語。
カネは、横浜共立女学校英文科の第一回卒業生。
卒業後は、学校に残り教鞭も取っていたが、兄が仲間と共に未開の地へ向かうと
聞き、自分も興味を持つ。
信頼している父までが開拓の仲間に加わると。
そして兄・銃太郎から一緒に開拓に向かう親友・渡辺勝の妻として一緒に行かないか?と
話を持ち掛けられ、承諾。
夫となる渡辺勝にも会い、惹かれる。
教師として働きながら、一緒に開拓地に向かう者を集めているという。
カネの決断力には、びっくり!
教養を身に着けての先が未開の地の開拓に関わるって・・・凄いな。
開拓の地でも子どもたちに教育の場を設けていたのも凄い。
北海道・帯広。
どんな場所か、行ったことないのでわからないけど、何もないところから
住むところを造り、田畑を耕し、作物を育て食べていくだけでも大変そう。
アイヌたちの助けを借りながら、皆で協力し合いその日、その日を懸命に
生きる。
逞しい。
やっと育った作物をバッタの大群にやられたり、自然災害にやられたり
それでも何度も挑戦する彼らの根性がすごい。
何もかもうまくいかないときは、愚痴も出るし、お互いの意見のぶつけ合いも
あるけれど、依田、勝、銃太郎は、終生良いチームだったんだろうな。
兎に角、凄い人たちの物語だった。
巻末の補遺で、彼らが実在していた人物で、その後の様子も書かれていた。
660頁の長編物語、楽しく最後まで読めた!
★★★★★
発行年月:2018年5月
祖母の故郷、台南への旅が私の人生を変えた
派遣で働く杉山未來は祖母を元気づけるため台南へと旅立つ。
将来の夢破れ、祖母の認知症に悩む未來が台湾で見つけた貴重な宝物とは。
(文藝春秋HPより)
台湾の歴史が学べる。
親日派が多い所以もわかった。
未来は祖母・朋子が幼い時の思い出がいっぱい詰まった台湾(台南)へ一人
向かう。
通訳やガイドとして関わってくれる人たち。
・季怡華(リイカ)・・・表情が読めないのでやや冷たいかんじ
未来の父(大学教授)の元教え子。
・洪春霞(コウシュンカ)・・・明るくお茶目。食べる事が大好き。
日本でキャバクラで働いていた経験あり。
日本語は上手だけど、ちょっと乱暴な言葉遣い。
李の教え子。
・楊建知・・・春霞の友達。大学で建築を学んでいる。
・林賢成・・・楊の高校時代の歴史の先生。
色々な人に助けられて、祖母の思い出の地を巡る。
ついに祖母が住んでいたであろう場所も見つける。
そこに住んでいた劉慧雯。
彼女が言った「自分には愛される資格がない」という言葉が哀しい。
日本での留学経験もあり賢い人なのに、家族のトラブルにいつも翻弄されていて
なんとか、彼女がこの先、幸せになって欲しいと思った。
表題の<六月の雪>は、花の事だった。
ごく限られた海の近くで見られる小さな白い花。
桜のように大きな木にそれが咲くとまるで雪のようだという。
無表情の怡華との帰国前の空港での会話も良かった。
台湾の歴史が怡華の無表情と繋がっていたのか?
そう考えると切ない。
帰国した未来にも、慧雯に似たようなトラブルが・・・
隣家に住む、父の妹・真純の存在が厄介。
でも祖母はちゃんと対策してくれていた。
認知症が進む前に未来にそれが伝わって良かった!
最後、台湾からの報せにはビックリ。
哀しい(/_;)。
また、きっと近いうちに再会できると思っていたのに・・・・・
長い物語だったけど、長さを感じさせず夢中で読んだ。
良い物語でした。
★★★★★
発行年月:2016年3月
かつての恋人の故郷でその不在を想うキャリア・ウーマン。寒い土地への転居を境に狂い出す「じゃぱゆきさん」。整形して若い男と結婚し、離別した娘を従妹として引き取ろうとする母。夫の子を産むと決めた女のもとを訪ねる妻。次々と夫が死ぬ魔性の女。彼女たちはさまざまに熟れていく。女性の心理描写が際立つ短編を精選し、単行本未収録作品を追加したベスト・オブ・ベスト第二弾。
(新潮文庫HPより)
さすが乃南さんの短編傑作選!
前回読んだ「最後の花束」も良かったけど、こちらもまた面白かった。
ちょっと怖い話も多かったなぁ~。
表題作は一番最初で、後からの短編に比べたらロマンチックなかんじ。
かつての恋人の出身地を仕事で訪れて、偶然、見かける。
ちゃんと会わないところがミソ!
お互い「あれ?あの人は・・・」と思ったままというのが、なんとも良い!
女って怖い!と思ったのは
<今夜も笑ってる>と<はびこる思い出><愛情弁当>。
自分の思いを遂げるためには手段を択ばない女たち。
特に<愛情弁当>は、衝撃的な真実がわかったとき、ゾ~ッ。
静岡県民として嬉しい気持ちになったのは<悪魔の羽根>。
フィリピン人の奥さんが旦那さんの転勤先の新潟で雪に悩まされ
陽気な性格が一変、家から一歩も出たくないとふさぎ込む。
そして勤務地が静岡に変わり、その移動中、雪がない地面と青空をみて
気分がそれだけで明るくなっていくという話。
東北地方の人には失礼な話だけど、温暖な地域で暮らす人には
やはり雪国の冬は尋常じゃない辛い毎日なんだな・・・・・。
短編傑作選、今後も読みたい!
ひとつひとつの話が短いけれど、ちゃんと完結する小気味よさは流石です!
★★★★★
| 12 | 2026/01 | 02 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | ||||
| 4 | 5 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
| 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
| 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
